醜形恐怖症の診断法とセルフチェック法

醜形恐怖症の診断とセルフチェック

醜形恐怖症(身体醜形障害)は、自分の容姿に対する認知が歪んでしまい、全く問題のない容姿であるにも関わらず「自分は醜い」と評価してしまう疾患です。

しかし、「自分はあまりカッコよくない」「私はあまりかわいくない」と自分を評価している方は少なくありません。逆に「自分はカッコいい」「自分は美人だ」と自信を持っている人の方が少ないでしょう。多くの方は自分の容姿について多少なりとも不満を持っているものです。

ではそういった方は全て醜形恐怖症になってしまうのでしょうか。

もちろんそんなことはありません。しかし醜形恐怖症というのは一体どこからが病気に該当するようになるものなのでしょうか。

また「自分は醜形恐怖症かもしれない」と感じた場合、どのような症状があった場合に受診を考えたら良いでしょうか。

今日は醜形恐怖症の診断基準と、醜形恐怖症を疑った際のセルフチェック方法について紹介します。

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1.醜形恐怖症はどのように診断されるのか

醜形恐怖症(身体醜形障害)は精神疾患の1つと考えられており、その診断基準があります。

精神疾患は直接目には見えない「こころ」の病気ですので、明確に診断基準を定めることは困難だという特徴があります。しかし何の基準もないと、病気なのかどうかの判断が医師によって異なってしまい、これは患者さんにとって不利益となってしまいます。

医師による診断のバラつきをなくすためには病気に対して一定の基準を設ける必要があり、そのため精神疾患にも他の科の疾患と同じく診断基準が設けられています。

精神疾患において診断基準は絶対的なものではありません。診断基準を文面通り満たせば良いというものではなく、あくまでも専門家である精神科医が精神科的な見解で評価した上で診断基準を満たすと判断された場合に適応となるものです。

そのため一般の方が病気の診断基準をみても、それだけで精神疾患の診断を出来ることにはなりません。

しかし診断基準に書いてあることを理解することで、その病気の可能性が高いかどうかをある程度の精度で推測することは可能となるため、患者さんが診断基準を理解することには一定の意味があります。

精神疾患の診断基準を定めたもので、世界的に広く使われているものは、

  • APA(アメリカ精神医学会)が発刊しているDSM-5
  • WHO(世界保健機構)が発刊しているICD-10

の2つが有名です。

このうち、ここではDSM-5の醜形恐怖症(身体醜形障害)の診断基準を紹介させて頂きます。

【身体醜形障害(醜形恐怖症)の診断基準(DSM-5)】

A.1つまたはそれ以上の知覚された身体上の外見の欠陥または欠点にとらわれているが、それは他人には認識できないか、できても些細なものに見える

B.外見上の心配に反応して、繰り返し行動または精神的行為を行う

c.その外見へのとらわれは、臨床的に意味のある苦痛、または社会的・職業的・他の重要な機能の障害を引き起こしている

D.その外見へのとらわれは、摂食障害の診断基準を満たしている人の、肥満や体重に関する心配ではうまく説明されない

醜形恐怖症の診断基準は4項目のみでなされ、割と分かりやすいものとなっています。

しかし、とは言っても専門用語も多く分かりにくいかもしれません。

次項では診断基準について1つずつ詳しく説明していきます。

2.醜形恐怖症の診断基準

ここでは醜形恐怖症の診断基準について、1つずつ詳しく説明していきます。

これら4項目を全て満たす場合、醜形恐怖症である可能性が極めて高いと言えます。

Ⅰ.ボディイメージの障害

A.1つまたはそれ以上の知覚された身体上の外見の欠陥または欠点にとらわれているが、それは他人には認識できないか、できても些細なものに見える

醜形恐怖症の主な症状は、「自分は醜い」と主観的に評価してしまう事です。他の人からの客観的な評価だと「問題ない」容姿なのに、自分からすると「醜い」容姿に写り、主観的評価と客観的評価に大きなズレが生じていることが特徴です。

これは自己の身体像に対する評価に歪みが生じていると言えます。これを専門的には「ボディイメージの障害」と呼びます。

Ⅱ.確認行動

B.外見上の心配に反応して、繰り返し行動または精神的行為を行う

醜形恐怖症の方は、「自分は醜い」「自分の容姿で人を不快にさせている」「自分の醜い容姿は人から笑われている」といった不安を常に抱えています。

そのため何度も何度も自分の容姿を鏡を見て確認したりするようになります。

この確認行動は、周囲から見たら明らかに異常であり、やりすぎに写ります。

診断基準には、繰り返し行動の例として

  • 鏡による確認
  • 過剰な身づくろい
  • 皮膚むしり
  • 安心希求行動(大丈夫だよね?などと頻回に確認する)

を挙げています。

また精神的行為としては、

  • 他人の外見と自分の外見を比較する

を例として挙げています。

Ⅲ.生活への支障

C.その外見へのとらわれは、臨床的に意味のある苦痛、または社会的・職業的・他の重要な機能の障害をもたらしている

自分の容姿が「美しくはない」と思っていたとしても、それで生活に大きな支障が生じていなければ、大きな問題とはなりません。

問題となるのは、これらの症状によって生活への支障が生じている場合です。

例えば、自分が醜いという不安から、

  • 学校にいけない
  • 外出が出来ない
  • やりたい活動が行えない
  • 人とコミュニケーションが取れない

という事態が生じているのであれば、これは生活への支障が生じていると考えることができます。

醜形恐怖症に限らず、あらゆる精神疾患で「その症状によって生活への支障が生じているのか」という事はとても大切な事になります。

Ⅳ.他の疾患の除外

D.その外見へのとらわれは、摂食障害の診断基準を満たしている人の、肥満や体重に関する心配ではうまく説明されない

これは精神科医でないと判断が難しい項目ですが、この項目が言いたい事は「摂食障害など、他の疾患で生じている症状ではない事の確認」です。

醜形恐怖症と同様にボディイメージの障害が生じる疾患に「摂食障害(拒食症・過食症)」があります。摂食障害の診断基準を満たすのであれば診断名は摂食障害になり、当然ですがこの場合は醜形恐怖症だと診断することは出来ません。

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3.醜形恐怖症のセルフチェック方法

醜形恐怖症の診断基準を見てきました。

4つの項目のうち、一般の方は自分でチェックできるのは3つになります。最後の項目は「摂食障害」など他の疾患を診断できないと除外は難しいため、一般の方がチェックするのは困難です。

以上から醜形恐怖症のセルフチェック項目を簡単にまとめると、

  1. ボディイメージ(自分の身体像への評価)の障害がある
  2. 自分は醜いというとらわれから、過剰に自分の容姿の確認を繰り返す
  3. 自分は醜いというとらわれから、生活への支障が出ている

この3つを満たしている場合、醜形恐怖症の可能性が高くなると言えます。

このうち、1.は自分では気付かない事もあるため、セルフチェック項目としては機能しない事もあります。「自分は醜い」と感じている本人が「この『自分は醜い』という評価は主観的なもので、客観的には違うのではないか」と客観的に自分を見つめ直すことは難しいからです。

しかし周囲の誰に聞いても「全然問題ないよ」と答えるのに、「自分は醜い」という気持ちが消えない場合、これは醜形恐怖症の可能性もあるかもしれない、という考えは持っておいても良いでしょう。

またその「自分は醜い」という不安から、明らかに過剰に鏡などをみて確認を繰り返すようであればそれも醜形恐怖症を疑う1つの根拠になります。特に、自分でも何度も確認しても意味がないことが頭では分かってはいるけど、不安でつい確認せずにはいられないという場合は可能性が高くなります。

最後に、その「自分は醜い」という評価によって生活への支障が生じているのかをふり返ってみて下さい。「自分は醜い」と思っていても、生活は問題なく行えているのであれば醜形恐怖症とまでは言えないかもしれません。

しかし「自分は醜い」という気持ちから、学校を休みがちになってしまったり、友達と遊べなくなってしまったり、外出が出来なくなっているようでれば、それは生活への支障が生じていると考えることができます。この場合、醜形恐怖症の可能性が高くなります。

まとめると、醜形恐怖症のセルフチェックで確認していただきたい事は、

  • 周囲の人は「あなたの容姿は問題ないよ」と言うけども、「自分は醜い」という気持ちが消えない
  • 自分の容姿への不安から、何度も何度も鏡などで容姿を確認してしまう。それが明らかに過剰だと分かってはいても確認せずにはいられない
  • 自分の容姿への不安によって、学校にいけない、外に出れないなどの生活への支障が出ている

かどうかです。

全てを満たす場合は一度精神科を受診し、精神科医に相談してみることをお勧めします。

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