特定の精神疾患を持つ方で、主治医が「運転は危険な状態」と判断していた場合、交通事故を起こすと処罰されることがあります。
そのことを詳しく定めた法が本年5月より施行されます。
精神疾患で精神科に通院しており、車の運転をしている方には関係のある法律かもしれませんので、ご一読ください。
今回の話は「自動車運転死傷行為処罰法」という法です。
この法では、特定の疾患に罹っており、安全な運転に必要な能力を損なう可能性のある症状が認められるにも関わらず、交通事故を起こした場合は処罰対象なることを定めています。
この法は平成26年4月18日に政府決定され、同年5月20日より施行となるようです。
「特定の疾患」とは、具体的にいうと、
- 統合失調症
- 低血糖症
- 躁うつ病、うつ病
- 再発性失神
- 重度の睡眠障害
- 意識や運動の障害を伴うてんかん
です。
精神科に関係するものとしては、「統合失調症」「躁うつ病」「睡眠障害」「てんかん」で、
これらの患者さんのうち、主治医が「この人は運転したら危ない症状がある」と判断した場合に
適応となります。
主治医が「運転は危険」と判断していたにも関わらず、運転を行い、交通事故を起こした場合は、
同法に該当し、処罰対象になります。
具体的な処罰は、人を死亡させた場合に懲役15年以下、負傷させた場合に同12年以下となるようです。
これは数年前にメディアを賑わせた
「てんかん患者が、自身がてんかんであることを隠して免許を取得し運転した。
その後、運転中のてんかん発作が原因で交通事故を起こし、死傷者を出した」
という事件が元で作られる事になった法律のようです。
統合失調症や躁うつ病の方のすべてが同法の適応になるわけではありません。
あくまでも、医師が「あなたは運転するには危険な症状があります」と判断した場合のみです。
同疾患で通院しており、車の運転もする可能性のある方は、
主治医に運転が可能かどうかを確認してください。
そして、「危険である」という判断が出たときは絶対に運転してはいけません。
それは「違法行為」になります。「ごめんなさい」では済みません。
これは、交通事故の被害者を減らせるというメリットもある反面、
病気の方の運転という自由を奪うというデメリットもあります。
実際、てんかんや統合失調症を対象疾病に含めることについては、
日本てんかん学会や日本精神神経学会から反対の声明が出されています。