ユーロジンは1977年に発売された睡眠薬で、ベンゾジアゼピン系という種類に属します。
古い睡眠薬ですが、ベンゾジアゼピン系は効果も良く、重篤な副作用も少ないため、現在でも使われることは少なくありません。
ここではユーロジンの効果の強さ作用時間、他の睡眠薬との比較などを紹介していきます。
1.ユーロジンの作用時間
睡眠薬は作用時間で大きく4種類に分類されています。
- 超短時間型・・・半減期が2-4時間
- 短時間型 ・・・半減期が6-10時間
- 中時間型 ・・・半減期が12-24時間
- 長時間型 ・・・半減期が24時間以上
半減期というのは、その薬の血中濃度が半分になるまでにかかる時間の事で、
「おおよその薬の作用時間」の目安として使われています。
ユーロジンは「中時間型」の睡眠薬に分類され、
服薬してから5時間ほどで血中濃度が最高値になり、半減期は約24時間です。
ユーロジンの特徴は、飲んでから血中濃度が最高値に達するまでに5時間もかかるというところです。
即効性はなく、5時間かけてじっくり効いてくる睡眠薬なのです。
また「半減期が24時間」と聞くと「24時間眠り続けてしまうのか!?」心配される方がいますが、
よほど薬が効きやすい方でない限り、そんなことはありません。
おくすりの血中濃度が半分になるまでに24時間くらいはかかるのは事実ですが、
その間ずっと強力に眠らせているわけではありません。
服薬後約5時間で血中濃度が最高値になった後は、緩やかに低下していきますから、
眠らせる力も少しずつ弱くなっていきます。
とは言っても、日中も眠気が残りやすいのは確かですから、注意して使用しなくてはいけません。
2.睡眠薬の作用時間比較
よく使われる睡眠薬の作用時間を比較してみましょう。
睡眠薬 | 最高濃度到達時間 | 作用時間(半減期) |
---|---|---|
ハルシオン | 1.2時間 | 2.9時間 |
マイスリー | 0.7-0.9時間 | 1.78-2.30時間 |
アモバン | 0.75-1.17時間 | 3.66-3.94時間 |
ルネスタ | 0.8-1.5時間 | 4.83-5.16時間 |
レンドルミン | 約1.5時間 | 約7時間 |
リスミー | 3時間 | 7.9-13.1時間 |
デパス | 約3時間 | 約6時間 |
サイレース/ロヒプノール | 1.0-1.6時間 | 約7時間 |
ロラメット/エバミール | 1-2時間 | 約10時間 |
ユーロジン | 約5時間 | 約24時間 |
ネルボン/ベンザリン | 1.6±1.2時間 | 27.1±6.1時間 |
ドラール | 3.42±1.63時間 | 36.60±7.26時間 |
ダルメート/ベジノール | 1-8時間 | 14.5-42.0時間 |
作用時間が睡眠薬によって様々であることが分かります。
最高濃度到達時間が早いお薬は、「即効性がある」と言えます。
ルネスタ、マイスリー、アモバンなどの「超短時間型」は1時間前後で血中濃度が最高値になるため、
「すぐに寝付きたい」という方にお勧めですが、3-4時間で効果が切れてしまいますから
長くぐっすり眠りたい方には不適であることが分かります。
反対に7-8時間ぐっすり眠りたい場合は、レンドルミンやリスミー、サイレース/ロヒプノールや
デパス、ユーロジンなどの睡眠薬が適していることが分かります。
それぞれ特徴が違いますので、主治医と相談して、自分に合いそうな睡眠薬を選びましょう。
3.ユーロジンの強さは?
ユーロジンの睡眠薬としての強さはどのくらいなのでしょうか?
これは個人差もありますが、総じていうと「普通」くらいでしょう。
現在の睡眠薬は、ベンゾジアゼピン系と非ベンゾジアゼピン系睡眠薬が主流となっていますが、
これらの睡眠薬はどれも強さに大きな差はないと言われています。
強さは同じくらいで、「強さがピークになる時間帯」や「効果が続く時間」が違うだけです。
左図のように、睡眠薬はどれもピーク時の強さは大差ありません。
強さが大きく変わらず、強さがピークになる時間帯が違うのです。
そのため効果を強めたい場合は、睡眠薬の種類を変えるよりも「量を増やす」方が効果的です。
ユーロジンは1mgから4mgの間の量で使いますが、量を増やせばそれだけ効果は強くなります。
ただし4mgは高容量であり、人によっては強く効きすぎますので、いきなり4mgから開始しないようにしましょう。
まずは1-2mgで開始し、効果が不十分な場合に限り3-4mgを使うようにしてください。
3.ユーロジンが向いている人は?
不眠には大きく分けると2つのタイプがあります。
一つ目が「寝付けない事」で、これは「入眠障害」とも呼ばれます。
そして二つ目は「すぐに起きてしまう事」で、これは「中途覚醒」と呼ばれます。
一般的には、
- 入眠障害には超短時間、短時間型、
- 中途覚醒には中、長時間型
の睡眠薬が適していると言われています。
ユーロジンは中時間型ですから、「夜中に起きてしまう」という中途覚醒の方に向いています。
寝付きは問題ないんだけど、眠ってから4-6時間くらい経つと起きてしまう、もう少しグッスリ眠りたい。
こういった方ですね。
また、内服してから血中濃度が最高になるまで5時間もかかるため、即効性は皆無です。
即効性という意味では最弱クラスでしょう。
そのため入眠障害に使用しても効果はほとんど得られません。
副作用というデメリットしかないでしょう。