コンスタンの依存性【医師が教える抗不安薬のすべて】

コンスタンはベンゾジアゼピン系抗不安薬という種類に分類されるおくすりです。ベンゾジアゼピン系には依存性があることが知られており、コンスタンも依存性があります。

依存は注意すべき副作用ですが、コンスタンを飲めば必ず依存になってしまうわけではありません。正しく使えば依存にならない事の方が多く、過度に恐れる必要はありません。

ここではコンスタンの依存性について、そして依存にならないために気を付けるべきことについてお話していきます。

なおコンスタンは武田薬品工業株式会社が販売しているおくすりですが、ファイザー株式会社が販売している「ソラナックス」と主成分が同じおくすりです。効果や副作用などの薬効もほぼ同等のため、この記事の内容は「ソラナックスの依存性」の記事とほぼ同じです。

1.コンスタンの依存性

コンスタンをはじめとしたベンゾジアゼピン系のおくすりには全て依存性があります。その中でコンスタンの依存性の強さは「中等度(普通くらい)」の事が多いようです。

依存というのは、その物質がないといても立ってもいられなくなってしまう状態を指します。アルコール依存であれば、アルコールが無いといても立ってもいられなくなる、ゲーム依存だったら、ゲームをしていないと落ち着かずにゲームが手放せなくなってしまう、などの状態です。

同じようにコンスタンの依存は、コンスタンに頼り切ってしまい、手放せなくなってしまうことです。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬は全て依存を起こす可能性がありますが、その生じやすさは、

  • 効果が強い抗不安薬ほど生じやすい
  • 半減期(=くすりの作用時間の目安)が短い抗不安薬ほど生じやすい
  • 服薬期間が長いほど生じやすい
  • 服薬している量が多いほど生じやすい

と言われています。

効果が強いと、「効いている!」という感覚が得やすいので、つい頼ってしまい依存になりやすく、半減期が短いとおくすりがすぐに身体から抜けてしまうので、何度も服薬してしまい依存になりやすいのです。

コンスタンの半減期は約14時間で、まずまずの長さを持ちます。また、効果の強さも中等度(普通くらい)であるため、依存形成はとりわけ多いわけではありません。

特段に依存になりやすいおくすりではありませんが、コンスタンはバランスのとれた使い勝手の良い抗不安薬であるためついつい服薬してしまいやすく、漫然と飲み続けて依存形成をしないよう、気を付ける必要があります。

2.依存にならないために気を付ける事

一度依存になってしまうと、そこから抜け出すのはかなりの労力を要します。アルコール依存の方が、アルコールをやめるのはかなり大変ですよね。それと同じです。

そのため、依存になってから焦るのではなく、「依存にならないように注意すること」が何よりも大切です。

依存にならないためには、どんなことに気を付ければいいでしょうか。先ほど、依存になりやすい特徴をお話ししました。復習すると、

  • 効果が強い抗不安薬ほど生じやすい
  • 半減期(=くすりの作用時間の目安)が短い抗不安薬ほど生じやすい
  • 服薬期間が長いほど生じやすい
  • 服薬している量が多いほど生じやすい

でしたね。これと反対のことを意識すれば、依存は生じにくくなると言えます。つまり、

  • 効果が弱い抗不安薬を選択する
  • 半減期が長い抗不安薬を選択する
  • 服薬期間はなるべく短くなるようにする
  • 服薬量をなるべく少なくなるようにする

ということです。ひとつずつ、詳しく説明しましょう。なお、以下の方法は独自の判断では行わず、必ず主治医と相談しながら行ってください。

Ⅰ.効果が弱い抗不安薬を選択する

必要な抗不安薬の中で、極力弱いものを選ぶことは安全性の上で大切です。

仮に、あなたの不安感が数値で「5」であったとして、「10」の強さがある抗不安薬を服薬していたとしたら、それは強すぎです。「5」の強さの抗不安薬で充分ですよね。

もちろん、弱めすぎる必要はありません。「5」の強さの不安があるのに、「2」の強さしかない抗不安薬を使っていたら症状が取れません。これでは苦しいですし症状が取れないから病気もいつまでも治りません。

この場合はもちろん強めて構いません。必要以上に強いおくすりを使うのはよくない、ということです。

コンスタンの抗不安作用は中等度くらいです。効果が強すぎるおくすりではありませんが、今の自分にとって必要以上の強さなのであれば、定期的に「より弱い抗不安薬に切り替えることはできないか」と検討してみることは依存を生じさせないために大切です。

Ⅱ.半減期が長い抗不安薬を選択する

依存形成という面でみれば、半減期の長いおくすりの方が依存になりにくいようです。

半減期というのは、そのおくすりの血中濃度が半分になるまでにかかる時間のことで、おおよそですが、そのおくすりの作用時間の目安として用いられています。

半減期が短いおくすりは、すぐに効き、すぐに効果が消えます。すぐに効くので「効いてきた!」という実感を得やすいのですが、つい頼ってしまいやすくもあります。また、すぐに効果が消えてしまうため、何度も服薬をしてしまいがちです。

半減期の長いおくすりは、ゆっくり効いてきて、ゆっくり身体から抜けます。効いている実感が得にくく、「効いてるのかどうかよく分からない」というのがデメリットですが、依存にはなりにくいというメリットがあるのです。

コンスタンの半減期は14時間です。短すぎるわけではないので、無理してより作用時間の長いものに変える必要はありませんが、「依存を出来る限り起こしたくない」と考えるのであれば、より長時間作用型のおくすりにかえてみることは有効な選択肢です。

ただし、長く効くお薬は、依存面でいえば良いのですが、眠気やだるさが一日中続いたりと、効果が長い故の問題もありますので、変薬は主治医とよく相談してから判断してください。

Ⅲ.服薬期間はなるべく短くなるようにする

抗不安薬は漫然と飲み続けてはいけません。

抗不安薬は1か月で依存性が形成される、と指摘する専門家もいます。もちろん種類や量によるので一概には言えませんが、長期間飲めば依存形成が生じやすくなるのは間違いありません。

病気の症状があって、抗不安薬が必要だと判断される期間に服薬をするのは問題ありません。しかし、良くなっているのにいつまでも「なんとなく」「やめるのも不安だから」と服薬を続けるのは注意です。

基本的に抗不安薬は、ずっと飲むものではありません。症状が特に苦しい間だけ服薬する「一時的な」ものです。症状や病気が改善してきたら定期的に「量を減らせないだろうか?」と検討してみてください。

Ⅳ.服薬量をなるべく少なくなるようにする

強い不安感があると、ついつい「この不安をすぐに取りたい!」とたくさんのおくすりを飲んでしまいます。しかし、服薬量が多ければそれだけ依存になりやすくなります。

原則として、主治医の先生が指定した量の服薬を守ってください。医師は依存性のリスクも常に念頭に置きながら服薬量を決めています。それを勝手に2倍飲んだり3倍飲んだりすれば、当然急速に依存が形成されてしまいます。

また、症状や病気が改善してきたら定期的に「抗不安薬の量を減らせないだろうか?」と検討してみてください。

3.依存を過剰に怖がるのも問題

抗不安薬や睡眠薬の依存は社会問題にもなっており、しばしば新聞などでも取り上げられています。

そのためか、最近は依存を過剰に怖がって、「依存が怖いから精神科のおくすりは一切飲みたくありません!」という方もたまにいらっしゃいます。

もちろんおくすりを飲まないで治るのであれば、飲まないに越したことはありません。しかし、専門家である医師が「あなたは薬物治療が必要です」と判断する状態なのであれば服薬はすべきでしょう。服薬した方が総合的なメリットは高い、と判断したから主治医はそのように言っているのです。

精神科のおくすりを飲むと絶対に依存になると怖がる人がいますが、そんなことはありません。むしろ、医師の指示通りの量を、決められた期間だけ服薬していただけであれば、依存にならない人の方が圧倒的に多いのです。

依存になるのは、医師の指示を守らずに

  • 勝手に量を調節してしまう
  • 医師が減薬を勧めても、「くすりをやめるのが不安」と現状維持を希望する
  • 定期的に来院せず、服薬もバラバラ

などの方がほとんどです。

依存形成を起こす身近な物質にアルコールがありますが、「アルコール依存になるのが怖いから、飲み会は欠席します!」という人はいないと思います。

それは、アルコールは依存にはなる可能性がある物質だけど、適度な飲酒にとどめれば、依存になることなどないからです。そしてほとんどの人は節度を持った飲酒が出来ており、依存になりません。

アルコール依存になるのは、

  • 度を越した飲酒をし続ける人
  • 周囲や医師が「飲酒を控えて」とアドバイスしても聞かない人

ですよね。

アルコールだって、抗不安薬だってその点は同じです。

アルコールは依存なんて気にせず飲むのに、抗不安薬になると「依存になる!」と過剰に怖がるのは、私たち専門家から見るとなんだか不思議に感じます。

もちろんおくすりを飲まないに越したことはないのですが、服薬の必要ある時はしっかりと内服することも大切です。