考えすぎる性格を治したい方に必要な考え方と実践すべき5つの方法

考えすぎる性格

診察室で患者さんとお話をしていると、

「つい考えすぎてしまい、自分で自分を苦しめてしまう」
「考えすぎたら良くないと分かっているけど、つい考え込んでしまう」

といった悩みを相談される事があります。

何かを実行に移す前に、十分に考えるという事は非常に大切です。安易な行動は取り返しのつかない危険や失敗につながる事もあるからです。

しかし、考えば考えるほど良いのかというとそうとも言えません。考え込み過ぎてしまうと、失敗を恐れるあまり行動できなくなってしまったり、不安や恐怖を必要以上に強く意識してしまう事にもなります。

「よく考えて行動する慎重な性格」は悪い性格ではありません。しかし、考え過ぎてしまうために自分自身を苦しめているのであれば、気持ちを楽にするために考えすぎる性格を多少修正してみてもよいかもしれません。

ここでは考えすぎてしまう事で苦しさを感じている方に向けて、考えすぎる性格をどのように変えていけばいいのかをお話させていただきます。

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1.私たちはなぜ考えるのか

「考えすぎる性格を治したい」という方は、自分は何故「考える」のかをまずは考えてみて下さい。

なぜ自分が考えるのか、その理由が分かっていなければ、考えすぎる自分を治す事は出来ません。

なぜ私たちは「考える」のでしょうか。

私たちが日々考えるのは、「より良く生きるため」です。

私たちは何か行動を起こす前に、

  • その行動で何が得られるのか
  • その行動で失うものは何か
  • その行動に伴う危険は何か

などといった事を考えます。これらを考えた上で、その行動をする意味があると判断すれば行動をするし、意味が乏しいと判断すれば行動をしないかあるいは行動を修正します。

例えば、小学生の頃に友達から「今から遊びに行こうよ」と誘われた時の事を思い出してみて下さい。友達とは遊びたいのですが、そういえば明日までにやらないといけない宿題をまだやっていません。

この時、この小学生のあなたは何を考えるでしょうか。

「遊びに行ったら楽しいぞ」
「でも遊びに行ったら宿題が終わらないかもしれない」
「宿題をせずに遊びに行ったら学校の先生や親に怒られるだろう」

このように、遊びに行く事に対する「メリット」「デメリット」を考えるはずです。そして、これらを総合して、遊びに行くかどうかの結論を出します。

「宿題はすぐ終わりそうだし、遊びに行っちゃおう」
「後で怒られるのはいやだし、今日は誘いを断ろう」
「よし。まずは宿題を終わらせて、それから遊びに行こう」

などと、自分の状況から将来を予測し、自分や周囲によってもっともよい結果になるような結論を出すのです。

もしここで何も考えず、「楽しそうだから行こう!」と本能だけに従って遊びに行ってしまったらどうなるでしょうか。遊んでいる間は楽しいでしょうが、宿題をやる時間がなくなってしまえば、後で親や先生から怒られてしまうでしょう。

安易に行動せず、「自分や周囲にとってもっとも良い行動は何だろうか」としっかりと考える事で、私たちは一番良いと思われる行動を選ぶ事が出来るのです。

「考える」という行為はとても意味のある行為なのです。

本来、「考える事」は脳が高度に発達している生物だけに与えられた、自分の人生をより良いものにする、素晴らしい行為なのです。

2.考えすぎで苦悩が生じるのはなぜか

前項では考える事の意味をお話ししてきました。

本来、考える事は素晴らしい事です。行動する前にしっかりと考える事は、よりよい人生を送るために欠かす事は出来ません。

でも、このように素晴らしい行為であるはずの「考える行為」が、自分を苦しめてしまうというのはどういうわけなのでしょうか。

その理由は「考える」という行為の不確実性にあります。

「考える」という行為をより深くみていくと、「答えの分からない事を自分なりに予測する」という行為である事が分かります。

先ほどの例をもう一度見てみましょう。友達に遊びに誘われたとき、まず「楽しそうだし、遊びに行きたい!」と感じます。

しかし、そこで「遊びに行っても大丈夫なのか」考える事で、

「このまま遊びに行ったら親に怒られる(かもしれない)」
「遊びに行かなかったら、友達との楽しい時間を得られない(かもしれない)」

と未来を予測し、この予測に基づいて自分にとって最適な行動を考えるわけです。

しかし重要な事は、この予測はあくまでも予測に過ぎないという事です。必ずそうなる事が保証されているものありません。

もしかしたら宿題を放り出して遊びに行っても怒られないかもしれません。友達の誘いを断って楽しい時間を得られなくても、また他の楽しい事が起こるかもしれません。

未来がどうなるのかは、誰にも分かりません。

私たちはあくまでも自分の知識と経験から未来を「予測」しているに過ぎないのです。

つまり、考えるという事は、不確実な未来などを自分なりに予測する事であり、不確実性を伴うものなのです。自分の考えた通りになる可能性もあるし、そうはならない可能性もあります。

そして、どんなに深く考えても、この不確実性をゼロにする事は不可能です。

考え過ぎてしまう人というのは、考える事の「不確実性」を強く意識しすぎてしまっており、「確実な」答えを求め過ぎているのです。

人は不確実なものに対して不安を感じます。「どうなるか分からない」事は不安な事ですから、これはおかしい事ではありません。しかし実は世の中のほとんどの事は確約されてなどいません。

多くの人は生きていく中で、「考えても絶対的な答えは得られない」という事を学び、受け入れていきます。しかしこの「不確実性」を受け入れる事が出来ないと、「考えすぎる(=答えの分からないものを延々と考え続ける)」という堂々巡りが生じてしまいます。

例えば、「自分は職場で嫌われているかもしれない」と考えすぎてしまっている人がいたとします。その人がなぜ考えすぎてしまうのかというと、「自分が嫌われているかどうか」に対する答えを確実に知る手段がないからです。

私たちは他人の心の中を読むことはできません。自分の経験と知識・情報をもとに「予測」する事しかできないのです。

もし「人の心を読むことが出来る能力」があれば、少なくとも「自分が嫌われているかどうか」で考えすぎる事はなくなるでしょう。しかしそんなものはないため、答えの出ない問題に対して延々と考え続けてしまうのです。

もしここで「人の心を読む事なんてできないから、自分が嫌われているかどうかなんてわからないよね」と不確実性を受け入れる事が出来れば、考えすぎる事はなくなるのです。

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3.考えすぎる性格から脱出する第一歩

「考えすぎる性格を治したいんです」

このような悩みを持つ方に、ご提案できる対処法はいくつかあります。

しかしその中でもまず一番重要な事は、「考えすぎる性格」を生み出している根本の原因を知り、その根本の原因に対して正しいアプローチをしていく事です。

考えすぎる性格から脱出するためにまず強く意識しなければいけない事は、

「いくら考えても答えは出ない事を受け入れる」

事です。

考えすぎる性格の方に、このような事を急に受け入れろといっても難しいかもしれませんが、実際に確実な答えは出ないのですから、あきらめざるを得ません。

それはあなただけがそうなのではなく、生きている皆が同じなのですから「そういうものなのだから仕方ない」という考え方を少しずつ取り入れていく事が必要です。

「自分は将来、何か大きな病気にかからないだろうか」
「今日受けた試験、受かってるだろうか」
「今日、〇〇君に嫌われてしまったのではないか」

このような事で、ついつい考えすぎてしまう方は少なくありません。もちろん、自分の経験と知識からある程度自分で考え、答えを予測する事は無意味ではありません。

しかし、いくら必死で考えても、私たちに出来るのはあくまでも「予測」であり、「真実を知る事」ではありません。その時点では真実を知る事は決して出来ないのです。

真実を知る事が出来ないものに対して、真実を知ろうとする。この矛盾が考えすぎてしまう性格を生み出します。考えすぎてしまう人にはこのような矛盾が生じているのです。

このような事から、考えすぎるという行為は

  • 完璧主義
  • 几帳面

な方に多いと言えます。このような方は「不確実性」というあいまいなものを許容できない傾向があるため、絶対的な答えを求めようとしてしまいます。しかし絶対的な答えを得る事はできないため、延々と考えるという事になってしまうのです。

考えるという行為は、絶対的な真実を導き出せる行為ではなく、あくまでも不確実性のある予測をする行為に過ぎない事を受け入れ、それ以上を求めない事が考えすぎる性格から脱する第一歩となります。

この考えをしっかりと理解した上で、次のような事も意識すれば、考えすぎる事で自分を苦しめてしまう現状から少しずつ脱する事が出来るようになります。

4.考えすぎる性格から脱するための5つの方法

考えすぎる性格から脱するためには、「絶対的な答えが分からない問題に対して、自分なりの答えを出さないといけない時、どのような心構えを持っておけばよいのか」を意識する事が大切です。

その根本は「いくら考えても答えは出ない事を受け入れる事」なのですが、この根本的な考えに基づいて、考えすぎないためのいくつかの工夫を紹介します。

Ⅰ.考える時間を決める

考えても考えても、確実な答えが出ない事に対しては、考える時間を決めてしまうという方法が有効です。

考える行為が無駄なわけではありませんので、考える事自体をやめる必要はありません。考えるという行為は自分の知識と経験から、もっとも可能性の高い答えを予測する事で、とても意味のある行為です。

しかし確実な答えが出ない事に対して一定時間以上考え続けても、そこから更に意味のある答えが出てくる可能性は極めて低いものです。

この場合は、「一定時間」で考える事をやめてしまう方が良い事が分かります。

考えすぎる性格の方は、適度なタイミングで考える事を中断することが苦手な傾向がありますので、このような場合は時間を決めてしまい、その時間になったら強制的に考える事を中断するようにしましょう。

中断するときはしぶしぶ中断するのではなく、「ここまで考えたのだから、きっとこれが自分にとっての最良の答えだ」と自信を持つ事が大切です。そのためにも、中断する時間が来るまでは精一杯考え抜くようにしましょう。

Ⅱ.時間が解決すると考える

「自分は将来、病気にならないだろうか」
「今日受けた試験は合格しただろうか」

このような未来については、その未来が実際に来るまで答えというのは分かりません。

このように「時間が経たないと答えが得られない事」に対しては、「時間が解決してくれる問題なのだ」という意識を持つようにしましょう。

その時が来るまで苦しみや不安を抱えながら延々と考え続けるよりは、「時間が解決するもの」とあきらめ、その時が来るまで待った方が精神的に楽に過ごせます。

Ⅲ.心配事の8割は起こらない

心配事を考えすぎてしまう人に対して、実際にその後に心配していた事が起こってしまうのはどのくらいの確率なのかをみた調査があります。

その調査によると、「心配事の8割は起こらない」という結果が出たそうです。

みなさんも自分の経験から思い出してみてください。「こうなってしまったらどうしよう・・・」という不安の多くは実際は起こっていなかったのではないでしょうか。

心配事が絶対に起こらないという事は出来ません。しかし心配事のほとんどは起こらないものなのです。

このような経験や調査結果を根拠に、「今はこんなに心配になっているけど、実際はそのような悪い結果になる可能性は低いのだ」と考えてみる事も有効でしょう。

Ⅳ.相談する

一人で考えすぎてしまう方は、誰かに相談してみると良い事があります。

もちろん、誰かに聞いたからといって確実な答えが得られるわけではありません。確実な答えは誰にも分らないのですから、誰に聞いても不確実性がゼロになる事はありません。

しかし色々な人に相談すると「確実な答え」は得られないものの、「あの人も同意してくれた」「あの人からアドバイスをもらってより深く考えられた」という「安心」を得る事が出来ます。

そしてこの安心が、「きっと大丈夫」と考えすぎる事を終了させやすくしてくれるのです。

そう考えると、人に相談する事は考えすぎを改善するために有効だと言えます。

Ⅴ.何かに熱中する

何かに打ち込んでいる間は、それ以外の事は考えないものです。

反対に何もする事がないと、私たちはついつい考える必要もない事を延々と考え続けてしまいがちです。

考えすぎてしまう傾向のある方は、熱中できる何かを持っておいた方が良いでしょう。それは仕事でも趣味でも何でも構いません。

そのような熱中できる事が定期的に行われるという事は、少なくともその間は考えすぎてしまう事が中断されている事になるからです。

また私たちは無意識に生活の中で優先順位をつけて行動しています。「考える事」は優先順位の高い事ですが、それを過ぎて「考えすぎる事」となると優先順位は低い事になります。

「考えすぎる事」よりも優先順位が高い事が生活の中で増えてくれば、自然と考えすぎる事は少なくなっていきます。

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