エビリファイは太るのか|体重増加の理由と4つの対策

エビリファイは太るのか

精神科のお薬のほとんどは、太るという副作用があります。中でも抗精神病薬(統合失調症の治療薬)は太りやすい薬が多く、それに困っている患者さんは少なくありません。

エビリファイも抗精神病薬に属するお薬です。しかしエビリファイは、他の抗精神病薬と比べて太る程度は少ないお薬であり、太りたくない方におすすめしやすいお薬です

もちろん、体重増加の可能性が0というわけではありません。しかし、服薬しても体重が変わらないという方も多く、体重が増えたとしてもそこまで顕著でない事がほとんどです。また、他の抗精神病薬からエビリファイに変薬して、「体重が元に戻りました!」「痩せました!」という嬉しい声を聞くこともあります。

エビリファイの体重増加の程度はどれくらいなのでしょうか。またエビリファイで太る理由と、太ってしまった際の対処法はどのようなものがあるのでしょうか。

スポンサーリンク

1.エビリファイは太るのか?

エビリファイは太るのでしょうか。

統計として見ると体重は増加するが、その程度は他の抗精神病薬と比べると軽度だという報告が多く、個々人で見ると、服薬しても体重が変わらないという事も珍しい事ではありませんし、体重が増えたとしても軽度にとどまることがほとんどです。

ほとんどの抗精神病薬は副作用として「太ること」が認められ、これは患者さんを悩ませます。特に若い方や女性では気にされる方が多く、中には体重増加がイヤで服薬を中断したり、独断で減薬してしまう方もいます。

抗精神病薬で太るのは、主に抗ヒスタミン作用代謝抑制作用が原因だと考えられています。

抗ヒスタミン作用とは、お薬がヒスタミン受容体をブロックしてしまうことです。

ヒスタミンには食欲を抑えるはたらきがありますが、ヒスタミン受容体がおくすりによってブロックされてしまうと、ヒスタミンが作用を発揮できなくなります。すると食欲を抑えることができなくなったり過食傾向となり、太ってしまうということです。

また抗精神病薬はこころや身体をリラックスさせるはたらきがあります。これは「落ち着かせる」という意味では良いのですが、同時に代謝を落とす方向に働くため、糖や脂肪が代謝されにくくなり、体重増加やむくみを引き起こしてしまうのです。これは体重増加のみながら、血糖値を上げて糖尿病を引き起こしたり、脂質を上げて高脂血症を引き起こす原因にもなります。

他にもお薬によってはセロトニン2c遮断作用があり、これが体重増加を起こすこともあります。

抗精神病薬は、主にこのようなはたらきによって体重が増えてしまうのです。

一方でエビリファイはというと、抗ヒスタミン作用やセロトニン2c遮断作用はかなり弱いと報告されています。代謝を抑制する作用は認めるものの、これらの理由から他の抗精神病薬に比べて、太る副作用は少ないお薬だと言えます。

 

2.他の抗精神病薬との比較

抗精神病薬間で比較すると、エビリファイの体重増加の程度は「少ない」と言ってよいでしょう。それぞれの抗精神病薬の太りやすさを比較すると次の表のようになります。

抗精神病薬体重増加
コントミン+++
セレネース+
リスパダール++
インヴェガ+
ロナセン±
ルーラン+
ジプレキサ++++
セロクエル++++
エビリファイ±

まず、抗精神病薬には第1世代(定型)と第2世代(非定型)があります。第1世代の方が古いお薬のため、作りが荒く副作用が多く、そのため現在は第2世代から使うのが基本になっています。

しかし体重への影響に限って言えば、第2世代の方が強めです。

錐体外路症状、高プロラクチン血症、悪性症候群、重篤な不整脈・・・。このような重篤な副作用は第2世代の方が確かに少ないのですが、メタボリックな副作用は第2世代の方が多くなっています。しかし全体的に見れば第2世代の方が安全性は高いため、現在は第2世代を優先して使うようになっています。

上の表ではクロルプロマジン(商品名コントミン)とハロペリドール(商品名セレネース)が第1世代に該当し、その他は第2世代になります。

第2世代には、SDA、MARTA、DSSの三種類のおくすりがありますが、この中で特に太りやすいのはMARTAです。

具体的には、オランザピン(商品名ジプレキサ)、クエチアピン(商品名セロクエル)がMARTAに属し、これらは体重増加を起こしやすい第2世代抗精神病薬です。なお、正確にはクロザリル(商品名クロザピン)もMARTAですが、クロザリルは特定の病院でないと処方できないおくすりのため、ここでは記載していません。

SDAやDSSも太る可能性はありますが、一般的にMARTAと比べると少なめです。SDAの中でもリスペリドン(商品名:リスパダール)は太る副作用がやや目立ちますが、ブロナンセリン(商品名:ロナセン)、ペロスピロン(商品名:ルーラン)は太る程度は軽く、またDSSのアリピプラゾール(商品名:エビリファイ)もあまり太りません。

ただし、副作用の程度は個人差が大きいため、 実際はこの通りにいかないこともあります。あくまでも目安として考えてください。

スポンサーリンク

3.太った時、安易にエビリファイのせいにしない事

精神科の薬は太るらしい・・・

ネットでお薬の情報が簡単に調べられることもあり、最近では患者さんも向精神薬が太るという事は、よく知っているようです。お薬の副作用が患者さんにしっかり理解されることは良いことです。

しかし、太ってきたらすぐに「あぁ、薬のせいか…」と決めつけてしまうのはよくありません。

太ってきてしまった時、本当にそれはエビリファイのせいなのかをしっかり見極めることは大切です。特にエビリファイは太りにくいお薬ですから、太った原因は別のところにある可能性があります。お薬を服薬していて体重が増えたときは、「それは本当に薬のせいなのか?」「他の原因はないのか?」ということを必ず考えるようにしましょう。

例えば、病状が悪くて一日中部屋に閉じこもりっぱなしだったとしたら太るのは当然かもしれません。ストレスでやけ食いしている頻度が多いのでしたら、原因はそっちでしょう。

もし運動不足や過食が原因で太っているのに、「エビリファイのせいだ!」と決めつけて服薬をやめてしまったらどうなるでしょうか。お薬の服薬を急に中断すれば、病状が悪化するう可能性があります。それによって無気力や過食が 更に悪化し、体重が更に増えてしまうことも考えられます。しっかりと見極めないと、このように事態をより悪化させてしまうのです。

4.太ってしまった時の3つの対処法

エビリファイで太る可能性はありますが、そこまで大きな問題となることはあまりありません。

しかし中には、エビリファイの体重増加で困っている方もいらっしゃるかもしれません。太る副作用が出てしまった時は、どのような対処法があるのでしょうか。良く取られる対処法を紹介します。

ただし、これらの対処法は独自の判断では行わず、必ず主治医と相談の上で行ってください。独断でお薬の量を減らしたりすると病気が悪化する可能性もあり大変に危険です。

Ⅰ.生活習慣を見直す

副作用に限らず、太ってきたときにすべき一番のことは、生活習慣を見直すことです。

そもそもエビリファイは体重増加を起こしにくいお薬ですから、お薬以外の要因に目を向けることはとても大切です。

規則正しい生活、適度な運動などの生活改善を行えば、たとえ抗精神病薬を内服していたとしても体重は落ちます。抗精神病薬は体重が「落ちなくなる」おくすりではありません。「落ちにくくなる」だけですので、しかるべき行動をとれば体重は必ず落ちます。

毎日三食、規則正しく食べていますか。
量やバランスは適正でしょうか。
間食や夜食などをしていませんか。
適度な運動はしていますか。

散歩などの運動でも長時間(目安として20分以上)行えば、脂肪燃焼には効果があります。余裕があればジョギングやサイクリングなど強度の高いものにトライすれば代謝は更に改善されます。

Ⅱ.エビリファイの量を減らしてみる

もし精神状態が安定しているのであれば、 減薬を考えてみるのもいいかもしれません。主治医と相談してみましょう。

体重が増えてしまい、つらい思いをしているのに、それを主治医に伝えていない患者さんは少なくありません。しかし困っているのであれば主治医に相談することは大切なことです。

というのも主治医は、あなたの体重増加をあなたほど重く捉えていないかもしれないからです。

体重が増えて困るかどうかは、人によってかなり異なります。ガリガリに痩せた男性であればちょっと体重が増えても全然困らないでしょう。でも、スタイルに気を使っている若い女性にとって体重がちょっとでも増えることは大きな恐怖です。

体重増加に対して主治医とあなたとの間に認識のギャップがある恐れがあります。特に年配の先生だったりすると、若い女性が悩むポイントというものは意外と気付かないものです。

ただし、病状によっては薬の量を減らせないこともあります。相談の上で、お薬を減らせないという結論になった場合は、勝手に減らすことはせず、主治医の指示に従ってください。

Ⅲ.別の抗精神病薬に変えてみる

別の抗精神病薬に変えてみるという手もあります。

しかしエビリファイは抗精神病薬の中では、一番と言っていいほど太りにくいお薬ですので、他の抗精神病薬に変更しても改善は得られない可能性もあります。そのため、変薬の適応になるかどうかは主治医としっかり相談しなければいけません。

変薬の際、「太りにくい」という観点で見れば候補に挙がるのは、SDAのパリペリドン(商品名インヴェガ)、ペロスピロン(商品名:ルーラン)、ブロナンセリン(一般名ロナセン)あたりでしょうか。

ただし、それぞれの抗精神病薬には長所と短所がありますので、体重増加の視点だけで考えるのではなく、総合的に判断することが大切です。体重増加は改善されたけど、今度は別の副作用で悩むようになってしまった、ということもあります。

そのようなことになっては意味がありません。変薬の際は主治医とよく相談して決めててください。

Ⅳ.便秘が原因であれば下剤も検討

エビリファイは便秘を起こす事があります。その程度は、他の抗精神病薬と比べると少ないのですが、もし便秘が理由での体重増加なのであれば、排便コントロールをすることが体重減少につながります。

主治医と相談して、排便コントロールに最適な下剤を検討してください。

また前項と重複しますが、排便コントロールには規則正しい食生活・運動習慣も重要です。こちらも問題がないか再確認しましょう。

スポンサーリンク
こちらの記事も是非ご覧下さい