レキソタンのジェネリック 【医師が教える抗不安薬のすべて】

レキソタンは1977年に発売された抗不安薬です。

発売から長年経っている古いお薬ですが、レキソタンは現在でもよく使われています。そのためジェネリック医薬品も発売されています。

ここではレキソタンのジェネリックを紹介し、先発品とジェネリックの違いについてもお話します。

1.レキソタンのジェネリックのはどのようなものがあるのか

源氏ア、レキソタンのジェネリック医薬品は1種類だけあります。

それは、サンドという製薬会社が発売している「セニラン」というお薬です。

セニランは、レキソタンと同じく「ブロマゼパム」という成分を含んだお薬で、開発の研究においてレキソタンと生物学的に同等である事が示されています。

セニランは現在は「セニラン」という名前ですが、今後は「ブロマゼパム」という名称に変更となる可能性があります。

ジェネリック医薬品は薬価が安い事もあり、近年は国を挙げてジェネリック医薬品の使用が推奨されています。その流れによってジェネリック医薬品もどんどんと開発されており、最近はジェネリックの数があまりに増えすぎてしまいました。

ジェネリックが増えるのは悪い事ではないのですが、ジェネリックがそれぞれ独自の名前がついてしまうと、医療者が覚えなくてはいけないお薬の名前が膨大になってしまい、これは医療ミスにもつながってしまいます。

これを防ぐため、現在はジェネリック医薬品の薬名を分かりやすく統一しようという流れになっています。

具体的には、ジェネリック医薬品の名称を、

「(一般名)+(会社名)」

に変えることで「このお薬は○○のジェネリックなんだ」と分かりやすくしています。これからはほとんどのジェネリック医薬品がこの名称に統一されていくでしょう。

ちなみに一般名とは、国際的に決められた薬物の名称のことです。

レキソタンの一般名は「ブロマゼパム」ですので、今後はセニランも「ブロマゼパム『サンド』」と名称が変わる可能性があります。

レキソタンとセニランは同じ作用を持つお薬になりますが、実はセニランには「坐薬」という剤型が用意されているという特徴があります。

坐薬という剤型がある抗不安薬はほとんどありません。坐薬はお尻に入れるお薬になりますが、どうしても口から飲めない、あるいは飲んでくれない、そんな患者さんには有効な投与方法になります。

2.レキソタンのジェネリックの薬価

ジェネリックの最大のメリットは、その薬価にあります。

実際に先発品とジェネリックの薬価を比較してみましょう。

レキソタン(先発品) 1mg        5.6円
レキソタン(先発品) 2mg        5.8円
レキソタン(先発品) 5mg       13円
レキソタン(先発品) 1%細粒  26.5円

セニラン(ジェネリック) 1mg  5.6円
セニラン(ジェネリック)   2mg    5.6円
セニラン(ジェネリック)   5mg    7.2円
セニラン(ジェネリック)1%細粒    23円                                    (2016年現在)

抗不安薬の薬価は元々が安めの設定ですが、ジェネリックは更に安くなります。

レキソタンは1mgや2mgの低用量だと、先発品もジェネリックも薬価はあまり変わりませんが、高用量だと多少違ってきます。

ちなみにセニランは3mg錠剤と座薬もあり、それぞれの薬価は

セニラン(ジェネリック)    3mg   5.8円
セニラン坐剤(ジェネリック)3mg 99.0円

となっています。

3.先発品とジェネリックの効果は同じなのか?

患者さんから、「先発品とジェネリックって効果に差はあるのではないですか?」「ジェネリックは安いけど効きも悪いのではないでしょうか」という質問を頂きます。

これは、先発品もジェネリックも基本的には同じ効果・効能だと考えていいでしょう。

ジェネリックは安いので「成分が少ないのでは?」「質が悪いのでは?」と考える方がいますが、これは誤解になります。

先発品は「最初に作られたお薬」ですので、その研究や開発に多額のお金がかかっています。

お薬の成分を発見・抽出するのにも費用がかかります。多数の人を対象にした臨床試験をすれば、これもまた費用がかかります。

私も詳しくは知りませんが、聞くところによると数百億規模といった莫大な費用がかかるそうです。

先発品を発売する製薬会社は、その費用を回収しないといけませんから必然的に薬価は高くせざるを得ません。

これが先発品の薬価が高い理由です。製薬会社も企業である以上、利益を上げないといけませんから仕方ないのです。

しかしジェネリックはというと、研究費や開発費がほぼかかりません。先発品ですでに奥須井リの開発や研究はしてもらってますから、莫大なお金をかけて同じことをやる必要はないのです。

ジェネリックが行うべきことは、「このジェネリック薬は、先発品と同じ程度の効果効能がありますよ」ということを証明するだけです(これを生物学的同等性試験といいます)。

このように、先発品とジェネリックは初期投資額が全く異なるのです。

ジェネリックは質が悪いから安いのではなく、多額の研究費や開発費の分が引かれた分安くなっているのです。

しかし稀にですがジェネリックに変えたら、お薬の効きが悪くなった、というケースもあります。

ジェネリックの主成分は先発品と同じですので基本的には効果は同等のはずですが、なぜこのようなことが起きてしまうのでしょうか。

主成分的には先発品もジェネリックも同じなのですが、主成分以外の添加物などが微妙に違う場合があり、それが人によっては合わなかったり、分解や吸収に多少の影響を与えてしまうからではないかと考えられています。

そのため、もしジェネリックに変更して違和感を感じるのであれば先発品に戻す方がいいこともあります。

この判断は主治医とよく相談しながら行ってください。