エチゾラムの作用時間や半減期はどのくらいか【精神科医執筆】

エチゾラムは抗不安薬に属するお薬で、「デパス」というお薬のジェネリック医薬品になります。その名の通り主に不安を和らげる作用を持ちます。

抗不安薬にはたくさんの種類がありますが、それぞれ服用してから効いてくるまでの時間、薬効が続く時間などは異なります。

エチゾラムは服用してから効果が認められるまでの時間も比較的早く、また作用時間も長くないため、使い勝手の良い抗不安薬で臨床現場でも多く処方されています。

しかしどんな時でもエチゾラムが適している、という訳ではありません。

それぞれの抗不安薬の特徴を理解し、今服用しているものが自分の症状にあった効き方をするお薬なのかを患者様自身も正しく理解するようになると、より適切に治療が行えるようになります。

ここでは、エチゾラムは服用してから体内でどのような動きをするのか、その薬物動態から半減期・作用時間などをみていきましょう。また他の抗不安薬との比較、そこから考えられるエチゾラムの効果的な服薬方法についても紹介していきます。

1.エチゾラムの薬物動態

まず、エチゾラムを服用すると体内でどのように効いていくのか、その薬物動態を紹介します。

なお体内でのお薬の動き(薬物動態)には個人差がありますので、以下に説明するのはあくまでも一般的な話になる事をご了承ください。個々人においてはある程度の差があります。

一般的なエチゾラムの薬物動態は服薬してから約3時間で血中濃度が最大となり、半減期は約6時間と報告されています。

半減期とは、お薬の血中濃度が半分になるまでにかかる時間のことで、お薬の作用時間とある程度相関することが知られています。そのため半減期から、そのお薬の作用時間の目安を知ることができます。

大雑把な言い方にはなりますが、「半減期が6時間」≒「作用時間が6時間くらい」と考えてよいでしょう。

お薬が身体がから抜けていくスピードは個人差がありますし、また血中濃度がそのまま薬効を反映するわけではないため半減期はあくまでも目安ですが、どのお薬を使うべきかの指標となる数値です。

抗不安薬は、半減期で3種類に分類できます。

  • 半減期が短い ・・・半減期が~6時間
  • 半減期が普通 ・・・半減期が6~24時間
  • 半減期が長い ・・・半減期が24時間~

エチゾラムの半減期は約6時間であり、抗不安薬の中では短い部類に属します。

またエチゾラムは服用してから血中濃度が最大になるまでに約3時間かかります。これは抗不安薬の中では遅い方です。

抗不安薬の中には、服用してから1時間以内に血中濃度が最大になるものもあり、即効性を求めるケースではそちらの方が適しています。

ただしエチゾラムは全体的に抗不安作用が強いため、血中濃度の立ち上がりが遅くてもすぐに効いているように感じらるため、実際は即効性を求めるケースでもまずまず使われています。

2.抗不安薬の効果発現時間・半減期一覧

抗不安薬は多くの種類があり、それぞれ効果が発現するまでの時間・薬効が持続する時間が異なります。主要な抗不安薬の最高濃度到達時間や半減期を比較してみると下図のようになります。

抗不安薬作用時間(半減期)最高血中濃度到達時間
グランダキシン短い(1時間未満)約1時間
リーゼ短い(約6時間)約1時間
デパス短い(約6時間)約3時間
ソラナックス/コンスタン普通(約14時間)約2時間
ワイパックス普通(約12時間)約2時間
レキソタン/セニラン普通(約20時間)約1時間
セパゾン普通(11-21時間)2~4時間
セレナール長い(約56時間)約8時間
バランス/コントール長い(10-24時間)約3時間
セルシン/ホリゾン長い(約50時間)約1時間
リボトリール/ランドセン長い(約27時間)約2時間
メイラックス非常に長い(60-200時間)約1時間
レスタス非常に長い(約190時間)4~8時間

お薬によって最高濃度到達時間や半減期が様々であることが分かります。

最高血中濃度到達時間が早いお薬は「即効性がある」という事ができます。服用してから1時間で血中濃度が最大になる場合、体感的には20分前後で効果を感じ始める事ができます。これは「すぐに不安を抑えたい」という時にとても役立ちます。

一方で急に効いてくるため、集中力低下や眠気やふらつきによる転倒などのトラブルに注意する必要もあります。

反対に最高血中濃度到達時間が遅いお薬は即効性は期待できません。その分少しずつ効いてくるため体に負担が少なく、転倒などのトラブルは少なくなるでしょう。

半減期に関しては、半減期が短いという事は、お薬がすぐに体から抜けるという事になります。これはお薬の効きの細かい調整がしやすいというメリットになりますが、1日に何回も飲まないといけず、クセ(依存)にもなりやすいというデメリットもあります。

反対に半減期が長いという事は、一回飲むとなかなか身体から抜けないという事です。これはお薬の効きの細かい調整がしにくいというデメリットにもなりますが、服薬回数も少なくて済みますし、ゆっくり効くためクセ(依存)にもなりにくいというメリットもあります。

どのような薬物動態のお薬であっても、それぞれ一長一短ありますので、自分の症状に合わせて適切なお薬を選択することが大切です。

エチゾラムはデパスのジェネリック医薬品ですので、デパスと同じ薬物動態を示します。

半減期は6時間であり短い部類に入ります。1日に3回など複数回飲むため手間がかかりますが、細かい調整はしやすいお薬です。依存形成には注意しなくてはいけません。

また最高血中濃度到達時間は3時間と遅めですが、実際は効果が強いため体感的にはある程度の即効性が期待できます。

3.作用時間から考えるエチゾラムの使い方

精神科・心療内科ではエチゾラムは主に不安を改善するために用いられます。

その使い方は主に2通りあり、

  • 一日を通して不安を抑える
  • 特定の時間帯だけ不安を抑える

という使い方があります。

エチゾラムの薬物動態から考えられる、それぞれの適正な使い方について紹介します。

Ⅰ.一日を通して不安を抑えたい

1日を通して不安を抑えたい場合は、エチゾラムは6時間程度の作用時間であることを考えると、1日1回の服薬では不十分になります。

血中濃度が最大になるまでに3時間かかるため、効き出しはゆっくりですので、実際は6時間以上の作用時間はあると考えると、1日3回(毎食後)の服薬が良いでしょう。

実際、添付文書にも不安改善に用いる場合は「1日3回に分けて経口投与する」と記載されています。

ただし半減期はあくまでも目安であり、お薬の作用時間にも個人差があります。そのため、実際に使ってみて1日3回では不安緩和が十分にお超えない場合、1日2回や1日4回などといった使い方を主治医と相談の上で行うこともあります。

定期的に服薬する事で、1日を通してしっかりと不安を抑える事ができます。

更に、実は定期的に飲み続けた方がワンポイントで飲むよりも強くしっかりと効くのです。これは服薬を続けることで、ベースの血中濃度が徐々に上がっていくからです。

一般的には、半減期の約5倍の期間、定期的に服薬を続けると血中濃度が高い状態で安定する(=定常状態に達する)と言われています。エチゾラムであれば理論上は「6時間×5=30時間」ですので1日とちょっとですね。

添付文書では、定期的に服薬した場合、1週間時点で定常状態に達していたと報告されています。

Ⅱ.特定の時間帯だけ不安を抑えたい

ある程度の即効性を期待できるエチゾラムは、特定の時間帯だけ不安を抑える「頓服」として用いられる事もあります。

頓服の場合は、飲む時間に気を付けなければいけません。

エチゾラムは頓服としても用いられていますが、実はエチゾラムの最高血中濃度到達時間は約3時間であり、即効性に優れるお薬だとは言えません。

もし頓服として使うのであれば、一番効かせたい時間の3時間前に服薬するのが理論上はベストだと言えます。例えば、「毎朝10時の朝礼発表で緊張が強くなるから、それを抑えたい」ということであれば、朝7時頃にエチゾラムを服薬するのがベストだということです。

しかし頓服というのは、予定外に症状が出てしまった時にそれをすぐに抑えるための使い方ですから、症状が出る3時間も前に服用しなければいけない、というのは頓服の使い勝手としてはあまり良いものではありません。

実際はエチゾラムの効きが最高値になるのは3時間ですが、効果が強いエチゾラムは服用して30分もすればある程度の効果は感じられます。そのため、急な服薬の必要が出て来た時に、その場ですぐ飲むという方法でもある程度の効果は期待できます。

しかし頓服としての抗不安薬が必要なのであれば、最高血中濃度到達時間が1時間であったり2時間であったりとより即効性に優れる抗不安薬を使うという選択肢もあります。

エチゾラムが合う人もいますので、そういう方はエチゾラムを使ってもいいのですが、より即効性に優れる抗不安薬もあることを覚えておきましょう。

頓服として使用するメリットは、その場の不快な症状をすぐに緩和できる事、そしてワンポイントでの使用であれば依存にもなりにくいという事です。

しかし定期的な服用と比べると、お薬の血中濃度が定常状態に達さないため、効きはどうしても弱めになります。

4.半減期とは?

最後に「半減期」について詳しく説明します。「半減期」はあまり効きなれない用語ですのでその意義をイメージしにくいかもしれません。

半減期というのは「お薬の血中濃度が半分になるまでに要する時間」のことです。半減期はお薬がどのくらいで体の中に取り込まれて、どのくらいで抜けていくのかを「血中濃度」でみています。

お薬を服用してからその成分がどのように身体の中で変化していくかが分かるため、半減期からある程度、そのお薬の作用時間の目安を推測する事ができます。

例えば、下記のような薬物動態を示すお薬があるとします。

半減期イメージ

だいたいのお薬は内服すると、このグラフのようにまず血中濃度がグンと上がり、それから徐々に落ちていきます。

このおくすりは、投与10時間後の血中濃度は「10」ですが、投与20時間後には血中濃度は半分の「5」に下がっています。血中濃度が半分になるのに要する時間は「10時間」ですので、このお薬の半減期は「10時間」だということが出来ます。

そして半減期が10時間ということは「だいたい10時間くらい効くお薬」なんだと分かります。

正確には半減期と作用時間の長さは完全に一致するわけではありません。実際は、お薬を飲むとまずは血中濃度は上がり最高血中濃度に到達してそれから下がっていきますので、厳密に言えば最高濃度に到達するまでの時間も加味しなければいけないでしょう。

更に細かく考えて行けば、どのくらい血中濃度が下がれば薬効を感じなくなるかは人それぞれですし、個々人の体質や代謝能力まで考え出すとキリがなく、作用時間を数値化することは困難になります。

そのため、あまり難しく考えず、ざっくりと「だいたい半減期が作用時間と同じくらいだ」と考えていいのではないかと思います。

半減期はあくまでも目安で、個人差はありますので気を付けてください。お薬を分解する力が強い人もいれば弱い人もいて、人によって差があるのが実情です。