性格を変える方法と注意点。性格は変えることが出来るのか?

性格を変える方法。性格は変えることができるのか

世の中には色々な性格の方がいます。

どんな性格にも良い面もあれば悪い面もあるため、「この性格だから良い」「この性格は悪い」と一概に決め付けることはできません。

しかし、「自分の性格が嫌いだ」「性格を変えたい」と考えている方は少なくありません。

特に精神科では、その人の性格や考え方の傾向なども話題に挙げることが多いため、「性格を変えたい。どうすればいいのでしょうか」と相談を受けることがあります。

性格は変えることができるのでしょうか。また変えることが出来るのだとしたらどのようにしたらいいのでしょうか。

今日は精神疾患と性格の関係、そして性格を変えることについてお話します。

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1.性格が精神疾患に及ぼす影響

精神科の診察で、その人の性格に焦点を当てることが多いのは、精神疾患と病前性格の関係が指摘されているからです。

精神疾患には病前性格という概念があります。病前性格は、精神疾患を発症する前のその患者さんの性格傾向のことです。

「元々こういう性格傾向のある人は、こういった精神疾患にかかりやすい」と、性格の傾向と精神疾患の発症にはある程度の関係性があると考えられており、精神科診察において病前性格は重要な情報になります。

病前性格というと何だか難しく聞こえますが、もっと簡単に考えて、いつもネガティブな人はうつ病になりやすいでしょうし、いつも心配ばかりしている人は不安障害にかかりやすい、というのはみなさんもイメージしやすいのではないでしょうか。

病前性格と精神疾患の発症にはある程度の関係性があるのは間違いありません。

代表的な病前性格とかかりやすい精神疾患を紹介します。

Ⅰ.メランコリー親和型

うつ病の病前性格としてテレンバッハが提唱した性格概念です。

・秩序・規則を重んじる
・几帳面
・仕事熱心、勤勉
・責任感が強い
・他者との衝突を避け、他人に尽くす

また、似たような概念で、下田氏が提唱した執着性格という概念もあります。

Ⅱ.循環性格

双極性障害(躁うつ病)の病前性格として、クレッチマーが提唱した性格概念です。

・社交的で親しみやすい
・情やこころの温かみがある
・活動的
・適応力が高い

また、クレッチマーは性格と体格に一定の共通項があると主張し、循環気質は肥満型の人に多いと指摘しています。

Ⅲ.ディスチミア親和型

いわゆる新型うつ病の病前性格として多い性格傾向として近年提唱されたものです。

・自己愛が強い
・漠然とした万能感を持つ
・他罰的
・責任感に乏しく逃避的
・秩序や規則に抵抗を示す
・他人の評価を過剰に気にする
・人間関係に過敏で傷つきやすい

これらの他にも病前性格はいくつもありますが、今日の本題とは外れるため、今日は省略します。

2.性格はどのように形成されるのか

性格とは、人間の持続的な性質のことを表しています。

似たような言葉に「気質」や「人格」などがあります。これらは日常ではほぼ同じ意味で用いられているのですが、正確に言うと、

気質・・・性格のうち、生まれ持っているもの(先天的なもの)
人格・・・性格に社会的・道徳的側面を含めた概念。

という違いがあります。

気質は、生まれ持ったその人の感情特性であるため、基本的に赤ちゃんの頃から見られます。成長して、様々な出来事を経験する中で気質に様々な考え方が加わっていき、性格が形成されていきます。

性格は、育った環境や対人関係などの影響を受け、少しずつ形成されていくのです。

同じ気質を持った人であっても、異なる親の元・異なる環境で育ったり、異なった交友関係を持てば、性格は異なったものになります。

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3.性格は変えることが出来るのか?

結論から言ってしまうと、

性格を変えることは可能ではあるが、かなりの覚悟と労力を要する

というのが答えになります。

自分が持っている先天的な感情特性である気質を変えることは難しいのですが、気質に様々な考え方が少しずつ少しずつ加わっていった結果として性格が形成されていますから、その性格を変えることは不可能なことではありません。

先ほど、同じ気質を持った人でも環境や交友関係が異なれば性格も違ってくる、とお話しましたが、これも性格が変えられるものであることを示しています。

しかし、性格は環境や付き合った人間などの影響を受けながら少しずつ少しずつ形成されていったものですから、急に変えることができるはずはありません。変えることは可能ですが、かなりの時間と労力を要するのが普通です。変えられるものではあるが、簡単に変えられるものではない、という認識を持つ必要があります。

精神疾患の治療を行っていると、「この人の性格傾向が病気の発症に大きく関係しているな」と感じることがあります。この場合、理想的な治療法は「性格を変えてもらうこと」になるでしょう。

実際、こういったケースに出会った場合は、「このように考えてみるといいでしょうね」「そのような考え方だと病気を悪くしてしまいますよ」とは提案はします。

この時、ほとんどの患者さんは「そうですね」「自分でもそれは分かってるんですけどね・・・」という反応をします。こちらの提案に関して「そんな考え方があったなんて!気付かなかった!!」と驚かれる方はほとんどいません。

つまり、ほとんどの方は私たちが指摘するまでもなく、「自分のこの性格の傾向が問題を起こしている」ということに気付いているのです。そして気付いてはいるけど、治せていないということでもあります。

性格を変えるのがいかに難しいことがここからも分かるでしょう。「これを治せば楽になる」と頭では分かっていてもなかなか変えられないのが性格なのです。

そのため、性格を変える(≒考え方を変える)指導ももちろんするのですが、それだけだといつまでも治療が進まないこともあるため、本人と相談の上でお薬など他の治療も併用していくことも現状では少なくありません。

4.性格を変えるために必要なこと

性格を変えることは不可能ではありません。しかし、中途半端な気持ちで変えられるものでもありません。

もしあなたがそこまで理解した上で、「性格を変えたい」と考えるのであれば次のことが必要になります。

Ⅰ.時間

性格は長い年月をかけて形成されていきます。例えば30歳の人であれば、生きた30年間全てが性格形成には関わっているのです。

30年かけて形成されたものを数日で変える事など不可能です。それ相当の時間がかかると考えるのが普通でしょう。更に長く生きていれば生きているほど、性格を変えるのは難しくなります。特に高齢者などでは性格が固まっている方も多いため、性格を変えることは極めて困難になります。

一般的に成人している場合であれば、性格を変えるには数年単位の時間がかかるという認識を持たなくてはいけません。

いきなり途方もないことを言ってしまいますが、これは事実なのですから仕方ありません。安易に短時間でやろうとしても失敗するだけですから、やるからには現実を知っていただいてやらないといけません。

時間をかけて地道に治していくという理解が必要です。

Ⅱ.覚悟

性格を変えようと考えたのであれば、相当の覚悟が必要です。それは性格を変えるということは、「自分が変化すること」だからです。

性格を変える場合、自分の性格の一部を壊し、そこに新たな性格を加えるという作業になります。

自分の性格の一部を壊すという事は、それまでの自分の一部を「否定する」という側面をどうしても持ってしまいます。これを受け入れることはなかなか難しいものなのです。

誰だって自分自身にはある程度の誇り・プライドをもっていますから、自分の今までの性格を否定する、ということには抵抗を持ってしまうのが普通です。これがなかなか受け入れられず、性格が変えられないという方は少なくありません。

自分が今後こころ穏やかに生きていくために、今の自分の一部を修正していくことができるのか。ここを受け入れる覚悟があるかどうかは、最初にしっかりと見極めて下さい。

受け入れられない場合、下手に性格を変えようとするのではなく、他の治療法を選択した方が賢明であることもあります。

Ⅲ.明確な理由と変化像

自分の性格のどんな部分に問題を感じていて、どのように修正していくことを目標としているのか

性格を変えていくためには、ここを明確にしないといけません。ここが漠然としていては、どのようなステップを踏めばいいかもはっきりしてこないからです。

何となく「明るい性格になりたい」「真面目になりたい」ではまず失敗します。

自分の今の何が問題なのか、理想像になることでそれがどう改善されるのか。また今の性格を変えてしまうことで反対に失われるものはないのか。

しっかりと考え抜いて納得した上で行ってください。自分を変えることに対して、自分が心から納得していないと、本気で頑張ることはできないものです。

Ⅳ.客観的に見てくれる第三者

性格はすぐには変わりません。

意識的に変えてみても、知らず知らずのうちに元の性格に引き戻されていきます。

そのため、自分だけで頑張って自分だけで評価するのではなく、第三者と定期的に面談し、目標に向かってしっかりと進んでいるのかを定期的に再確認する必要があります。

実際には、カウンセリングなどを導入し、臨床心理士などに第三者になってもらうのがよいでしょう。

5.性格を変えるのは簡単ではない

性格を変えるのは不可能ではありません。

十分な努力をし、時間をかけ、定期的にフィードバックを受けて修正を繰り返していけば変わっていきます。

しかし、現実問題、このような条件を揃えられる人はかなり限られています。

ほとんどの人は仕事をしていたり学校に通っていたりして忙しいと思います。その忙しい中で、治療のための十分な時間も確保しなければいけません。

しっかり性格を変えるのであれば、医師の診察以外にもカウンセリングなどを導入すべきですが、カウンセリングにも時間が必要です。またカウンセリングは保険が使えず自費となることが多いため、お金もそれなりにかかることが予測されます。

モチベーションも数年間保ち続ける必要があり、これも現実的にはなかなか難しいところです。

だから「性格を変えるのを諦めろ」、と言いたいのではありません。

簡単に変えられないものなので、中途半端な気持ちで望むべきではないということが言いたいことです。

精神科の治療の現状は、お薬が主体になってしまっているという事実があります。しかし治療にあたって、お薬を提案すると「薬は飲みたくない。性格を変えていく治療をしたい」とおっしゃる方がいます。もちろんその希望にはなるべく沿いたいのですが、性格を変えることはかなり大変な作業であるということを理解して頂いた上で選択していただきたいのです。性格を変えるという治療法は、安易に導入すべきではありません。

十分な時間と覚悟を持ってやっていただけるのであれば、私たちも出来る援助はしますが、中途半端に初めてしまうと、治療がうまくいかず、病気もなかなか治らず慢性化してしまう、という事態にもなりかねません。

「性格は治したいけど、仕事で忙しいから十分な時間は取れない」のであれば、場合によってはお薬を使った方が有益なこともあります。

性格を治していく治療というのは、根本の治療のようにも見えるしお薬と違って副作用もない治療のため、最良の方法であるように見えます。もちろんそれはその通りなのですが、その分、患者さん本人の相当の努力が必要であるということでもあるのです。

最近、よく行われている認知行動療法なども広く言えば「性格の一部を修正する治療法」という事ができます。認知行動療法はだいたい3か月程度で終了しますが、それは3か月で性格が修正されたわけではありません。あくまでも「認知行動療法の考え方を理解した」というだけです。

その後、自分自身で認知行動療法を続けていかないと、高確率で認知(考え方)は元に戻っていきます。しっかりと認知が修正できた、という状態に至るにはやはり数年程度はかかることが普通です。

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