ルネスタは2012年に発売された睡眠薬で、非ベンゾジアゼピン系に属します。
ルネスタは、アモバンを改良した睡眠薬です。アモバンの中の「S体」という効果がある部分だけを抽出して作られたのがルネスタなのです。
そのため効果はアモバンにとても似ていますが、苦味などの副作用は軽減されています。アモバンも副作用が少ない睡眠薬ですが、それを更に改良したルネスタは、安全性に特に定評があります。
ここでは、ルネスタの効果や強さ、作用時間などを紹介します。
1.ルネスタの作用時間
睡眠薬は作用時間で大きく4種類に分類されています。
- 超短時間型・・・半減期が2-4時間
- 短時間型 ・・・半減期が6-10時間
- 中時間型 ・・・半減期が12-24時間
- 長時間型 ・・・半減期が24時間以上
半減期というのは、その薬の血中濃度が半分になるまでに要する時間の事で、そのお薬の作用時間を知る1つの目安のなる値です。
ルネスタは「超短時間型」睡眠薬に分類されます。
服薬してから約1~1.5時間で血中濃度が最高値になり、半減期は約5時間です。
アモバンは服薬後1時間で血中濃度が最高値になり、半減期は約4時間であるため、アモバンよりも若干緩やかに効き、緩やかに抜けていきます。
2.睡眠薬の作用時間比較
よく用いられる睡眠薬の作用時間を比較してみましょう。
睡眠薬 | 最高濃度到達時間 | 作用時間(半減期) |
---|---|---|
ハルシオン | 1.2時間 | 2.9時間 |
マイスリー | 0.7-0.9時間 | 1.78-2.30時間 |
アモバン | 0.75-1.17時間 | 3.66-3.94時間 |
ルネスタ | 0.8-1.5時間 | 4.83-5.16時間 |
レンドルミン | 約1.5時間 | 約7時間 |
リスミー | 3時間 | 7.9-13.1時間 |
デパス | 約3時間 | 約6時間 |
サイレース/ロヒプノール | 1.0-1.6時間 | 約7時間 |
ロラメット/エバミール | 1-2時間 | 約10時間 |
ユーロジン | 約5時間 | 約24時間 |
ネルボン/ベンザリン | 1.6±1.2時間 | 27.1±6.1時間 |
ドラール | 3.42±1.63時間 | 36.60±7.26時間 |
ダルメート/ベジノール | 1-8時間 | 14.5-42.0時間 |
作用時間が睡眠薬によって様々であることが分かります。
最高濃度到達時間が早いお薬は、「即効性がある」と言えます。
ルネスタ、マイスリー、アモバンなどの「超短時間型」は1時間前後で血中濃度が最高値になるため、「すぐに寝付きたい」という方にお勧めですが、3-4時間で効果が切れてしまいますから長くぐっすり眠りたい方には不適であることが分かります。
反対に7-8時間ぐっすり眠りたい場合は、レンドルミンやリスミー、サイレース/ロヒプノールやデパス、ユーロジンなどの睡眠薬が適していることが分かります。
それぞれ微妙に特徴が違いますので、主治医と相談して、自分に合いそうな睡眠薬を選びましょう。
3.ルネスタの強さは?
ルネスタの睡眠薬としての強さはどのくらいなのでしょうか?
これは個人差もありますが、総じていうと「普通」くらいでしょう。
現在の睡眠薬は、ベンゾジアゼピン系と非ベンゾジアゼピン系睡眠薬が主流となっています(ちなみにルネスタは非ベンゾジアゼピン系です)。
これらの睡眠薬はどれも強さに大きな差はないと言われています。
作用時間の差はあるものの、強さには大きな差がないため、作用時間によって使い分けます。
ルネスタは1mgから3mgの間の量で使いますが、最大量の3mgを投与しても「ものすごく強い!」という印象はあまりありません。
3.ルネスタが向いている人は?
不眠には大きく分けると2つのタイプがあります。
一つ目が「寝付けない事」で、これは「入眠障害」とも呼ばれます。そして二つ目は「すぐに起きてしまう事」で、これは「中途覚醒」と呼ばれます。
一般的には
- 入眠障害には超短時間、短時間型
- 中途覚醒には中時間型、長時間型
の睡眠薬が適していると言われています。
ルネスタは超短時間型ですから、「寝つけない」という入眠障害の方に向いています。
眠りに入ってしまえばグッスリ眠れるんだけど、なかなか眠りに入れなくて困っている。こういった方ですね。
また、超短時間型の中では効きは遅い方に入るため、入眠障害で困っているけどそこまで急激に眠りにつくことを求めておらず、緩やかに寝付きに入りたい方にいいかもしれませんね。
反対に、5時間で効果が切れてしまうので中途覚醒を改善するのにはあまり向いていないと言えます。
また、ルネスタもアモバンほどではありませんが口の中に苦味が残る、という副作用があります。中には、この苦味がどうしても無理という方もいらっしゃいます。
この場合は、苦みがない睡眠薬もありますので、別の睡眠薬の方がいいでしょう(ルネスタとアモバン以外は苦味はほとんどありません)。
ルネスタは、内服後20分くらいで眠気が出現しはじめます。そのため、ベッドに入る直前に内服するようにしてください。服薬したのになかなかベッドに入らずに活動していると、お薬が効いてきてふらついたり転んでしまう可能性があります。
活動の途中で睡眠薬が効き始めてしまい、意識はないのに行動をするという「健忘」を起こすこともあります。
「自分では覚えてないけど、普通に家族と話していた」
「自分では覚えてないけど、ものを食べていた」
などです。気を付けて下さいね。