ブルーマンデーはなぜ生じるのか。その対処法とは

仕事や学校が始まる月曜日の朝に、とても憂鬱(ゆううつ)になってしまう。

このような経験はないでしょうか。

月曜日の朝に強い憂鬱さに襲われる現象は「ブルーマンデー(憂鬱な月曜日」」と呼ばれています。中には前日(日曜日)の夜から憂鬱になってしまう事もあり、これは「サザエさん症候群」などと呼ばれる事もあります。

多くの人にとって休日は楽しいものですが、仕事はあまり楽しいものではありません。そのため、休日から仕事の日に切り替わる月曜日を憂鬱に感じるのは正常な心理として十分に理解できる事です。

しかしいくら正常な心理であったとしても、憂鬱な気持ちが続けば心は疲弊し、うつ病などの心の病気を引き起こしやすくさせてしまいます。

月曜の朝の憂鬱さを可能な限り和らげる事は、こころに負担をかけず穏やかに毎日を過ごしていくために意味があります。

今日のコラムではブルーマンデーはなぜ生じるのか、そしてその対策としてはどのようなものがあるのかについて考えてみましょう。

1.ブルーマンデーはどうして生じるのか?

ブルーマンデーはなぜ生じるのでしょうか。

「そんなの仕事がイヤだからに決まっているじゃないか」とあなたは答えるかもしれません。

確かに「仕事がイヤ」という気持ちはブルーマンデーを引き起こす一因ではあるでしょう。しかし本当にそれだけでしょうか。

もし仕事がイヤだから憂鬱なのであれば、憂鬱が月曜日の朝に限定されるのはおかしいはずです。月曜日も火曜日も水曜日も木曜日も金曜日も、仕事の日の朝は毎日に憂鬱であるはずです。

このように「仕事がイヤ」という理由だけで、ブルーマンデーを説明する事は出来ません。

ブルーマンデーは仕事がイヤだという気持ちだけでなく、「楽しい休日」と「辛い仕事の日」のギャップが引き起こしているのです。

同じ仕事の日でも、火曜日、水曜日、木曜日、金曜日に「ブルーマンデー」に該当する状態にならないのは、これらの曜日は仕事がイヤだという気持ちはあるものの、「楽しい休日」から「辛い仕事の日」に切り替わるギャップはないからです。

つまり休日を楽しいと感じれば感じるほど、そして月曜日をイヤだと感じれば感じるほど、ブルーマンデーの憂鬱さは強まるというになります。

2.ブルーマンデーは正常な心理反応

ブルーマンデーは、

  • 仕事に対する「イヤだ」というネガティブな気持ち
  • 楽しい休日とイヤな仕事の日のギャップ

によって生じるとお話ししました。

このようにブルーマンデーが生じる原因を明らかにしていくと、月曜の朝の憂鬱な感情というのは別に異常な心理状態ではない事が分かります。

仕事には責任が伴う以上、どうしても大変さや苦痛といった「ストレス」が伴います。「仕事が楽しくて仕方がない」という方もいらっしゃるかもしれませんが、それは少数派でしょう。

また休日は多くの人にとって仕事の日と比べれば、楽しみや安らぎを感じるものです。

ブルーマンデーが仕事に対するネガティブな感情、そして休日の楽しさと仕事日のつらさのギャップから生じているのであれば、それは当然の反応であり、この反応をゼロにする事は難しい事です。

憂鬱な気持ちは不快な症状ですので、つい私たちはそれを「悪いもの」として排除しようとしてしまいがちです。しかしこれは不快ではあるものの異常な症状ではありません。

正常な過程で正常に生じている感情を排除する事は不可能です。排除できないものを無理に排除しようとしても、かえって憂鬱さは悪化してしまうでしょう。

そのためブルーマンデーの憂鬱さに対する基本的な考えとして、この憂鬱さをゼロにしようとしない事です。ある程度の憂鬱さが生じてしまうのは仕方がない事であり、これは正常な反応なのだという事をまずは受け入れる事から始めましょう。

3.ブルーマンデーはどうやって乗り切ればいいのか

ブルーマンデーの憂鬱さは、ある程度は正常な心理反応です。そのためこの感情をゼロにする事は困難です。

そもそもこの憂鬱さをゼロにする必要などありません。憂鬱さが生活に大きな支障や苦しさを来たさない程度になれば、それで十分なはずです。

そしてブルーマンデーの憂鬱さをゼロにする事は困難ですが、「大きな支障がない程度に和らげる事」は工夫次第で十分可能です。

月曜の朝のつらい気持ちが少しでも和らげば、こころへのダメージも軽くなるでしょう。

それでは、ブルーマンデーを和らげる方法について考えてみましょう。

Ⅰ.月曜日に大変な仕事を入れない

ブルーマンデーを和らげる基本は、休日と仕事の日のギャップを小さくすることです。休日の楽しさと仕事の日のつらさのギャップが少なくなればなるほど、憂鬱さも軽減されます。

これには2つの方法が考えられます。

  • 休日の楽しさを減らす
  • 仕事の日のつらさを減らす

このどちらがいいかと言えば、後者になります。

前者、つまり休日の楽しさを減らすという方法は、確かに「ギャップを小さくする」という意味では有効です。しかしこれは、そもそもの休日の意義を無くしてしまう行為になってしまいます。

では仕事の日のつらさを減らす工夫にはどのようなものがあるでしょうか。

「仕事の日のつらさ」を軽減させるといっても、毎日の仕事のつらさを全て減らす必要はありません。特に休日とのギャップを感じやすい日である「月曜の朝」のつらさを軽減すればよいのです。

月曜日の午前には、なるべく自分にとって負荷の軽いような仕事を入れるようにしてみましょう。

毎日の仕事内容を自分の裁量権で決める事が出来ない職種の方もいらっしゃるかもしれませんが、自分でできる範囲で、月曜の午前中の仕事の負荷が軽減できないか考えてみましょう。

後回しに出来るような仕事は、火曜以降に回しても良いでしょう。まずはあまり頭を使わない単純作業から初めても良いでしょう。

精神的に考えれば、月曜日の忙しさをもっとも軽くして、火曜、水曜と週末に近づくにつれて忙しさを少しずつ上げていくのが理想です。

こうすれば落差も穏やかになりますし、週末近くに忙しさが増えてきても「あと1日頑張れば休みだ!」と頑張るモチベーションを保ちやすいからです。

反対に月曜の朝に一番忙しくしてしまうと、日曜日の夜に「明日から大変な仕事だ・・・」とプレッシャーを感じやすくなるため、ブルーマンデーの憂鬱さは悪化しやすくなります。

Ⅱ.日曜は夜は落ち着いて過ごす

休日の楽しさと仕事の日のつらさのギャップを少なくするもう1つの方法は、休日の楽しさを減らす事になります。

とはいっても、せっかくの楽しい休日の楽しさを減らしすぎてしまうのは良い方法とは言えません。休日は楽しむためにあるのであって、それを封じてしまっては、そもそもの休日の意味がなくなってしまいます。

そのため休日の楽しさを全て減らすのではなく、休日の最後は方はなるべく落ち着いて過ごし、翌日の仕事の日とのギャップを小さくするという方法を取るようにしましょう。

日曜の夜遅くまで友達と遊んでしまったり、ゲームなどの趣味に没頭し続けてしまうと、確かにその時は楽しいかもしれませんが、それが終わった時や月曜の朝の憂鬱さはより強くなってしまいます。

日曜の夜くらいからは大きな予定を入れずにゆっくりと過ごす事がおすすめです。

Ⅲ.しっかりと睡眠をとる

睡眠時間が少ないと、私たちの精神は不安定になります。

寝不足が続くと誰でもイライラしたりちょっとした事で落ち込んだりするようになるものです。不眠症はうつ病などの精神疾患が発症しやすくなる事も知られており、精神状態を安定させるために睡眠はとても大切です。

そしてこれはブルーマンデーの憂鬱さにも当てはまります。

楽しい休日と辛い仕事の日の落差を埋める事がブルーマンデーを和らげる秘訣だとお話ししましたが、この落差は「和らげる」事は出来るものの「完全に埋める」事は出来ないという事は覚えておかないといけません。

休日が仕事の日よりも精神的に楽なのは事実です。つまりある程度、月曜の朝に憂鬱さが出てしまうのは仕方がない面もあるのです。

出来る範囲で落差を埋めた後は、落差を埋める以外の精神を安定させる方法も取り入れる必要があります。

精神状態を安定させるためにもっとも基本的で重要な事が「しっかり眠る」事になります。

日曜の夜は、「今日寝て起きたら明日は仕事だ」という気持ちから、眠る事をもったいなく感じ、ついつい夜更かししてしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。

これは翌朝のブルーマンデーをより悪化させてしまう事になります。

日曜の夜は早く眠り、月曜の朝の精神状態を少しでも安定させるようにしましょう。

Ⅳ.受け入れる

休日が仕事の日よりも精神的に楽なのは事実であり、ある程度、月曜の朝に憂鬱になるのは仕方がない面があるというお話をしました。

そのため、憂鬱さをある程度を「受け入れる」という姿勢も有効です。

憂鬱な気持ちが生じると、憂鬱さは「不快な感情」ですので、私たちは無意識にこの感情を何とか解決しようとしてしまうのです。しかし何とかしようともがく中で、仕事の事をより考えてしまうため、更に憂鬱になっていきます。しかも仕事の事を考えても、「仕事が憂鬱」という事実は変えようがありません。

このような場合、憂鬱さに立ち向かうのではなく、「まぁ、仕事はある程度ストレスになる事だし、日曜の夜や月曜の朝に憂鬱になってしまうのは仕方ないよね」とその感情を受け入れるようにする事が大切です。

解決できないものは、無理矢理解決しようとするよりも受け入れてしまった方が心は楽になるものです。

Ⅴ.平日に小さな楽しみを作る

ブルーマンデーの反対の言葉として「華金(はなきん)」という言葉があります。

バブルの時代の言葉ですので今の人にはなじみはないかもしれませんが、これは「華の金曜日」の略で、「仕事が終わって明日(土曜日)は休みだから思いっきり楽しめるぞ」、というのが「華金」です。

華金が楽しいかというと、ブルーマンデーと反対で、

  • 休日に対するポジティブな気持ち
  • イヤな仕事と楽しい休日のギャップ

が生じているからです。

金曜日は「今日が終われば、明日から休みだ!」という気持ちから何とか仕事を頑張れるという方も多いのではないでしょうか。

そしてこの原理はブルーマンデー対策としても利用できます。

華金まで行かなくても、平日の間に何かちょっとした楽しみを入れると、それを楽しみに月曜日を乗り切る事が出来ます。

月曜の夜は仕事の初日を頑張ったご褒美にちょっとした贅沢をするようにしてもいいかもしれません。

Ⅵ.休日に仕事の事を考えすぎない

休日につい仕事の事を考えて憂鬱になってしまう事はないでしょうか。

せっかくの楽しい土曜日なのに「明後日はもう仕事なんだよな」と考えてしまったリ、日曜日になったら「あと24時間で仕事か」と考えてしまったり。

このようについ考えてしまう気持ちは分かるのですが、これって実はなんのメリットもありません。仕事を強く意識してしまい、「行きたくない」という気持ちを強めてしまっているだけになります。

仕事の事は仕事が始まってから考えるようにして、休日は休日を楽しむ事を考える事も大切です。

Ⅶ.休日の予定を立てる

休日をダラダラと過ごしてしまうと、「もっと有意義に過ごせばよかった」という後悔が生まれます。

この後悔がブルーマンデーと合わさると、憂鬱さは更に強くなってしまいます。

反対を休日にやりたい事が出来て、満足できている場合はブルーマンデーの憂鬱さを多少打ち消してくれます。

休日はやりたい事をある程度決めておき、予定を立てて過ごす事も、ブルーマンデーの憂鬱さを軽減するために有用です。

4.月曜に限らず朝に憂鬱な時は

ブルーマンデーは、休日の楽しさと仕事の大変さのギャップからくる憂鬱な気持ちで、それ自体が病的というわけではありません。

しかし次のような場合は、うつ病なの疾患に至っている可能性があります。

  • 月曜の朝に出勤できないなどの支障が生じている
  • 月曜に限らず憂鬱。土日も憂鬱で楽しめない

このように憂鬱さが一過性でない場合は、ブルーマンデーの憂鬱さによって生活に支障が出ている場合は、精神科や心療内科で相談するようにしましょう。