サイレースは1984年に発売された睡眠薬で、現在でもよく使われているおくすりです。
発売してから30年以上経っている古いおくすりのため、ジェネリック(後発品)もあります。
国のジェネリック推奨の後押しもあり、最近はジェネリックの処方がどんどん増えてます。
ジェネリックは「安さ」が魅力ですが、効果などは先発品と比べて差はないのでしょうか。サイレースにはどんなジェネリックがあるのでしょうか。
ここではサイレースのジェネリックの紹介、そして先発品とジェネリックの違いについてお話します。
1.サイレースのジェネリックの名称
サイレースは人気のある睡眠薬ですので、
いくつかの製薬会社がジェネリックを発売しています。
少し前までは、ジェネリック医薬品に対しても、それぞれの会社が自由に名前を付けており、
例えば「ビビットエース」「フルトラース」などのジェネリックがありました。
しかし、最近では、ジェネリック医薬品がどんどん増えてきたので、現場が混乱しないように、
ジェネリックの名称を「一般名+会社名」に統一する流れがあります。
今のジェネリックはほぼこのルールに基づいた名称になってきています。
サイレースの一般名は「フルニトラゼパム」であるため、
- フルニトラゼパム「JG」(旧:ビビットエース)
- フルニトラゼパム「SN」(旧:フルトラース)
- フルニトラゼパム「アメル」
などの名称になっています。
ちなみに「フルニトラゼパム」というのがサイレースの一般名ですが、
一般名とは「国際的に決められた薬物の名称」のことです。
1.サイレースのジェネリックの薬価
ジェネリックの最大のメリットは、その薬価にあります。
ジェネリックの薬価は、おおよそ先発品の1/3程度になっています。
少しでも安くなるのはありがたいですね。
サイレース錠(先発品) 1mg 15.7円
サイレース錠(先発品) 2mg 22.3円フルニトラゼパム(ジェネリック) 1mg 5.6円
フルニトラゼパム(ジェネリック) 2mg 5.7~6.5円 (2014年現在)
ちなみにサイレースは、中外製薬が販売している「ロヒプノール」と全く成分が同じおくすりですが、
ロヒプノールは、
ロヒプノール錠1mg 14.7円
ロヒプノール錠2mg 21.7円
とサイレースよりわずかに安くなっています。
サイレースよりちょこっとだけ安いのは謎ですが、理由は私も分かりません。
3.先発品とジェネリックの効果は同じなのか?
患者さんから、「先発品とジェネリックの効果に差はありませんか?」と
よく質問されます。
基本的には全く同じ効果だと考えていいでしょう。
ジェネリックは安いので、「成分が少ないのでは?」「質が悪いのでは?」と
考えてしまう方がいますが、全くそんなことはありません。
先発品は「最初に作られたおくすり」であるため、その薬の研究や開発に多額のお金がかかっています。
数百~数千人を対象に臨床試験をしたり、効果や副作用の解析をしたりといったことをしなければならず、
聞くところによると、開発・研究費には何百億円もかかるそうです。
先発品を作った製薬会社は、先行投資したその金額を回収しないといけませんので
薬価は高くせざるを得ません。
しかしジェネリックは研究費や開発費はほぼかかりません。
先発品ですでにやってますから、何百億をかけて同じことをやる必要などはないのです。
ジェネリックに必要なのは、主に「生物学的同等性試験」というもので、
「これは先発品と同じはたらきをしますよ」ということを証明する試験のみをすればよく、
これは先発品と比べると比較にならないほど安価で済みます。
その分、ジェネリックは薬価を安くできるのです。
つまり質が悪いから安いのではなく、研究費や開発費の分が引かれているということです。
しかし、中には多少の効果の違いがあるジェネリックもありますので注意が必要です。
ジェネリックは薬の主成分は先発品と全く同じです。
前述したようにジェネリックは発売する際に必ず「生物学的同等性試験」を行います。
これはジェネリックの血中濃度の推移が先発品と同じ程度である、ということを確認する試験で、
これに合格しないとジェネリックとして発売できません。
ですので、成分的には同じと考えて大丈夫なのですが、
成分以外の添加物などが微妙に違う場合があり、
それがお薬の分解や吸収に多少の影響を与えることがあるのです。
つまり、ジェネリックの効果は基本的には先発品と同じであるが、中には微妙に異なるものもあるため、
もしジェネリックにして違和感を感じるのであれば先発品に戻すのも手です。
(注:ページ上部の画像はイメージ画像であり、実際のサイレース錠のジェネリックとは異なることをご了承下さい)