どこからがネット依存症?症状から見る診断・チェック方法

ネット依存症、インターネット依存症

「ネット依存症」「インターネット依存症」「ネット中毒」と言う言葉が最近メディアで聞かれるようになってきました。

インターネットの普及はすさまじく、最近ではパソコンを使わなくてもスマートホンやタブレットにより簡単にネットに接続できます。

インターネットはとても便利なものですが、その反面でインターネットに依存しすぎてしまい日常生活に支障が出てしまっている方も出ているようです。海外では母親がインターネットのオンラインゲームに依存しすぎて赤ちゃんを死亡させてしまうという事件や、ネットのやりすぎを母親に注意された子供が逆上して母親を殺してしまうという事件もあり、世間に衝撃を与えました。

ネット依存症とは、本人が苦痛であるのみならず、場合によっては周囲にも大きな迷惑をかけてしまう、決して侮れないものなのです。

しかしインターネットというのは私たちの日常や仕事に深く浸透しており、インターネットをやっているからそれだけで問題という事にはなりません。アルコールと一緒で適度に楽しむ分には問題のないものであるはずです。

では、どこまでいったら「ネット依存症」と判断される状態になるのでしょうか。

今日は、最近取り上げられる事の多いネット依存症について、詳しくみてみましょう。

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1.ネット依存症ってどんな状態の事?

ネット依存症はマスコミが社会問題として取り上げるようになって造られた用語であり、医学的に「ネット依存症」という病気があるわけではありません。ネット依存症というのは、医学的には「依存症」の一型になります。

現状として、近年インターネットに過度に依存してしまう事で日常生活・社会生活に大きな支障が出ている方は増えています。

今はインターネットに触れた事がない方というのは特に若い方ではほとんどいないでしょう。私たちにとってインターネットというものは、日常的に触れるものになっています。

インターネットにはたくさんの長所があります。遠く離れた人とも簡単に交流ができます。必要な情報を素早く検索して調べる事ができます。こ非常に便利なものなのです。

しかし何事も適度な使用に留めるべきであり、インターネットも例外ではありません。過剰にインターネットにハマってしまい、日常の生活に様々な障害が出現するになると、それは問題となります。

例えば、

・インターネットにハマりすぎて仕事を休むようになった。
・インターネットをしていないと落ち着かず、ソワソワする。
・インターネットで昼夜逆転しており、本来すべきである活動が出来ない

このような生活に障害が出るようになった時、これは異常だと考える必要が出てきます。

インターネットに依存状態にある、という判断は専門家によって慎重になされるべきではありますが、ざっくりと言えば、

インターネットの過度な使用が原因で、生活に支障を来している状態

をネット依存症と呼びます。

2.どこからがネット依存症なのか?

インターネットは多くの方が使っています。しかしどこまで使うのがセーフで、どこからが依存症になるのでしょうか。

最近、ついつい長時間ネットをしてしまっている方は、「自分は依存ではないだろうか」と心配になるかもしれません。どのラインまではセーフで、どのラインを超えたら「ネット依存症」になってしまうのでしょうか。

ざっくり言えば、先ほどの「インターネットの過度な使用が原因で、生活に支障を来している状態」に該当するかどうかで判断してよいでしょう。

何時間以上使ったら依存症、という明確な決まりはありません。しかしネットによって生活に何らかの支障をきたしている場合、それはネットに依存状態にある可能性が高くなります。

しかしこの判断基準だけでは曖昧ですので、もう少し具体的な判断基準を紹介します。

アメリカ精神医学会(APA)が発行している精神疾患の診断基準であるDSM-5には、ネット依存症という病名はありませんが、「今後の研究のための病態」という項目に「インターネットゲーム障害」という病名が新たに設けられています。これは前版のDSM-4まではなかった概念です。

インターネットゲーム障害は、まだ正式な診断基準として用いているものではありません。しかし、世界的な精神疾患ガイドラインが新たにこの疾患項目を作成したという事から、インターネット依存が世界的に大きな問題となっていることが分かります。

インターネットゲーム障害の診断基準を紹介します。

臨床的に意味のある機能障害や苦痛を引き起こす持続的かつ反復的な、しばしば他のプレーヤーとともにゲームをするためのインターネットの使用で、以下の5つ以上が、12か月の期間のどこかで起こることによって示される。

(1)インターネットゲームへのとらわれ(過去のゲームに関する活動の事を考えるか、次のゲームを楽しみに待つ;インターネットゲームが日々の生活の中での主要な活動になる)
(2)インターネットゲームが取り去られた際の離脱症状(これらの症状は典型的には、いらいら、不安、または悲しさによって特徴づけられるが、薬理学的な離脱の生物学的徴候はない
(3)耐性、すなわちインターネットゲームに費やす時間が増大していくことの必要性
(4)インターネットゲームにかかわることを制御する試みの不成功がある事
(5)インターネットゲームの結果として生じる、インターネットゲーム以外の過去の趣味や娯楽への興味の喪失
(6)心理社会的な問題を知っているにも関わらず、過度にインターネットゲームの使用を続ける
(7)家族、治療者、または他者に対して、インターネットゲームの使用の程度について嘘をついたことがある
(8)否定的な気分(例:無力感、罪責感、不安)を避けるため、あるいは和らげるためにインターネットゲームを使用する
(9)インターネットゲームへの参加のために、大事な交友関係、仕事、教育や雇用の機会を危うくした、または失ったことがある

注:この障害には、ギャンブルではないインターネットゲームのみが含まれる。ビジネスあるいは専門領域に関する必要性のある活動のためのインターネット使用は含まれないし、他の娯楽的あるいは社会的なインターネット使用を含めることを意図したものではない。同様に、性的なインターネットサイトは除外される。

(DSM-5より引用)

これはインターネットゲームに限定しているため、より広範なものを指す「ネット依存」とは正確には異なりますが、だいたいこの診断基準を参考にして考えて良いと思います。「インターネットゲーム」を「インターネット」に置き換えて自分に当てはまるか、考えてみてください。

診断基準というのは難しい言い回しで書かれていますので、一般の方が理解するのには少し分かりにくいものです。

上記の診断基準を簡略化し、セルフチェックできるようにすると次のようになります。

1年間の間のどこかで認めた症状があれば「はい」を選んでください。5点以上で、ネットが生活に支障を来している場合はネット依存症となります。仕事上などの必要あるネットの使用は含まれません。

やや簡単に端折ってしまいましたが、おおよそはこのような基準で考えてよいでしょう。

過剰なネット利用によって生活に支障を来していて、それがまずいと分かっているのに止められないという状態ですね。

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3.ネット依存症に当てはまる場合はどうすればいい?

これらの診断基準に当てはまり、「どうも自分はネット依存症っぽいぞ」と思われる方がいたら、すぐに専門家に相談しましょう。

依存症の方は「まだ大丈夫」「もう少し自分で頑張ってみよう」「もう少し様子を見てみよう」と自分の現状を否認し、治療をすることを避けようとする傾向があります。しかし、生活に支障が出てる以上、闇雲に引き延ばす事はおすすめしません。

セルフチェックをすると採点が甘くなる可能性があるため、可能であれば本人のネット使用状況を把握している人(親など)にもチェックしてもらい、本当に5点以下なのかを再確認してください。

診断基準を満たている場合、すでに自分の努力では止めることが出来ないレベルまで来ていると考えられます。これ以上放置すれば、より悪化する可能性の方が圧倒的に高くなります。

このまま放置すれば、ネット依存症はあなたの大切な将来をどんどん奪ってしまう可能性があります。ネット依存症は学生などの若い方に多く認められることが分かっています。ネット依存が重症化して不登校や引き込もりなどになってしまうと、そこから立ち直るのにはたくさんの時間が必要になります。あなたの大切な将来がつぶされてしまうのです。

依存というのは、「自分が気持ちを強く持てば何とかなるはず!」と自分の努力で解決しようとしがちですが、よほど幸運な場合を除いて、自分ひとりの力だけでは成功しません。家族や医療者などを巻き込み、皆で協力して治していかなければいけません。

一度は自分ひとりでネット時間を減らす努力をするのは良い事ですが、それでうまくいかない事が続く場合は精神科・心療内科に相談してください。

とは言っても、ネット依存症の専門外来というのはほとんどありません。関東では「ネット依存症外来」を立ち上げている精神科もありますが、全国的に見ればまだまだ少数でしょう。

ネット依存症というのは、特殊な疾患ではなく依存症の一型です。そのため、治療の大筋としては依存症の治療に準じます。

そのため、近くにネット依存症の専門外来が無い場合は、一般の精神科・心療内科でも問題ありません。ただし受付の電話をする際に「ネット依存症の可能性があるけども、対応可能か?」という事は確認しておいた方がよいでしょう。

ネット依存症の治療を受けるに当たって、一つだけ必要なものがあります。それはあなた自身の治療意欲です。

「自分自身がこの状態から脱却したいと思っている」かとても大切です。ネット依存症は、アルコールや覚せい剤などの依存性物質を止めるのと基本的には同じです。これは周囲の協力も必要ですが、最終的には「自分の意志」がもっとも重要になります。今はネットをどこでもつなげる時代です。本人が「ネットやっちゃおう」と思えば、いつでもやれてしまうのです。

自分の意志を最後まで持ち続けるには、周囲の援助だけでなく、何よりも自分自身が「今の状態を治したい!そのためなら頑張る!」と思ってくれている事が必須です。

たまに、ネット依存症の子供を持つ親が、無理矢理子供を精神科に連れてくる事があります。しかしこの場合、子供自身が自分のネット依存症に対して「治したい!」と思っていないと、間違いなく治療は成功しません。

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