暗い気持ちの時こそ、笑顔を意識してみよう

笑顔

イヤなことがあったり落ち込んだりすると、どうしても気持ちは沈み、暗くなっていきます。この暗い気持ちが長期間続くと、いつの間にか暗い気持ちにつられて表情も暗くなったり、態度や行動も暗く消極的になっていきます。

気持ちが晴れず絶望感でいっぱいの時、「明るい気持ちを持ちましょう」と言われても、それは難しいでしょう。特にうつ病などの疾患であれば、その暗さは疾患としての症状であるわけですから、簡単に変えることが出来ません。

しかし「表情だけでも明るくしてみましょう」ならばどうでしょうか。気持ちは暗くても、「明るい顔」「笑顔」を作ってみるだけなら何とかできるという方もいらっしゃるでしょう。

気持ちが暗いのに表情だけ笑顔にするというのは何だかチグハグな感じがして違和感を覚えるかもしれません。

しかし、こころが沈んでいる時は、表情だけでも明るく笑顔でふるまった方がいいのです。なぜならば笑顔を続けていると、この明るい表情はこころにも影響を与え、次第に気持ちも軽くなっていくからです。

辛い気持ちの中、飛び切りの笑顔は作れないかもしれません。でもちょっと口元を緩めて、軽い笑顔を作るだけでもいいのです。

暗い気持ちの時こそ、笑顔を作ることを意識してみましょう。

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1.こころを身体は深くつながっている

私たち精神科医は主に患者さんの「こころ」の診察・治療をさせて頂いております。

患者さんの「こころ」を深く診させて頂けば頂くほど、「こころ」とは単独に存在しているものではなく、「身体」と非常に密接につながっているのだということを感じずにはいられません。

以前、「姿勢を良くするだけでメンタルヘルスは向上する」という記事を書きました。この記事も、「こころを身体はつながっている」という事が一番伝えたかったことです。「姿勢を良くする」ことで身体に変化を生じさせると、これは「こころ」にも良い影響を与え始めるのです。良い姿勢を続けるだけで気持ちも前向きになっていくよというのが、この記事の趣旨でした。

今回の記事も似たような内容になってしまうのですが、「笑顔を作る」というのも「姿勢を良くする」と同じくらい、こころに良い影響を与えます。

こころと身体は非常に密接につながっています。

こころが不調だと、必ず身体にも何らかの不調が生じます。精神的に不安定な日々が続くと、身体もだるくなったり、痛みが強くなったり、食欲が沸かなくなったり、吐き気がしたりと身体の不調も生じてくるという事はみなさんも経験があるのではないでしょうか。

反対に身体の不調が続くと、次第にこころを不調になっていくこともよく知られています。例えばガンや慢性疾患の闘病生活を長期間送っている方は、次第に気持ちが落ち込んでしまい、うつ病などにもかかりやすくなってしまいます。

ここからも分かるように、こころと身体はお互いに強く影響しあっているのです。片方が不調になると、引っ張られるようにもう片方も徐々に不調になっていきます。

しかしこのお互いへの影響は、決して悪いことだけではありません。お互いが密接に影響しあっているため、お互いに良い影響を与え合うことも可能なのです。

つまり、片方を元気にすると、もう片方も引っ張られて徐々に元気になっていくということです。

この事実を理解し、この現象を上手に利用出来るようになると、病気の治りをより早くすることが可能になります。

2.こころが不調な時は、まず身体を元気にしてみる

こころと身体がお互いに強く影響しあっているという現象を良く理解すると、治療の助けになります。

片方が不調である時、そのまま放置してしまうともう片方もひっぱられて不調になっていきます。こうなってしまうと状況はより悪化してしまうでしょう。このように片方が不調な時は、もう片方は「元気にふるまう」ようにしてみると、元気にふるまったほうが不調なほうにも良い影響を与え始めてくれます。

身体とこころが同時に病に侵される、ということは稀でしょう。大抵の場合、病が生じるのはどちらか一方です。

例えば、身体が病気になってしまったとき、そのまま放置しておくと次第にこころも不調になっていきます。この時、こころを放置して徐々に落ち込ませるのではなく、身体が不調であるならば逆に「気持ちは元気にふるまおう」と考えるべきなのです。

すると、元気にふるまっているこころのエネルギーが、次第に身体に良い影響を与えるようになります。実際、前向きな方や楽天家の方はそうでない方よりも免疫力が高まるという報告もあります。身体が不調な時こそ、意識してこころを元気にすると、こころのエネルギーが身体の不調を中和してくれるようになるのです。

同じようにこころが不調である時も、そのまま身体を放置するのではなく、「身体は元気にふるまう」ことが有効です。身体だけでも元気にふるまうと、次第にその影響はこころにも届くようになります。するとこころも段々と元気になってくるのです。

そして身体を前向きにする方法の1つとしてオススメなのが、「笑顔を作ってみる」ことです。

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3.こころが落ち込んでいる時こそ、笑顔を意識しよう

こころが不調だと、どう頑張っても元気なこころを持つことは出来ないこともあります。

例えばうつ病は、症状として「抑うつ気分」や「興味・関心の低下」「意欲低下」「死にたい気持ち」などが出現します。このような症状がある中でこころを元気にしようと考えても、それは難しいものがあるでしょう。

しかし、「身体」を元気にするとなると幾分ハードルは下がります。

もちろん、「元気いっぱいに活動する」「常に大声でハキハキ話す」「大笑いする」など、あまりに元気すぎる行動は難しいでしょう。いくら身体ではなくこころの不調だとは言っても、通常こころが不調な時は身体も良い調子ではないからです。

しかし、身体を多少元気にふるまうくらいであれば、それは「こころを元気にふるまう」よりは容易にできるはずです。

そのような、大きな負担なくできる「身体の元気なふるまい」が、こころの不調時には良いのです。これが具体的には以前お話ししたような「姿勢を良くすることを意識する」であったり、今回取り上げた「笑顔を意識する」ことになります。

めいっぱいの笑顔ではなくても、ニコッとほほ笑むくらいの笑顔であれば大きな苦痛なく出来るでしょう。それで十分です。

ちょっとでもいいので、身体を元気に振舞い続けていると、次第にこころにも良い影響を与え始めます。

朝起きたら鏡を見て、自分に軽く微笑んでみましょう。
人と話す時はなるべく笑顔を作るようにしてみましょう。
顔を洗ったり、トイレに行ったりと鏡を見る機会がある度に、ニコッと笑顔を作ってみましょう。

このような小さなことでもいいので、毎日続けてみて下さい。

笑顔を作ることで失うものは何もありません。そしてこれはちょっと意識するだけで出来ることで、大きな労力もかかりません。「笑顔」はこころが不調な時に始める行動としてちょうどいいのです。

笑顔を続ければ、毎日暗い顔をして過ごしているよりも、気持ちが明るくなりやすくなるはずです。

4.笑顔を続けるとなぜこころも元気になるのか

身体とこころは密接につながっている。だから身体だけでも元気に振舞えば、こころも元気になっていく。

このようなお話をしました。感覚的にはみなさん理解できる話だと思います。しかしもうちょっと医学的に、なぜ笑顔がこころにも良い影響を与えるのかを考えてみましょう。

笑顔を続けると次の2つの作用が得られると考えられます。

  • 脳の血流が増える
  • 副交感神経が活性化する

そして笑顔で生じるこの2つの作用によって、こころも元気になりやすくなるのだと考えられます。

笑うと脳血流が増え、それにより集中力や記憶力の向上が得られることが報告されています。そしてこれは、作り笑いや軽い微笑みであってもこのような効果は多少は得られることが考えられます。

実は脳血流と精神状態というのは大きく関わっています。

うつ病の方では、前頭葉などの脳の一部の血流が不良になっていることが報告されています。また脳梗塞で脳の一部の血流が不良になってしまった方は、その後怒りっぽくなったり落ち込みやすくなったりと精神的に不安定になりやすいという事実があります。

ここからも脳血流の不良は精神状態に悪い影響を及ぼすことが分かります。反対に考えれば、脳血流が良好だと精神状態が安定しやすいという事も出来ます。笑顔が多くなることが脳血流の増加につながるのであれば、笑顔がこころの不調を改善させるというのも、十分納得がいく説明になるでしょう。

また笑顔になっている時というのは、基本的には副交感神経が活性化します。副交感神経は自律神経の一種であり、主にリラックス状態を作る神経になります。

自律神経には緊張の神経である交感神経とリラックスの神経である副交感神経があります。リラックスの神経である副交感神経が活性化すると、心身はリラックス状態となるため、不安や緊張・恐怖などが緩和し、穏やかな気持ちを作りやすくなります。

これもこころが不調である時には、その改善に役立つ作用だと考えられるでしょう。

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