ロンフルマンは共和薬品工業が発売していた睡眠薬です。
レンドルミン(一般名ブロチゾラム)のジェネリックであり、効果・効能はレンドルミンと全く同じです。
ロンフルマンは平成25年6月より、名前が変更され、ブロチゾラム錠0.25mg「アメル」になりました。ロンフルマンという名称は今後は聞かなくなっていくでしょう。国がジェネリックを推奨していることもあり、毎日のように多くのジェネリック薬が発売されています。
そしてあまりの薬名の多さに医療現場は混乱しています。そのため最近では、ジェネリック薬は「一般名+社名」という名称にし、現場の混乱や処方ミスをなくそうという流れになっているのです。ロンフルマンの名称変更もこれにのっとって行われました。
それではブロチゾラム錠0.25mg「アメル」(旧名:ロンフルマン)の効果効能、副作用についてみてみましょう。なお、レンドルミンと全く同じ成分ですので、レンドルミンの記事も参考にして頂ければと思います。
1.ロンフルマンの効果・作用時間は?
現在、睡眠薬治療の中心となっているのは、
「ベンゾジアゼピン系」「非ベンゾジアゼピン系」の2種類です。
このうち、ロンフルマンは「ベンゾジアゼピン系」に属します。
ベンゾジアゼピン系はɤアミノ酪酸(通称GABA)の作用を強める働きがあります。
GABAには催眠作用、抗不安作用、抗痙攣作用、筋弛緩作用の4つの作用があり、この「催眠作用」が睡眠薬として働くのです。
睡眠薬は作用時間の違いによって4種類に分類されています。
- 超短時間型・・・半減期が2-4時間
- 短時間型 ・・・半減期が6-10時間
- 中時間型 ・・・半減期が12-24時間
- 長時間型 ・・・半減期が24時間以上
半減期というのは、薬の血中濃度が半分になるまでに要する時間の事で、
作用時間の目安として用いられます。
「半減期」≒「おおよその薬の作用時間」と考えて下さい。
このなかで、ロンフルマンは「短時間型」に分類されます。
短時間型も種類によって作用時間は微妙に異なりますが、ロンフルマンは
内服後、約1.5時間で血中濃度がピークになり、約7時間で半減期を迎えます。
一般的な成人の睡眠時間は約6~8時間と言われていますから、
7時間前後の作用時間があるロンフルマンは、使い勝手のよい睡眠薬です。
そのため、処方される頻度も少なくありません。
ちなみに、強さはというと「普通」くらいです。
睡眠薬を処方する際に、「これって強い薬なんですか?」と強さを気にする患者さんは少なくありません。
しかし、「ベンゾジアゼピン系」「非ベンゾジアゼピン系」睡眠薬は、個人差はあるものの、一般的には
強さに大きな差はないと言われています。
どれも量を多くすれば強くなるし、量を減らせば弱くなります。
2.ロンフルマンの副作用
どんなお薬でも、副作用は細かいものまで挙げるとキリがないほどあります。
稀なものまで全て羅列しても、よく分からなくなってしまうだけですので、
ここでは臨床で比較的よく見られる副作用を中心にお話します。
(当然、レンドルミンの副作用と全く一緒です)
副作用をすべて知りたい、という方は、ロンフルマン(ブロチゾラム錠0.25mg「オーハラ」)の添付文書を見ると良いかと思います。
ネットで調べればすぐ見つかります。
Ⅰ.眠気
睡眠薬なので当然「眠気」が生じます。
これは、時として副作用にもなります。
夜に睡眠薬を飲んで、眠るのは「効果」ですから問題ありませんが、
「朝起きてもまだ眠い」「日中も眠くて仕方ない」となると、副作用です。
日中まで睡眠薬の効果が残ってしまう事を「持ち越し効果(hang over)」と呼びます。
眠気だけでなく、だるさや倦怠感、ふらつき、集中力低下なども生じることがあります。
ロンフルマンの半減期は約7時間ですので、6-8時間ほどの睡眠をとっていれば、
理論的には持ち越し効果はあまり起こらないはずです。
しかし、睡眠時間が4-5時間ほどの人であったり、
薬の代謝(分解)が遅い体質の人だったりすると、持ち越してしまう事があります。
この場合の対処法は、半減期のより短い睡眠薬に変えることです。
半減期が4時間程度のアモバン、5時間程度のルネスタ、6時間程度のデパスなどが
候補に挙がるでしょう。
もし、ロンフルマンが合っているからあまり種類を変えたくない、という場合は、
量を減らしてみるという方法もあります。
例えば0.25mgを内服しているのであれば、半分の0.125mgにするのです。
効果も弱くなってしまいますが、量を減らすと一般的に半減期は多少短くなります。
Ⅱ.耐性・依存性形成
多くの睡眠薬に言える事ですが、長期的に内服を続けていると「耐性」「依存性」が
形成しうるということは注意しなければいけません。
耐性というのは、身体が徐々に薬に慣れてしまい、薬が効きづらくなる事です。
耐性が形成されると、最初は1錠飲めばぐっすり眠れていたのに、
だんだんと効きにくくなり、2錠,3錠と量が増えてしまうことになります。
依存性というのは、次第にその物質なしではいられなくなる状態をいいます。
依存性が形成されると、お薬をやめられなくなってしまいます。
耐性と依存性を持つ物質の代表としてアルコールがあります。
どちらもアルコールでイメージすると分かりやすいでしょう。
アルコールを常用していると、次第に最初に飲んでいた程度の量では酔えなくなるため、
次第に飲酒量が増えていきます。これは耐性が形成されているという事です。
また、飲酒量が多くなると、飲酒せずにはいられなくなり、常にアルコールを求めるようになります、
これは依存性が形成されているという事です。
ほとんどの睡眠薬には耐性と依存性があります。
薬の効果が強かったり(例えばバルビツール系など)、たくさんの量を内服していたり、
長期間内服していたりすると、形成されやすくなります。
一般的な量の睡眠薬の内服であれば、アルコールと比べると耐性・依存性形成は軽度ですので、
医師の指示通りに内服していればそこまで心配する必要はありません。
たまに「睡眠薬は依存が怖いから」といって寝酒をして眠ろうとしている方がいますが、
これは全くおかしな話だという事が分かります。
睡眠薬よりアルコールの方が依存性は数倍強いのですから。
睡眠薬で耐性・依存性を形成しないためには、まず「必ず医師の指示通りに服用する」ことが鉄則です。
アルコールも睡眠薬も、量が多ければ多いほど耐性・依存性が早く形成される事が分かっています。
医師は、耐性・依存性を起こさないような量を考えながら処方しています。
それを勝手に倍の量飲んだりしてしまうと、急速に耐性・依存性が形成されてしまいますし、
本人の勝手な判断だと、医師もそれに気づくのが遅れてしまいます。
また、アルコールとの併用も危険です。
アルコールと睡眠薬を一緒に使うと、これも耐性・依存性の急速形成の原因になると言われています。
「漫然と飲み続けない」ことも大切です。
睡眠薬はずっと飲み続けるものではなく、不眠の原因が解消されるまでの「一時的な」ものです。
時には「量を減らせないか」を検討すべきであり、漫然と長期間内服を続けてはいけません。
服薬期間が長期化すればするほど、耐性・依存形成のリスクが上がります。
Ⅲ.もうろう状態、一過性前向性健忘
ロンフルマンの内服後、自分の記憶はないのに、歩いてたり人と話してたりする事があります。
これは超短時間型の睡眠薬(ハルシオンなど)で多く見られます。
ロンフルマンで生じる頻度は稀ですが、0ではありません。
睡眠薬はまれに中途半端な覚醒状態にしてしまう事があり、この中途半端な覚醒状態が
「もうろう状態」「一過性前向性健忘」を起こします。
一般的には急激に効くお薬(超短時間型)に多く、
また多くの量の睡眠薬を内服しているケースで起こりやすいようです。
万が一、これらの症状が起こってしまったら、量を減らすか、
作用時間の長い睡眠薬へ切り替える事が対応策となります。
3.他剤との比較
ロンフルマンと他剤の半減期(≒作用時間)の比較を紹介します。
レンドルミンのジェネリックですので、「レンドルミン=ロンフルマン」と考えてご覧下さい。
睡眠薬 | 最高濃度到達時間 | 作用時間(半減期) |
---|---|---|
ハルシオン | 1.2時間 | 2.9時間 |
マイスリー | 0.7-0.9時間 | 1.78-2.30時間 |
アモバン | 0.75-1.17時間 | 3.66-3.94時間 |
ルネスタ | 0.8-1.5時間 | 4.83-5.16時間 |
レンドルミン | 約1.5時間 | 約7時間 |
リスミー | 3時間 | 7.9-13.1時間 |
デパス | 約3時間 | 約6時間 |
サイレース/ロヒプノール | 1.0-1.6時間 | 約7時間 |
ロラメット/エバミール | 1-2時間 | 約10時間 |
ユーロジン | 約5時間 | 約24時間 |
ネルボン/ベンザリン | 1.6±1.2時間 | 27.1±6.1時間 |
ドラール | 3.42±1.63時間 | 36.60±7.26時間 |
ダルメート/ベジノール | 1-8時間 | 14.5-42.0時間 |
4.ロンフルマンの薬価
ブロチゾラム錠0.25mg「アメル」(=ロンフルマン) 8.5円
レンドルミン0.25mg錠(先発品) 27.5円
ロンフルマンの薬価は0.25mgで8.5円です。
ジェネリックですので、正規品のレンドルミンと比べると大分安いことが分かりますね。
(注:ページ上部の画像はイメージ画像であり、実際のブロチゾラム錠0.25mg「アメル」(旧名:ロンフルマン)とは異なることをご了承下さい)