アモバンは優れた睡眠薬ですが、「苦みを感じる」ことがあります。
これは他の睡眠薬には認められない、アモバン独特の副作用です(アモバンの改良版ルネスタにも多少苦味があります)。
この苦味、なぜ起こるのでしょうか?改善策や対処法はあるのでしょうか?
ここではアモバンの苦味についてお話します。
1.アモバンはなぜ苦い?どれくらい苦い?
アモバンの苦味は多くの患者さんが感じるようです。
診察場面でも、多くの患者さんから「アモバンは苦いですね」と感想をいただきますし、
アモバンの添付文書を見ても、苦味の副作用の報告は4.18%もあり、ダントツでトップです。
(他の副作用は全て1%以下)
この苦味はアモバンの成分が原因だと言われています。
具体的にどの成分が苦いのかは不明ですが、苦味を引き起こす成分が入っているのでしょう。
(製薬会社の方に聞いてみたのですが明確な回答は頂けませんでした)
飲んだ時だけ苦いだけであれば、飲み込むまでの我慢で済みますが、
困ったことにこの苦味は、服薬後も続くことが知られています。
苦味成分は、身体に吸収されたあと再び唾液から分泌されるようで、
翌日の日中にも口の中の苦味は残ってしまうのです。
夜中に口の中が多少苦くても、寝てれば分かりませんから大きくは困りません。
困るのは、翌日の起床後の苦味です。
苦味がひどければ、仕事や学業へ集中しずらいでしょう。
苦味の程度はというと、これは本当に人それぞれです。
患者さんからの感想を平均してみると、そこまでひどくはないようで
ほとんどの患者さんは「苦いけど、まぁ何とか様子みれます」とおっしゃいます。
「苦いですね」というのは半分以上の患者さんが訴えますが、
「苦くてたまらない、別の睡眠薬に変えてほしい」とまで言う患者さんは、15人に1人くらいでしょうか。
2.アモバンの苦味の対処法
アモバンの苦味はくすりの成分が原因であるため、根本的な解決法はありません。
対処法としては、
- がまんする
- 別の睡眠薬に変える
しかないのです。
何とか様子を見れる程度の苦味であり、アモバンの効果には満足しているのであれば
様子をみるのがいいでしょう。
ただし苦味は「慣れてくる」ことはありますが、「次第に軽くなる」ということはありません。
がまんする場合は、その苦味とは付き合っていく必要があります。
水を飲んだりガムをかんだりして苦味を紛らわそうと考える方もいます。
これで多少の改善をはかれるケースもあるのですが、かえって唾液の分泌を促してしまい、
苦味が悪化することがあるので注意が必要です。
別の睡眠薬に変える場合、まずは「ルネスタ」を試してみるのがいいでしょう。
ルネスタはアモバンの改良版です。
かんたんに言うと、アモバンのいいところ(睡眠効果)だけを抽出して、
わるいところ(苦味などの副作用)をできるだけ除去したのがルネスタです。
とは言っても、わるいところを100%除去したわけではないので、
アモバンよりは軽いものの苦味はあります。
その他の睡眠薬はほとんど苦味がありませんので、
苦味がどうしてもイヤだという方は全く別の睡眠薬に変えるのが手になります。
アモバンと作用時間や作用機序が近いものでいうと、マイスリーなどが候補に挙がるでしょう。
また、ベンゾジアゼピン系という少し違うタイプになりますが、
ハルシオンやレンドルミンも作用時間が近いという点では候補に挙がります。
いずれも主治医とよく相談して自分にとって最良の睡眠薬を選んでください。