サイレースの薬価 【医師が教える睡眠薬のすべて】

サイレースは、

  • サイレース錠1mg
  • サイレース錠2mg

の2種類の錠形がエーザイ株式会社より発売されています。

1984年発売のおくすりであるため、ジェネリック医薬品(後発品)もあります。

ここではサイレースの薬価、サイレースのジェネリックの薬価、そして他の睡眠薬との薬価の比較などをみてみましょう。

1.サイレースの薬価

サイレースの薬価は、次のようになっています。

サイレース錠(先発品)       1mg    15.7円
サイレース錠(先発品)         2mg    22.3円      (2014年現在)

サイレースをはじめとしたベンゾジアゼピン睡眠薬は、薬価は安めに設定されています。

サイレースは0.5mg~2mgで使うことが多いのですが、最大量使っても、1日22.3円、1か月で約670円です。
(ほとんどの方は医療費3割負担ですので、実際に薬局で払うのはこの0.3倍の価格になります)

反対に、マイスリー、ルネスタなどの非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、安全性は高いと言われているものの薬価はやや高めです。

例えばマイスリーだと、5mg~10mgで使いますが、5mgだと49.6円、10mgだと78.7円です。

サイレースと比べてもだいぶ高いですね。

ちなみにサイレースは、中外製薬が発売している「ロヒプノール」という睡眠薬と全く同じ成分ですが、なぜか微妙にサイレースの方が高めです。

サイレース錠 1mg    15.7円
サイレース錠   2mg    22.3円

ロヒプノール錠1mg    14.7円
ロヒプノール錠2mg        21.7円          (2014年現在)

サイレースはジェネリックもありますが、ジェネリックは更に薬価が安くなっています。

サイレース錠(先発品)       1mg    15.7円
サイレース錠(先発品)         2mg    22.3円

フルニトラゼパム(ジェネリック)   1mg        5.6円
フルニトラゼパム(ジェネリック)     2mg        5.7~6.5円       (2014年現在)

2.他の睡眠薬との薬価の比較

次に、他の睡眠薬との薬価の比較をしてみましょう。

睡眠薬適正用量薬価 
ハルシオン0.125~0.5mg(0.125mg) 10.6円(0.25mg)  15.2円
マイスリー5~10mg(5mg) 49.6円(10mg) 78.7円
アモバン7.5~10mg(7.5mg) 24.2円(10mg) 29.3円
ルネスタ1~3mg(1mg) 49.6円(2mg)78.7円(3mg)99.8円
レンドルミン0.25~0.5mg(0.25mg) 27.5円
リスミー1~2mg(1mg) 19.7円(2mg) 30.9円
デパス0.5~3mg(0.5mg) 9円(1mg) 13.4mg
サイレース/ロヒプノール0.5~2mg(1mg) 15.7/14.7円(2mg) 22.3/21.7円
ロラメット/エバミール1~2mg(1mg) 22.4/21.4円
ユーロジン1~4mg(1mg) 10.3円(2mg) 16.2円
ネルボン/ベンザリン5~10mg(5mg) 11.2円(10mg) 17.4円
ドラール15~30mg(15mg) 103.3円(20mg) 122.5円
ダルメート/ベジノール10~30mg(15mg) 11円

マイスリー、ルネスタなどの非ベンゾジアゼピン系は、高いことが分かりますね。

ちなみに非ベンゾジアゼピン系は、ベンゾジアゼピン系の改良型とでもいうべきもので、眠らせる事だけの精度を高めて、ふらつきなどの副作用を軽減したものです。依存性も軽くなっている可能性もあると言われています。

そこらへんも評価されて、薬価が上がっているのかもしれません。

ベンゾジアゼピン系は、どれも大きな差はなく安めの薬価設定になっています。長時間型のドラールだけは高いですけどね。

サイレースも薬価は安く、患者さんにとって大きな経済的負担になることは少ないでしょう。

3.薬の金額を下げるためには

病気の治療をする際は、薬価にとらわれずに主治医に提案されたお薬を指示通りに飲むことが理想です。

しかし、どうしても「金銭的に苦しい」ときは、次のような方法で薬価を下げることが可能です。

1.自立支援医療制度(精神通院医療)を利用する

自立支援医療制度は、精神的な疾患で苦しい思いをしている患者さんのために、医療費の自己負担額を軽減する制度です。この制度が適応されると、入院外の医療行為(診察やデイケア、訪問看護やお薬の代金など)が「1割負担」に減額されます。

また、支払が過大にならないように所得に応じて毎月の上限額が設定され、その上限額以上の金額の支払いを免除されます。

この制度を受けれるかは主治医の判断になります。「通院をしばらく続ける病状にあると医師が判断する方」が該当します。

適応になる代表的な疾患としては、

  • 統合失調症
  • 気分障害(うつ病、躁うつ病)
  • 不安障害
  • 精神遅滞
  • アルコールや薬物の中毒、依存症

などの方です。

「不眠症」だけでは通らない事もありますので、不眠だけで睡眠薬を処方されている方は難しいかもしれません。「うつ病に伴う不眠症」「不安障害に伴う不眠症」などであれば通る可能性が高くなります。

また、この制度はあくまでも「精神疾患」に対してですので、「精神科受診の時に、ついでに風邪薬や花粉症の薬をもらった」など、精神科医療と関係のない医療行為は適応になりまりません。この場合は、風邪薬や花粉症のお薬だけ、通常と同じ3割負担になります。

2.ジェネリックに変えてみる

サイレースは「フルニトラゼパム」というジェネリックがありますので、これに変えれば薬価は安くなります。

サイレース錠(先発品)       1mg    15.7円
サイレース錠(先発品)         2mg    22.3円

フルニトラゼパム(ジェネリック)   1mg        5.6円
フルニトラゼパム(ジェネリック)     2mg        5.7~6.5円       (2014年現在)

サイレースをジェネリックに変えれば、だいたい1/3くらいの薬価になります。

これらはサイレースと主成分は同じですから、効果も同じであることがほとんどです。経済的に苦しい場合は、主治医と相談して試してみてもいいかもしれませんね。