全般性不安障害の診断基準とセルフチェックをする方法

全般性不安障害の診断チェック

全般性不安障害は様々なことに対して過剰に不安や心配を感じるようになってしまい、それが原因で生活に支障を来たしてしまう疾患です。

この疾患は「心配性」という正常範囲内の不安との見分けがつきにくく、病気だと気付かれにくく、発見が遅れてしまいがちな疾患です。

自分の不安が心配性の範囲内のものなのか、それとも全般性不安障害に至っているものなのかを正確に判断するのは、専門家であっても難しいことがあるほどです。そのため、その判断(診断)は精神科医の入念な診察によってのみなされ、患者さんが自分で自分を診断をすることは出来ません。

しかし「自分は全般性不安障害ではないか?」と疑問に感じていても、いきなり精神科を受診するのには抵抗を感じることが普通です。精神科を受診する前に、まずは「自分の症状が全般性不安障害の可能性があるのかをチェックしたい」と思われる方もいらっしゃるでしょう。

今日は全般性不安障害の診断がどのように行われるのか、そしてセルフチェックを行うにあたって有効な方法について紹介します。

スポンサーリンク

1.全般性不安障害の診断はどのように行われるのか

全般性不安障害の診断は、精神科医の診察によってのみ行われます。医師以外が疾患の診断を行うことは出来ないため、診断を受けるためには必ず精神科医の診察を受ける必要があります。

では精神科医はどのように全般性不安障害の診断を行っているのでしょうか。簡単にではありますが、どのような手順で診察がなされているのかを紹介します。

Ⅰ.診察所見から

全般性不安障害に限らず、精神疾患を診断するにあたって一番重要な情報となるのが診察所見です。

精神疾患の症状はこころの症状が主であり、目に見えるものではありません。血液検査や画像検査などでは分からないため、精神科医が入念に診察を行い、その所見をもとに診断を行います。

診察においては、本人が一番困っている症状(主訴)や、今までの経過(現病歴)、患者さんの性格や環境、精神疾患の家族歴、既往歴や服薬歴などを入念に聴取していきます。

Ⅱ.診断基準との照らし合わせ

疾患には診断基準というものがあります。

精神疾患においては、アメリカ精神医学会(APA)が発刊しているDSM-5という診断基準と、世界保健機構(WHO)が発刊しているICD-10という診断基準の2つが有名で、日本でもこの2つが主に用いられています。

これらの診断基準の診断項目と、診察で得た所見を照らし合わせて、全般性不安障害の診断基準を満たすかどうかを判定します。

Ⅲ.補助的に心理検査を行う

心理検査は、その結果から直接診断を下せるものではありませんが、診断の補助的な役割を果たしてくれます。

全般性不安障害に特化した心理検査は少ないため、不安全般を評価する心理検査も有用です。具体的には次のような心理検査が用いられることがあります。

A.GAD-2、GAD-7

全般性不安障害(GAD)のスクリーニング検査としてSpitzerらが作成した心理検査です。

GAD-7は7つの質問からなります。GAD-2はGAD-7の7つの質問のうち、特に重要な2つのみを取り出した簡易検査になります。質問数の少ない検査ですが、全般性不安障害の検出率は80~90%と高く、とても有用な検査です。

ちなみにGAD-2の二つの質問とは、

「過去4週間のほとんどの時間、心配や緊張・不安を感じて、悩まされていましたか?」
「頻繁に緊張・イライラし、睡眠の問題を持っていましたか?」

の2項目になります。

この二つの質問に自分の状態が当てはまる場合、全般性不安障害の可能性があります。

B.STAI

STAIは全般性不安障害に特化した心理検査ではありませんが、不安全般の程度を判定するのに優れた検査です。

状態不安(今この瞬間の不安の強さ)と、特性不安(元々の特性としての不安の強さ)を検出します。マークシート式で質問に対してそれぞれ4つの選択肢の中から一番自分の状態に当てはまるものを選びます。所要時間は10~15分ほどかかります。

80点満点で、点数が高いほど不安が強いことを表します。

2.全般性不安障害の診断基準

全般性不安障害の診断は、

・診察所見
・診断基準との照らし合わせ
・心理検査(補助的)

という、3つの手順で行われることを紹介しました。

セルフチェックする場合を考えると、精神科医の診察所見は受診をしないと得ることができませんので、

・自分で診断基準に照らし合わせてみる
・自分で心理検査を行ってみる

の2つがセルフチェックで出来ることになります。

もちろん、セルフチェックは医師の診察とは異なるため、診断と同じ精度を持つものではなく、「全般性不安障害の可能性がある」という程度の精度に過ぎません。しかしセルフチェックの結果、全般性不安障害が強く疑われた場合は、精神科や心療内科を受診し、相談をすることをお勧めします。

それではまずは全般性不安障害の診断基準をみてみましょう。

診断基準にはDSM-5とICD-10があることをお話しましたが、ここではDSM-5の診断基準を紹介させて頂きます(どちらの診断基準を使っても問題はありません)。

なお診断基準は難しい用語で書かれていて分かりにくいため、後ほど改めて分かりやすく紹介します。

【全般性不安症/全般性不安障害の診断基準(DSM-5)】

A.(仕事や学業などの)多数の出来事または活動についての過剰な不安と心配(予期憂慮)が、起こる日のほうが起こらない日より多い状態が、少なくとも6か月間にわたる。

B.その人は、その心配を抑制することが難しいと感じている。

C.その不安および心配は、以下の6つの症状のうち3つ(またはそれ以上)を伴っている(過去6か月間、少なくとも数個の症状が、起こる日のほうが起こらない日より多い)。(注:子どもの場合は1項目だけが必要)

(1)落ち着きのなさ、緊張感、または神経の高ぶり
(2)疲労しやすいこと
(3)集中困難、または心が空白になること
(4)易怒性
(5)筋肉の緊張
(6)睡眠障害(入眠または睡眠維持の困難、または、落ち着かず熟眠感のない睡眠)

D.その不安、心配、または身体症状が、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

E.その障害は、物質(例:乱用薬物、医薬品)または他の医学的疾患(例:甲状腺機能亢進症)の生理学的作用によるものではない。

F.その障害は他の精神疾患ではうまく説明されない。

スポンサーリンク

3.診断基準から全般性不安障害をセルフチェック

それでは診断基準から全般性不安障害をセルフチェックしてみましょう。これらを全て満たす場合、診断基準的には全般性不安障害の診断となります。

Ⅰ.様々な事に対して過剰に不安・心配を感じる

A.(仕事や学業などの)多数の出来事または活動についての過剰な不安と心配(予期憂慮)が、起こる日のほうが起こらない日より多い状態が、少なくとも6か月間にわたる。

様々なことに対して、明らかに過剰に不安・心配を感じている場合、該当します。

診断基準的には不安・心配が過剰な日がそうでない日よりも多いことが必要ですが、実際はほぼ毎日、過剰な不安・心配が認められます。また診断のためには、症状は6か月間以上続いている必要があります。

Ⅱ.心配しすぎだと頭では分かっていても、不安を抑えられない

B.その人は、その心配を抑制することが難しいと感じている。

頭では「こんなに心配することはないのに」「こんなに不安になるなんておかしい」と分かっています。しかし頭で理解してはいても、不安・心配を制御することが出来ない場合、該当します。

Ⅲ.不安・心配に伴って、様々な症状も出現している

C.その不安および心配は、以下の6つの症状のうち3つ(またはそれ以上)を伴っている(過去6か月間、少なくとも数個の症状が、起こる日のほうが起こらない日より多い)。(注:子どもの場合は1項目だけが必要)

(1)落ち着きのなさ、緊張感、または神経の高ぶり
(2)疲労しやすいこと
(3)集中困難、または心が空白になること
(4)易怒性
(5)筋肉の緊張
(6)睡眠障害(入眠または睡眠維持の困難、または、落ち着かず熟眠感のない睡眠)

不安・心配だけでなく、それに伴って副次的な症状も出現している必要があります。数字を振ってある6つの症状のうち、3つ以上が出現している場合、該当します(子どもの場合は1つ以上)。

Ⅳ.その症状で困っている、支障をきたしている

D.その不安、心配、または身体症状が、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

これらの症状があることによって、本人が困っている・苦しんでいる、あるいは生活への支障が出現している場合に該当します。逆に言えば、症状はあっても、本人がそこまで困っていなかったり、生活が普通に送れている場合は該当しません。

Ⅴ.他の病気が原因で生じているものではない

E.その障害は、物質(例:乱用薬物、医薬品)または他の医学的疾患(例:甲状腺機能亢進症)の生理学的作用によるものではない。

F.その障害は他の精神疾患ではうまく説明されない。

これは医師の診察を受けないと判断できないため、セルフチェックで判定は不可能ですが、全般性不安障害以外の病気の症状によってこれらの症状が生じているわけではない、というのを確認する必要があります。他の疾患によってこれらの症状が生じているのであれば、それは全般性不安障害ではなく、別の疾患になります。

以上を全て満たした場合、全般性不安障害の診断基準を満たすことになります。

4.心理検査から全般性不安障害をセルフチェックする

心理検査からも全般性不安障害をセルフチェックすることはできます。

全般性不安障害で用いられる心理検査を紹介しましたが、そのうちの1つである、GAD-2は非常に簡単な検査ですので、ここで紹介させて頂きます。

「過去4週間のほとんどの時間、心配や緊張・不安を感じて、悩まされていましたか?」
「頻繁に緊張・イライラし、睡眠の問題を持っていましたか?」

この二つの質問に自分の状態が当てはまる場合、全般性不安障害の可能性があります。

スポンサーリンク

こちらの記事も是非ご覧下さい