悲しい気持ちから立ち直りたい時には「3つのT」を意識しよう

悲しい気持ちからの立ち直り

何かショックを受けるような出来事に遭って悲しい気持ちになってしまった時、そこから立ち直るのにはある程度の時間がかかります。悲しみが深ければ深いほど治るのには時間がかかるのが普通で、なかにはいつまで経っても悲しさから立ち直れないという方もいらっしゃるかもしれません。

悲しい気持ちを受け入れ、立ち直っていくためには時間がかかる。

これはみなさん、頭では分かっていると思います。しかし悲しい気持ちを抱えたまま何週間も何か月も過ごすというのは、大変つらいことです。少しでも早く悲しい気持ちを和らげたい、少しでも早くこの悲しみから解放されたい、誰もがそう考えます。

悲しい気持ちから少しでも早く立ち直るためには何か良い工夫はあるのでしょうか。また、どうしても立ち直れない時はどうしたらいいのでしょうか。

今日は悲しい気持ちに対する向き合い方について考えてみたいと思います。

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1.悲しい気持ちだという事を認め、受け入れる

悲しい気持ちになった時、まず私たちがしないといけない事は、悲しさを「受け入れる」という事です。

実は自分が悲しい気持ちを受け入れることが出来ていない方は少なくありません。そしてそういった方は悲しい気持ちからなかなか立ち直れなくなってしまいます。

これは一体どういうことなのでしょうか。

忙しくてプレッシャーに追われている毎日を過ごしていると、自分の感情にいちいち付き合っていたら身が持たないという無意識がはたらき、自分の感情にフタをしながら生きてしまうことがあります。特に忙しく働いている方やプライドの高い男性においてこれはよく認められます。

悲しさを感じる時、その多くには明確な理由があります。

・大切な人を失って悲しい
・友人とケンカをしてしまって悲しい
・信頼している人に裏切られて悲しい
・こころが痛むニュースをみてから悲しい

理由は人それぞれですが、悲しい気持ちが出てくるのには何らかの理由があることがほとんどです。

何か悲しくなるような出来事があって、それに対して「悲しい」と感じるのは普通のことです。むしろそんな時に「悲しい」と感じない方がおかしいことなのです。悲しい気持ちが沸いてくることはおかしいことでも情けないことでもなく、正常な反応なのです。

なのに私たちはその「正常な気持ち」である悲しさに対して、フタをしてしまうことがあります。

例えば、プレッシャーに追われる毎日を過ごしている人が、ある日突然、大切な親友の死の知らせを聞いたとします。当然、悲しい気持ちが沸きあがってくるのですが、そこで「立ち止まっているヒマはない。悲しいなんて考えたらダメだ」と悲しい気持ちにフタをしてしまうことがあります。

また、男性は何か悲しいことがあっても「こんなことで悲しいなんて思ってちゃ男として恥ずかしい」などというプライドがはたらいてしまうことがあり、これもまた悲しい気持ちにフタをしてしまいます。

これらの例では、自然な感情を無理矢理、不自然にしてしまっているのが分かります。

困ったことに、無理矢理フタをされた「悲しい気持ち」は自然とは消えてはくれません。悲しみはフタをされたため見えにくくなってはいますが、心の底にいつまでも残り続けます。そして、いつまでも悲しさを閉じ込めておくと、悲しい気持ちは徐々にあなたのこころを傷付けていきます。

表面上は悲しさから立ち直ったように見えても、心の中には悲しさが残っているため、いつまでも「何となく悲しさが消えない」という感情が続いてしまうこととなります。この状態では、いつまで経っても悲しみから立ち直ることは出来ません。

こうならないためには、まずは「悲しい気持ち」を感じている自分を受け入れることが最重要になります。

「私は〇〇ということがあって悲しい気持ちになっているんだ」
「悲しい気持ちになっているのは正常な反応でおかしいことではないんだ」

まずはこのように自分の感情に対して素直に向き合うこと、それが悲しい気持ちから上手に立ち直るための第一歩なのです。

2.悲しい気持ちから立ち直るための3つのT

悲しい気持ちから立ち直るためには、「3つのT」が効果的だと言われています。

この3つのTとは何でしょうか。それは、

Tear(涙)
Talk(話す)
Time(時間)

の3つです。これらを上手に使うと、悲しみからより早く立ち直ることが可能になります。

では、この3つのTを使って、どのように悲しい気持ちを癒していくのでしょうか。詳しくみていきましょう。

Ⅰ.Tear(涙)

とても悲しいことがあると、私たちは自然と涙を流します。この「泣く」という行為は、実は悲しみを癒すためには非常に有効な方法なのです。

「思いっきり泣いてスッキリした」という経験がある人は多いと思いますが、涙を流すことが悲しみを癒す作用があることがここからも分かります。

医学的に見ると、涙を流すと脳からエンドルフィンという脳内物質が分泌されることが知られています。このエンドルフィンは脳内麻薬とも呼ばれており、分泌されることで鎮痛作用(痛みを取る作用)や多幸感が得られると言われています。つまり涙を流すと、それだけで気持ちが楽になるということです。

悲しい気持ちになった時、「悲しいなんて思っちゃダメだ!」とその感情にフタをして耐えようとする方は多いです。特に男性で顕著で「泣くなんて恥ずかしい」と思ってしまう方が多数でしょう。しかし感情にフタをするのは悲しみをかえって長引かせてしまうことになります。

悲しいのであれば思いっきり泣いた方が、気持ちが癒され、より早く立ち直ることができます。

また、泣くのと同じように「感情を吐き出す」ことも悲しい気持ちを和らげるために有効であることが知られています。例えば、

・悲しい気持ちを「書き出す」
・悲しい気持ちを「叫ぶ」

なども悲しみを癒す効果があります。

ただし、叫ぶなどの方法は、場所や状況がそろっていないとなかなかできませんよね。近所迷惑になってしまう可能性もあります。そう考えると「泣く」という方法が一番現実的に有効な方法なのかもしれません。

Ⅱ.Talk(話す)

私たち人間は、誰もが「自分を分かってもらいたい」という欲求を持っています。特に精神的に追い詰められたり、つらい気持ちの中にある時は、それはより顕著となります。

悲しい気持ちにある時、誰かに話を聞いてもらえて、自分を理解してもらえると、人はとても安心できます。そして安心できると気持ちが安定し、早く悲しさから立ち直ることが出来るようになります。

「悲しい気持ちは誰かに話しましょう」とアドバイスすると、

「こんな事を話したら情けないヤツだと思われるんじゃないか」
「こんな事を話して相手は迷惑がらないだろうか」

と心配になってしまって、なかなか話せないという人もいます。

しかし、ちゃんと信頼できる相手を選んで話せばこのように思われることはまずありません。

逆の立場で考えてみましょう。

もし、あなたの大切な人が「どうしても悲しい気持ちが消えなくて、相談したいことがあるんだけど・・・」と相談してきたらどうでしょうか。その相手に対して、あなたは「こいつ情けないな」「迷惑なやつだ」と思うでしょうか。大切な相手であればそう思うはずはありません。

相手の時間は多少もらうことになりますが、それは今後相手が同様につらい気持ちになった時に話を聞いてあげることで返していけばいいのです。

特に男性は、なかなか人に話すことが出来ないものですが、「話す」効果は決して侮れませんので、ぜひ取り入れてみてください。よく、女性は男性と比べて悲しさを引きずることが少ないと言われますが、女性は男性よりも友達に自分の気持ちを話すからなのかもしれませんね。

Ⅲ.Time(時間)

悲しみから立ち直るためには、ある程度の時間も必要です。

そのため、「ある程度の時間をかけて解決していこう」という気持ちをもって悲しい気持ちと向き合っていく必要があります。時間がかかるものなのに、焦って急いで立ち直ろうとしても、上手くいくはずがありません。

むしろ「時間をかけてやっていこう」と腰を据えて、ゆっくりと治していく気持ちを持っていた方が、結果的には早く立ち直れるのです。

時間をしっかりかけて治していくんだ、という気持ちをもって悲しい気持ちと向き合ってみてください。

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3.どうしても立ち直れない時は?

自分の力だけではどうしても立ち直れない時は、第三者の力も借りる必要があります。

そんな時は私たち精神科・心療内科がお役に立てることがあります。

もちろん、悲しい気持ちを感じたら全て精神科・心療内科を受診した方がいいというわけではありません。悲しい事があって、それに対して悲しい気持ちを感じるのは、正常な反応であり病気ではありません。そのため、ただ悲しいというだけであれば受診をする必要はありません。

具体的に、受診を考える目安としては、

  • ある程度の時間(2週間以上)が経つのにまったく改善しない、あるいは悪化している。
  • 自分だけでは改善するためにどうすればいいのか分からない
  • 悲しい気持ちで生活に支障が出そうである、あるいは出ている

このような場合は、一度精神科医などのこころの専門家に相談しても良いでしょう。

具体的に、私たちが出来ることには次のようなことがあります。

Ⅰ.病気に至ってないかの判定

悲しい気持ちから立ち直る方法が間違っている場合などでは、悲しみが長引いてしまうことがあります。心の中に悲しい気持ちが長く留まりすぎると、それは徐々に精神を傷付けていきます。

悲しい気持ちに長期間さらされていると、うつ病などの精神疾患を発症してしまうことがあります。この場合は、お薬や精神療法(カウンセリングなど)の治療が必要になることもあります。

精神科を受診し、専門家の診察を受けることで、今の状態がうつ病などの病気に至っていないかを判定してもらうことが出来ます。その悲しみは、そのまま様子をみてもいいものなのか、それとも治療が必要な状態にまで至っているのかが確認できます。

Ⅱ.どう立ち直っていくのかをアドバイスできる

悲しい気持ちが通常と比べて長引き過ぎている場合、悲しみからの立ち直り方が間違っている可能性があります。

悲しみからの上手な立ち直り方は、悲しみから立ち直ってきた人をたくさん診てきている私たちが一番よく分かっています。そのため、どう立ち直ったらいいのか分からない人には、私たちから有益なアドバイスを出来る可能性があります。

今までの経過を聞いた上で、

「自分の悲しい気持ちと向き合っていないのではないか」
「感情を吐き出したり、話したりが足りていないのではないか」

など原因を見つけ出すことができます。また、原因に対して

「このように考えて悲しい気持ちと向き合ってみてください」
「このような相手に話してみたらどうでしょうか」

など、解決のアドバイスをすることも出来ます。

Ⅲ.話を聞く

悲しい気持ちから立ち直るためには話すのが良いことは分かったけど、なかなか話しやすい相手が周囲にいない。

このような方は少なくありません。

家族や親友、恋人などの信頼できる人の中に話せる相手がいれば、その人に話を聞いてもらうのが一番です。しかし、どうしても諸事情により周囲に話せる人がいない場合は、診察やカウンセリングで話をしてもらい、すこしずつ悲しい気持ちから立ち直ってもらうという方法もあります。

診察はあまり長時間は取れないこともありますので、その場合は何回かに分けて少しずつ話してもらいます。

カウンセリングでカウンセラーに話す場合は、時間は多く取れますがカウンセリング料などがかかってしまうというデメリットもあります。

どの方法が一番いいのかは、よく相談しながら決めていきます。

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