夏も終わり、だいぶ涼しさを感じる毎日になってきました。
季節の変わり目は、普段よりも気分の落ち込みが出やすくなります。特に夏→秋→冬と寒い方向に移り変わる場合は落ち込みやすいため要注意です。
うつ病などで治療中の方は特に気を付けてくださいね。
正常な精神状態にある人でも、夏から秋・冬と寒くなってくると、「なんだか寂しいなぁ・・・」と物悲しくなるものです。
うつ病の方は、この物悲しさを大きくとらえてしまうため、不調になりやすいのです。これを理解しておくことは大切です。
秋になって理由もないのに落ち込みが強くなってしまった時、「これは、季節の変わり目で一時的に不調になっているだけだろう」と認識できていれば、「別に病気が悪くなっているわけじゃないから、このまま様子をみよう」と冷静に対処できます。
しかし、「病気が悪化してしまったんだ!」「大変だ!」と誤った判断してしまうと、焦りや絶望が生じ、それが契機となって本当に病気が悪化してしまうかもしれません。 うつ病を患っている方は、「ちょっと悲しい事」でも気分が落ちやすいのです。
今回お話した、季節の変わり目でもそうですし、それ以外にも例えば悲しい映画なんかを観てしまうと、それを契機にひどく落ち込んでしまうこともあります。
普通の状態であれば、「悲しい映画だったね」と一時的に感傷に浸る程度で済むのですが、精神的に不安定な状態だと、それ以上に精神が揺さぶられ悪化してしまうことがあります。
うつ病の治療をして、やっと元気が出てきた。
そこで、悲しい映画を観てしまい、その後数日間落ち込みがひどくなってしまった。
こんな例は時々ありますので、みなさんも気を付けてくださいね。
季節が変わることは自然現象ですので、自分たちの努力で変えることができません。
だからじっと耐えるしかありませんが、その中でもなるべく気分の変動は少なくしたいものです。
何か自分で取れる対処法はあるのでしょうか。
患者さんのお話を聞いていると、「規則正しい生活リズムを崩さない」ことが一番のようです。
普通すぎる回答で申し訳ありませんが、しかしこれはとても有効です。
少し肌寒くなり不調を感じてしまうと、生活習慣を変えてしまう方がいます。
「なんか気分が乗らないし、今日はいつもの散歩はやめとこう」
「なんか眠れないから、今日はもう少しゲームでもやろうかな」
このように「ちょっと不調になりだした時」に生活習慣を変えてしまうと、
そこから徐々に落ちてしまうケースは少なくありません。
少し気分の不調を感じても、それがそこまで重くないのであれば、
「これは季節の変わり目で感じているだけ。こんな時こそいつも通りの生活を心がけよう!」
と考え、行動した方がいいようです。
もちろん、明らかに落ち込みが強くなってきた場合は、早めに主治医の元を受診してくださいね。