ロゼレムは、「ロゼレム錠8mg」の1種類のみ武田薬品工業より発売されています。
2010年発売の新しいおくすりであること、また新しい作用機序を持つおくすりであり、現時点では薬価は高めに設定されています。
ここではロゼレムの薬価、他の睡眠薬との薬価の比較などをみてみましょう。
1.ロゼレムの薬価
ロゼレムの薬価は、次のようになっています。
ロゼレム錠 8mg 82.5円 (2014年現在)
ロゼレムはメラトニン受容体作動薬というおくすりで、2010年に発売されています。
同種のおくすりは今のところロゼレム以外にありません。
用法用量は8mgのみで、増減させることは認められていません。
睡眠薬と言えば、ベンゾジアゼピン系が良く使われますが、
これらはたくさんの種類があり、何十年も前から使われているため、
薬価は非常に安く設定されています(10~30円くらい)。
1980年ごろから使われ始めた非ベンゾジアゼピン系は、
50~100円くらいとベンゾジアゼピン系と比べると高めですが、
ジェネリックがあるものも多く、これも安く処方することは可能です。
ロゼレムはその点、高い睡眠薬だと言えます。
まだ発売して数年しか経っていない新薬であること
メラトニン受容体作動薬という新しい機序の睡眠薬であること
同種のおくすりが他にない事
副作用が少なく依存性もなく安全性が高いこと
これらが薬価が高い理由でしょうか。
しかし依存性もなく、自然な眠りを後押ししてくれるロゼレムは高いお金を払っても
使う価値はあるおくすりです。
2.他の睡眠薬との薬価の比較
次に、他の睡眠薬との薬価の比較をしてみましょう。
メラトニン受容体作動薬は現時点でロゼレム以外ないため、
ベンゾジアゼピン系/非ベンゾジアゼピン系睡眠薬と比べてみます。
睡眠薬 | 適正用量 | 薬価 | |
---|---|---|---|
ハルシオン | 0.125~0.5mg | (0.125mg) 10.6円 | (0.25mg) 15.2円 |
マイスリー | 5~10mg | (5mg) 49.6円 | (10mg) 78.7円 |
アモバン | 7.5~10mg | (7.5mg) 24.2円 | (10mg) 29.3円 |
ルネスタ | 1~3mg | (1mg) 49.6円 | (2mg)78.7円(3mg)99.8円 |
レンドルミン | 0.25~0.5mg | (0.25mg) 27.5円 | |
リスミー | 1~2mg | (1mg) 19.7円 | (2mg) 30.9円 |
デパス | 0.5~3mg | (0.5mg) 9円 | (1mg) 13.4mg |
サイレース/ロヒプノール | 0.5~2mg | (1mg) 15.7/14.7円 | (2mg) 22.3/21.7円 |
ロラメット/エバミール | 1~2mg | (1mg) 22.4/21.4円 | |
ユーロジン | 1~4mg | (1mg) 10.3円 | (2mg) 16.2円 |
ネルボン/ベンザリン | 5~10mg | (5mg) 11.2円 | (10mg) 17.4円 |
ドラール | 15~30mg | (15mg) 103.3円 | (20mg) 122.5円 |
ダルメート/ベジノール | 10~30mg | (15mg) 11円 |
ロゼレムはこれらの睡眠薬と比較して、高いおくすりだという事が分かります。
マイスリー、ルネスタなどの非ベンゾジアゼピン系も、まずまず高いのですが、
ロゼレムよりはやや安めに設定されているようです。
ちなみに非ベンゾジアゼピン系は、ベンゾジアゼピン系の改良型とでもいうべきもので、
眠らせる事だけの精度を高めて、ふらつきなどの副作用を軽減したものです。
依存性も軽くなっている可能性もあると言われています。
そこらへんも評価されて、これらの薬価は高めなのかもしれませんね。
ベンゾジアゼピン系は、どれも大きな差はなく安めの薬価設定になっています。
長時間型のドラールだけは高いですけどね。
3.薬の金額を下げるためには
病気の治療をする際は、薬価にとらわれずに
主治医に提案されたお薬を指示通りに飲むことが理想です。
しかし、どうしても「金銭的に苦しい」ときは、
次のような方法で薬価を下げることが可能です。
参考にしてください。
1.自立支援医療制度(精神通院医療)を利用する
自立支援医療制度は、精神的な疾患で苦しい思いをしている患者さんのために、
医療費の自己負担額を軽減する制度です。
この制度が適応されると、入院外の医療行為(診察やデイケア、訪問看護やお薬の代金など)が
「1割負担」に減額されます。
また、支払が過大にならないように所得に応じて毎月の上限額が設定され、
その上限額以上の金額の支払いを免除されます。
この制度を受けれるかは主治医の判断になります。
「通院をしばらく続ける病状にあると医師が判断する方」が該当します。
適応になる代表的な疾患としては、
- 統合失調症
- 気分障害(うつ病、躁うつ病)
- 不安障害
- 精神遅滞
- アルコールや薬物の中毒、依存症
などの方です。
「不眠症」だけでは通らない事もありますので、不眠だけで睡眠薬を処方されている方は難しいかもしれません。
「うつ病に伴う不眠症」「不安障害に伴う不眠症」などであれば通る可能性が高くなります。
また、この制度はあくまでも「精神疾患」に対してですので、
「精神科受診の時に、ついでに風邪薬や花粉症の薬をもらった」
など、精神科医療と関係のない医療行為は適応になりまりません。
この場合は、風邪薬や花粉症のお薬だけ、通常と同じ3割負担になります。