メンタルを強くする方法にはどんなものがありますか?

メンタルを強くする方法

「落ち込まないようになるためには、どうしたらいいでしょうか?」

「どうしたらメンタルは強くなりますか?」

精神科医をしていると、このような質問を受けることがあります。

生きていれば、落ち込んだり不安になったり、こころが傷ついたりすることは必ずあります。そんな時、すぐに乗り越えられる人もいれば、気持ちが落ち着くまでに時間がかかってしまう人もいます。中には気持ちがいつまでも落ち着かず、生活に大きな支障を来してしまう方もいます。

落ち込んでいる時はとてもつらい気持ちが続きます。こころのキズがなかなか癒えないと毎日が地獄のように感じます。こんな思いはなるべくしたくないと考えるのは当然の事です。

だから、「もっとメンタルを強くしたい!」と考えるのでしょう。

しかしメンタルは強くすることが出来るのでしょうか。メンタルを強くすることが出来るなら、どんな方法があるのでしょうか。今日は「メンタルを強くする方法」について考えてみましょう。

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1.メンタルが強いというのは、どういう事なのか?

メンタルを強くする方法を考えるのであれば、まず「メンタルが強い」というのは、どういうことなのかを考えなくてはいけません。

「メンタルが弱い自分がイヤだ」
「メンタルを強くしたい」

このような相談をされる方は、なぜメンタルを強くしたいと考えるのでしょうか。そして、どんなメンタルになることを望んでいるのでしょうか。

私たちのメンタルが傷付き、落ち込んだり不安になったりするのは、何か精神的にストレスになるような出来事が発生した時がほとんどです。

「大きな失敗をしてしまった」
「友達にひどいことを言われた」
「大切な人が亡くなってしまった」

ストレスとなる原因は様々でしょうが、一例を挙げればこのような時です。

「自分はメンタルが弱い」と言う患者さんを見ていると、「メンタルが弱い」というのは、精神的ストレスを受けた時に「長期間」「深く」精神的に不安定になってしまうことを指しているようです。これはとてもつらいことですので、「メンタルが強ければ、こんなにつらく感じなくて済むのに・・・」「メンタルが強くなりたい」と考えるのでしょう。

つまり、多くの方が考える「メンタルが強い」というのは、精神的にストレスになるような出来事があった時に、「短期間」で「浅い」精神的な不安定さに留められる力のことを言うのではないでしょうか。

この定義をしっかりと持っておくことは非常に重要です。目指す目標として間違ってはいけないのは、「メンタルが強い」というのは、ストレスがあった時に「全く落ち込まない」ということではありません。

「大きな失敗をしたのに、何とも思っていない」
「友達が明らかにひどいことを言ってるのに何とも感じない」
「大切な人が亡くなったのに、何とも思わない」

これって確かにメンタルは強いのかもしれませんが、ちょっと違いますよね。確かに強靭なメンタルですが、その代わり人間として大切なものを大分失ってます。

確かに落ち込まないし不安にもならないでしょうが、これでは、「集団生活が行えない」「人と一緒に生活できない」などの別の問題がたくさん生じてしまうことは明らかでしょう。

2.メンタルが弱いのは悪いことなのか?

メンタルが弱いということは、「良くないこと」と考えられる傾向があります。

メンタルが強い人は素晴らしい人で、メンタルの弱い人はダメな人。

でもこれって本当にそうなのでしょうか?

私は、メンタルが弱いということは、必ずしも悪いことではないと感じています。

精神科医として仕事をしていると「私はメンタルが弱いのが悩みです」という方に良くお会いします。しかし、そういった方に対して「この人はダメな人だなぁ」と感じることはほとんどありません。むしろとても優しい方だったり、人の気持ちが分かる方であったり、気遣いができる方であったり、素晴らしい方が多いくらいです。

「メンタルが弱い」というのは感受性や情緒性が豊かであるということでもあるのです。

仕事で失敗してひどく落ち込む人は、責任感が強く、他者に対する思いやりがあるという事です。

友達にひどい事を言われて落ち込む人は、そのようなひどい事を絶対に他者に言わない人です。

大切な人が亡くなって深く落ち込む人は、優しくて感謝を忘れない人です。

私は精神科医として、たくさんの方々のこころを診てきました。確かに、メンタルが強い人と弱い人がいるのは確かです。でも、メンタルの強い人が素晴らしい人で、メンタルの弱い人がダメな人だと感じたことはありません。

「メンタルが弱い」と自分で悩んでいる方の多くは、とても優しくて、思いやりがあって、責任感が強くて、人の気持ちをとてもよく考えてくれる素晴らしい人たちです。

だから決して、「メンタルが弱いのはダメなことなのだ」と考えてはいけません。メンタルが他の人と比べて傷つきやすいのはあるのかもしれませんが、それで人間性まで否定するのは大きな勘違いです。

メンタルが弱いという事は悪いことではないのです。ただ、それによって本人がつらい思いをしてしまっているので修正していきましょうと、ただそれだけの事なのです。

同様に「メンタルが強い人」というのも、必ずしも素晴らしい人とは限りません。

強靭なメンタルを持っている方というのは、確かに存在します。それ自体はすごいことではありますが、中には人間性としてみると「?」な方もいます。

例えば、「感情の欠落している人」のメンタルは強靭です。だって感情が乏しいのですから落ち込むこともありません。でもこれって素晴らしいことでしょうか。感情が欠けているから、確かに落ち込まないけど、相手の気持ちも分からないし、相手の立場に立って物事を考えるという事も出来ません。

仕事の失敗をしても、「俺は悪くない。アイツが悪い」と考えれて全く落ち込まない。
大切な人が死んでも、「アイツは死んで当然だよ」と考えれば全く動じません。

このような方のメンタルは最強です。でも、これってみなさんが目指しているメンタルでしょうか?

メンタルが強くなれば、精神的な苦痛が減ることは確かです。でもだからと言って、「メンタルが強い人は素晴らしい人」「メンタルが弱い人はダメな人」だという事には全くなりません。

「メンタルが弱い」と悩んでいる方は、自分の人間性まで否定してしまう方が多いですが、ここは勘違いしないようにしてくださいね。

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3.メンタルを強くする方法は二つしかない

考えてみると、メンタルを強くする方法というのは2つしかない事が分かります。

ストレスがあなたに襲い掛かってきたとき、そのストレスに対抗するには

1.防御力を上げる
2.回避力を上げる

のどちらかしかありません。

診察をしていても、「この人はメンタルが強いな」と感じる方は上の2パターンに分かれる事に気付きます。

防御力を上げるというのは、「感情が崩れない精神に強度を上げる」事です。

対して回避力を上げるというのは、「ストレスを上手に逃がしてストレスを和らげる」ことです。

この二つの方法のうち、どちらの方法を取るのが良いでしょうか。

Ⅰ.メンタルの強度を上げる

強靭の精神を作り上げてメンタルの強度を上げれば、確かに落ち込みにくくなるでしょう。防御力を上げるのは、メンタルを強くするために確かに有効です。

しかしこれは同時に注意も必要です。

精神の強度を上げるのは限界があります。

そもそも、精神的なストレスを受けてがあって落ち込んだりするのは、非常に生理的な正常な反応です。それをストレスがあったのにまったくメンタルに響かないようにするのは、とても不自然な反応を人工的に作るということにないrます。

落ち込まなくなれば、確かに気持ちは平穏かもしれませんが一方で、「感情の乏しい人」「冷徹な人」に近づいていってしまう危険があります。

また、ストレスを受けたのに落ち込まないというのは、非常に不自然な反応になりますから、本当は落ち込んでいるのにメンタルが傷ついていない「ふり」をしてしまうだけになる可能性もあります。これは確かに外見上は「メンタルの強い人」だと思われるかもしれませんが、心の底では大きく傷ついています。

自分を「私は傷付いていないんだ」とだまして続けるという事になりますが、これはいつか心が耐えきれなくなり破綻します。こうなってしまった場合、莫大なストレスを溜めこんでいた分、大きく精神が崩れてしまいます。

周りの人と比べて、あまりに防御力が低いと感じる方なのであれば、ある程度強度を上げることも必要ですが、そうでない場合はあまりお勧めできる方法ではありません。

Ⅱ.ストレスの逃がし方を覚える

真の意味で「メンタルが強い人」というのは「ストレスを上手に逃がすことのできる人」だと感じます。

前項のメンタルの強度が高すぎる方というのは、確かにメンタルは強いのですが、(失礼な言い方ですが)「人間味を感じない」方になってしまう場合は一部あります(全ての人ではありませんが)。確かにメンタルはそうそう崩れないでしょうし、落ち込んだりする事もないのですが、その分別の問題が出てきます。

本来落ち込むべき状況で落ち込む気持ちが沸かなければ、「他者の気持ちが分からない」「協調性がない」「空気が読めない」などとなってしまい、生きていく上で別の様々な支障が出てしまうことは想像に難くありません。

もちろん、このような強靭なメンタルを持つことで社会的に成功している方もいますので、これが悪いわけではないのですが、精神科医としてはあまりお勧めできる方法ではありません。

人間味のある「メンタルの強さ」を目指すのであれば、無理に精神強度を上げるのではなく、ストレスの上手な受け流し方を学んでいく方がよいでしょう。

3.ストレスを上手に逃がす5の方法

メンタルを強くするために大切なことは、ストレスに対する回避力を上げる方法が良いとお話しました。

「ストレスを上手に逃がせるようになる」という事ですね。

では、具体的にどのような考え方や行動を取れば、ストレスに対する回避力が上がるのでしょうか。

特に大切な考えを5つ紹介します。

Ⅰ.適度に適当になる

同じようなストレスを受けても、受け取り手によってその感じ方は異なります。

完璧主義の方であったり、自分に厳しい人は、ストレスを重くとらえます。反対に楽観的な方やいい加減な方は軽くとらえます。

例えば仕事でミスをしてしまった時のことを考えてみましょう。

自分に厳しい方は、「自分のせいで会社に損害を与えた」「みんなに迷惑をかけた」「自分はなんてダメなんだ」と考えます。これは大きく落ち込むでしょう。

しかし楽観的な方は、「まぁ、人間だし失敗はたまにはするよね」「そういえば同僚もこないだミスしてたな、これでおあいこだ」などと考えます。これはあまり落ち込まなそうですね。

あまりに楽観的すぎるのも問題ですが、適度に適当になることはストレスを逃がすために大切だということが分かりますね。

ストレスを溜めこみ過ぎないためには、大切な考え方です。

Ⅱ.物事の良い面を見る

精神的にストレスを受けるようなイヤな出来事でも、見方を変えれば良い出来事に変わることがあります。何事も良い面を探してみることはストレスを逃がすために大切な考え方です。

例えば、仕事で失敗してしまったことも、「いい勉強になった」「次により大きな失敗をしなくて済む」と考えることが出来れば良い経験になるでしょう。実際、その失敗があったからこそ、次に大きな成功が出来るかもしれません。

つらい出来事を多く経験した人は、そのつらさを知っている分だけ、人に優しくできると言います。どんなことでも、将来の自分のためになるんだと考えてみると、それだけでストレスは軽減するでしょう。

Ⅲ.マイペースになる

人に合わせる方は、いつも他人の目が気になるため、メンタルが動揺しやすい傾向にあります。

他者を気遣う性格は、とても優しくていい性格なのですが、他者に迷惑をかけない程度にマイペースになってみることは有効です。

「別に人には迷惑をかけていないし、いっか」

このくらい気楽な考え方が、ストレスを溜め込まないために有効です。

Ⅳ.一人で抱え込まない

ストレスを逃がすのが上手な方は、早い段階で「助けて!」と周囲にサインを送れる方です。

反対に「人様に迷惑をかけてはいけない」「自分で何とかしなければ」と、自分ひとりで抱え込んでしまう方は、ストレスに押しつぶされてしまいます。

人間が一人で出来る事というのは限られています。世の中、一人ではできないことの方が多いのです。

「人に頼ってもいい」「時には甘えてもいいんだ」

このような気持ちを持っていると、ストレスを溜めこみすぎずに済むでしょう。

Ⅴ.発散する

Ⅰ~Ⅳまでの考え方を持って生活しても、ストレスは溜まってしまうことがあります。

そんな時は「発散する」ことです。

こころに溜まったストレスは、自然に消えていくことはありません。しっかりと吐き出さないと、いつか限界量を超えて爆発してしまいます。

具体的な発散方法は、「一人でも簡単にできる!ストレス解消方法10選」をご覧下さい。

4.メンタルを弱らせるような生活習慣をしない

最後に、メンタルを弱らせないための注意点を紹介します。

メンタルを強く保つためには、メンタルを強くする工夫だけでなく、「メンタルを弱らせない」工夫も大切です。

生活習慣が乱れると、精神的に不安定になりやすいことが知られています。

例えば、

● 不規則な食生活
● 睡眠不足
● 過度のアルコール、タバコ
● 運動不足

などは、うつ病などの精神疾患発症の危険因子でもあり、「メンタルを弱らせる」ものであることは明らかです。

メンタルを強くしたいのであれば、今以上にメンタルを弱らせてしまうような生活習慣をしないように注意してください。

また、

● 姿勢をまっすぐ保つ
● 大きな声で話すよう意識する
● 常に笑顔を意識する

という外見的な工夫も意外と効果的です。

実はこころと身体というのは密接に関連しています。元気になるような行動を身体で行えば、それはこころにも影響し、メンタルが安定することが分かっています。

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