セロクエルは抗精神病薬という種類に属します。抗精神病薬というのは主に統合失調症の治療薬として用いられるお薬の総称です。セロクエルは主に統合失調症に用いられますが、様々な作用を持つお薬であるため、他には双極性障害やうつ病、認知症、不眠症など幅広い疾患に用いられているお薬です。
その半減期は短く、、半減期は約3.5時間~6時間ほどと報告されています。
半減期とは、内服したお薬の血中濃度が半分になるまでにかかる時間のことです。半減期はお薬の作用時間とある程度相関することが知られてるため、半減期が分かると、そこからお薬の様々な特徴が分かってきます。
ここでは、セロクエルの半減期、他の抗精神病薬との比較、半減期から考えられるセロクエルの使い方について紹介していきます。また、「半減期」の意味についても少し詳しくお話します。
1.セロクエルの半減期はどのくらいか
半減期とは、お薬の血中濃度が半分になるまでにかかる時間のことです。血中濃度が半分まで減ると薬の効果がある程度無くなってくるため、半減期はお薬の作用時間とある程度関連すると考えられています。
厳密に言えば、半減期と作用時間というのは異なるものです。しかし一般の方がおおよその目安で使う分には、「半減期」≒「作用時間」と考えてよいでしょう。
お薬が身体から抜けていくスピードには個人差がありますし、お薬の効きも体質によって個人差があります。そのため、半減期はあくまでも目安に過ぎず誰にとっても同じという絶対的な数値ではありませんが、お薬を選択する際のひとつの指標になる数値です。
セロクエルの半減期は短く、服薬してから2.6時間ほどで血中濃度が最高値になり、半減期は約3.5~6時間と報告されています。
そのため、1日1回服薬しただけでは1日を通しての効果は得られにくいお薬なのです。
2.抗精神病薬の半減期一覧
抗精神病薬はいくつかの種類があり、半減期もそれぞれ異なっています。主な抗精神病薬の半減期を比較してみると下図のようになります。
抗精神病薬 | 半減期 |
---|---|
コントミン | 2.5時間(第1相) 12時間(第2相) |
セレネース | 24時間 |
リスパダール | 4時間(主代謝物は21時間) |
インヴェガ | 20時間 |
ロナセン | 12時間(反復投与で68時間) |
ルーラン | 2時間(投与6時間まで) 6時間(投与6時間以降) |
ジプレキサ | 28.5時間 |
セロクエル | 3.5~6時間 |
エビリファイ | 61時間 |
抗精神病薬によって、半減期が様々です。半減期は長ければ良い、短ければ良いと一概に言えるものではなく、長くても短くてもどちらもメリットとデメリットがあります。
半減期の長いお薬、例えばここではインヴェガやジプレキサ・エビリファイなどは、長く効くため1日1回の服薬で充分になります。そのため服薬の手間がかからないのはメリットですが、1回飲むと長く身体に留まるため、万が一お薬が身体に合わなかった時などは副作用も長く出現してしまうというデメリットもあります。
反対に半減期の短いお薬、ここではルーラン、セロクエルなどは作用時間も短いため1日2回や3回服薬しないといけません。服薬の手間はかかりますが、その分すぐに効果が消えるのはお薬の微調整がしやすくメリットにもなります。
実際は半減期だけでお薬の作用時間が判断できないお薬もあり、2相性の半減期を持つもの(途中で血中濃度が落ちるスピードが変わる)、代謝物も活性を持っていてそれも効果に影響するものなどがあり、これらはそういった条件も加わって作用時間が決まっていきます。
3.半減期とは?
せっかくなので「半減期」について勉強してみましょう。
半減期というのは「おくすりの血中濃度が半分になるまでに要する時間」のことです。
半減期は、お薬の作用時間と相関するため、半減期が分かると作用時間がある程度推測できます。例えば、下記のような薬物動態を示すお薬があるとします。
だいたいのお薬は内服すると、このグラフのようにまず血中濃度がグンと上がり、それから徐々に落ちていきます。
このお薬は、投与10時間後の血中濃度は「10」ですが、投与20時間後には血中濃度は半分の「5」に下がっています。血中濃度が半分になるのに要する時間は「10時間」ですので、このお薬の半減期は「10時間」です。そして半減期が10時間ということは「だいたい10時間くらい効くお薬」なんだと分かります。
正確には半減期と作用時間の長さは完全に一致するわけではありません。実際は、お薬を飲むとまずは血中濃度は上がり最高血中濃度に到達してそれから下がっていきますので、厳密に言えば最高濃度に到達するまでの時間も加味しなければいけないでしょう。
もっと言えば、すべての人が、血中濃度が半分になったら薬効を感じなくなるとは言えません。血中濃度がどれくらい下がれば薬効を感じなくなるかは人それぞれでしょう。半分の人もいれば、それ以上・それ以下の方もいます。
更に個々人の体質や代謝能力まで考え出すとキリがなく、そうなると作用時間を数値化することは不可能です。
でも、「どれくらいの効くかは、人それぞれですから分かりません」では話にならないので、ひとつの目安として半減期を使用しているのです。
細かいことを考え出せばキリがありませんが、あまり難しく考えずざっくりと「だいたい半減期が作用時間と同じくらいだ」と考えていいのではないかと思います。
半減期はあくまでも目安で、絶対的な値ではないという事は気を付けてください。個人差はおおいにあります。お薬を分解する力が強い人もいれば弱い人もいます。となれば当然、お薬の作用時間は人によって違いがあります。