無気力症候群の診断チェック。自分が無気力症候群に当てはまるのかチェック

勉強や仕事など、本来一番すべきである「本業」に対して、無気力になってしまう状態を無気力症候群と呼びます。

無気力症候群は、本業には無気力になる一方で、遊びや趣味などの「副業」に対しては今まで通り活発に参加できるという、「限定された無気力」が見られることが特徴です。そのため、「ただの甘えじゃないか」と非難されてしまうことがあり、本人も「自分が甘えているだけなのかな・・・」と考えてしまいがちです。

しかし、無気力症候群はその背景を探っていくと「ただの甘え」で片づけられない特徴もあります。無気力症候群は、元々は真面目で一生懸命な人に多く、周りからは成績優秀なエリートを思われていた方に発症してしまう場合が多いのです。

もし「元々、性格的にだらしない」などの甘えが原因なのであれば、昔から無気力であったはずですが、そういう方はほとんどいません。

無気力状態が長引けば登校拒否や出社拒否に至ることもあります。自然と気力が回復していく例もありますが、生活に様々な支障が出てしまうこともあるため、無気力症候群は早期発見し、早めに治療を行うことが理想です。

今すべきであることにどうしてもやる気が持てない場合、「もしかして無気力症候群ではないか」と疑ってみることは大切です。無気力症候群は「甘え」とは異なるため、「甘えてばかりいるな!」と叱咤するのではなく、カウンセリングなどの適切な治療が必要となるからです。

ここでは、無気力症候群に多い症状をチェックし、無気力症候群の診断はどのようにされるのかについてお話します。

また、自分が無気力症候群に当てはまるのかどうかの簡易的チェックも用意しましたので、気になる方は利用してみてください。

1.無気力症候群の診断基準は?

無気力症候群は日本やアメリカなどの特定の先進国のみで提唱されている概念であり、世界的に確立されている疾患ではありません。世界的に共通で用いられている診断基準というものも存在しません。

そのため、無気力症候群を疑ったら、無気力症候群に特徴的な症状を満たしているかどうかを一つずつ確認していくことで、診断は行われます。

無気力症候群は、「退却神経症」とほぼ同じ意味で用いられており、そのため「退却神経症」と診断されることもあります。また、俗に言う「新型うつ病」とオーバーラップしている部分も多い疾患のため、症状によっては新型うつ病(正式な医学用語としては、非定型うつ病、逃避型うつ病、未熟型うつ病など)と診断されることもあります。

下記に無気力症候群に多く見られる症状を挙げていきます。当てはまるものが多ければ多いほど無気力症候群である可能性が高くなります。

Ⅰ.主な症状は無気力・無関心・無感動である

無気力症候群の症状は、無気力に限定されるのが特徴です。

これは反対に言えば、それ以外の症状には乏しいということです。つまり、

・落ち込み
・不安
・焦り
・自分を責める

などの精神症状や、

・眠れない
・食欲が出ない
・性欲が沸かない

などの身体症状が乏しいということでもあり、ここがうつ病などの他の精神疾患との鑑別点になります。

Ⅱ.無気力の対象が限定されている

全てのことに対して無気力になるのではなく、特定のことに対して無気力になるのも無気力症候群の特徴です。

そして無気力の対象は、特に「本業」に向きます。学生であれば学業、社会人であれば仕事などです。反対に、本業以外のこと(副業)に対しては、普通に活動できたりします。

例えば学生であれば、勉強への意欲は全然なく、留年を繰り返しているけれども、部活動やサークル、アルバイトなどには参加していたりします。

ここが、無気力症候群が「ただの甘え」だと誤解されてしまう点になります。

「勉強はしないくせに、遊びには行く」。これだけ見れば、「それって甘えじゃないか」と思ってしまうのも無理はありません。しかし、元々は一生懸命勉強する人で、成績も良く、親が先生からの評価も高かった人が、突然勉強せずに無気力になってしまうというケースが多いため、「ただの甘え」で片づけず、その背景をしっかりと見極めることが大切です。

Ⅲ.無気力であることにあまり危機感を感じていない

無気力症候群の方は、無気力であることに対しての危機感が低いことが多いようです。

無気力になってしまって留年を繰り返してしまったり、仕事の欠勤が多くなってしまえば、普通は焦りそうなものです。しかし無気力症候群の場合、それが一般的には「まずい状況」だと頭では理解はしていても、焦ったり不安になったりという反応に乏しいのです。

そのため、周囲に援助を求めたり、自分から医療機関を受診したりすることもほとんどありません。

Ⅳ.勝ち負けへのこだわりが強い。完璧主義である

無気力症候群は、勝ち負けに敏感な人や成績などの数字で人の評価を判断する人に多いと言われています。

試験や営業成績などの「勝負」に対して、「負けるのが怖い」という気持ちが無意識下ではたらくため、無気力になることで勝負を回避しようとしていることがあるのです。

勝敗で自分の価値を評価する人は、その勝負に負ければ自分の価値がないことになってしまいます。そのため、「自分は無気力だから負けて当然なのだ」という防衛方法を取り、自分のアイデンティティが崩壊しないようにします。

これは無意識下で行われることも多いため、実際には自分ではここまで考えていることに気づかないことがほとんどです。

また、完璧主義の方や、白黒はっきりしないと気が済まないという方も無気力症候群になりやすいと考えられています。理由は同様で、「完璧にできない自分」を許せないため、無気力状態に退却することで「自分は無気力だから完璧にできないだけなのだ」という防衛を取るのです。

Ⅴ.若年男性である

無気力症候群は、圧倒的に若い男性に多い疾患です。

特に大学生に多いため、「スチューデンド・アパシー(学生の無気力)」と呼ばれることもあります。10代後半~20代前半の男性がほとんどを占めます。

2.無気力症候群かどうか自分で診断チェックする

無気力症候群の診断基準として確立されたものはないため、上記で説明した傾向に合致するかどうかを入念に診察し、診断は行われます。

無気力症候群かどうかを自分でチェックするための簡易的チェックシートを用意しましたので、無気力症候群が疑われる方は利用してみてください。このチェックシートは、無気力症候群を100%診断できるものではありませんが、このチェックシートの点数が高い場合は無気力症候群が強く疑われます。

[jazzy form=”apathysyndrome”]

6点以上:無気力症候群が強く疑われます
4点以上:無気力症候群の可能性があります
2点以下:無気力症候群の可能性は低いと考えられます