一生懸命頑張ったら、それと同じくらいしっかりと休息しなければいけません。
休息をしっかりと取らないと、疲れ切った心身は万全な状態に戻ってくれません。そして疲労が残った状態で頑張ろうとしても、十分に頑張る事は出来ません。
しっかりと休息を取れていない事が続けば、いつも心身が疲れている状態で過ごす事になります。これではこころ穏やかに毎日を過ごす事は難しいでしょう。
しかし休息がこれだけ重要なものであるのにも関わらず、休息の重要性に対するみなさんの認識は驚くほど低いのです。我流の間違った休息法をしており、心身が十分に休まっていない方は多くいらっしゃいます。
みなさん「一生懸命頑張る方法」については熱心に学ばれます。効率的に仕事を覚える方法や作業スピードを上げる方法は多くの方が関心を持ちます。
しかし「しっかり休息をするための方法」となると、あまり関心を持ってくれません。一生懸命頑張る事と同じくらい重要な事なのに、「休み方」を学ぶ事は軽視されてしまっているのです。
中には休息とは「家で一日ゴロゴロしている事」「1日中何もしない事」だと勘違いしている方もいらっしゃいます。これらは必ずしも良い休息とは言えません。
では心身の疲れを十分に取るための最高の休息というのは、どのようなものなのでしょうか。
ここではあなたにとっての最高の休息を見つけるヒントを紹介していきたいと思います。
1.休息は必要不可欠なもの
そもそも休息とは何でしょうか。
「休息」とは、心身を疲労させる作業(仕事や学業・家事など)を一旦中止し、心身の蓄積した疲労を回復させる事です。
社会人や学生の方であれば、日中に会社や学校で作業をするでしょう。作業をすれば体力や精神力を使いますので疲労が溜まります。日中に溜まった疲労は、夜にゆっくり過ごしたり、ぐっすり寝たりする事で回復させますので、これら夜の行為は「休息」と言えます。
あるいは1週間、会社や学校で作業を続けて蓄積した疲労を休日に回復させるのも「休息」と言えます。
このように休息とは、疲れた心身を休める事で元の状態に戻す行為なのです。
何か作業をすれば必ず心身に疲労が溜まります。そして疲労が溜まれば心身は弱っていきます。身体に疲労が溜まれば思うように力を出せなくなります。こころに疲労が溜まれば集中力や意欲が落ちたり、些細な事で不安になったりイライラしやすくなります。
毎日がこのような状態になれば、生活に様々な支障が出る事は明らかです。
疲労が溜まった状態では仕事や勉強の効率は顕著に低下するでしょう。情緒も不安定になり、毎日が辛くなるでしょう。些細な事でイライラしてしまうため人間関係も悪くなってしまうかもしれません。
そして、更に疲労が蓄積していくと最終的には身体もこころも動かなくなってしまいます。
疲労は定期的に回復させないいけません。でないと私たちの心身は壊れてしまいます。そしてそのために必要なのが「休息」であるわけです。
2.陥りがちな悪い休息の過ごし方
休息は私たちにとって必要不可欠なものです。
疲れが溜まってきたら休息して心身を回復させないといけません。でないと、能力を十分に発揮する事が出来なくなっていきます。
しかし休息がこれほど重要なものであるにも関わらず、「休息の意義」「正しい休息の取り方」というものは驚くほど正しく理解されていないのが現状です。
みなさんは休息の意義や休息の取り方を正しく理解しているでしょうか。「そんなの分かっているよ」と思うかもしれませんが、作業に比べて休息の重要性を軽く考えていませんか。
「休み方なんて学ぶものじゃないだろ」と考え、自分の思うがままに過ごしてしまい、結果として心身の疲労が十分に取れない過ごし方になっているケースはよく見かけます。
例えば、多い間違いとして「休息は身体を休めるもの」と考えている方がいらっしゃいます。
このような方は「休息は『身体』を休めれば良い」と考えているため、休日は1日中家でゴロゴロと過ごしたり、何もせずボーッと過ごしたりしてしまいます。外出に誘われても「せっかくの休日なのにわざわざ疲れる事をしなくても・・・」とあまり乗り気ではありません。
この休息の何が間違えか分かるでしょうか。
この休み方は確かに身体は休まっています。しかし休息は「身体」と「こころ」を休めるものだという事に対する理解が不十分です。心身を休めるのが休息であり、身体しか休めていない休息は不十分な休息になります。
実際、休日にこのような過ごし方をすると身体の疲れは抜けるものの、こころにエネルギーが充填されないため、休日が終わっても気持ちは晴れやかになりません。
「身体とこころの疲労を取るもの」という休息の定義を満たしていない過ごし方になっているわけです。
ここではいくつかみなさんが陥りがちな悪い休息の過ごし方の例を紹介します。みなさんは次のような休息をしていないでしょうか。
Ⅰ.悪い休息1:ダラダラと過ごす
毎日遅くまで仕事で疲労が溜まっており、休日になると1日中自宅にこもって何をするわけでもなくダラダラ過ごしてしまう。
このような方、結構いらっしゃるのではないでしょうか。
「疲れを取るのが休息なんだから、ゆっくり過ごしていいじゃないか」と思われるかもしれません。
1日中自宅にこもってダラダラしていれば、確かに身体の疲労は取れるかもしれません。しかし、この過ごし方でこころの疲労はちゃんと取れているでしょうか。
もし1日の終わりに「今日は何もせずに終わってしまったな・・・」という後悔や虚しさを感じているのであれば、こころの疲労が取れていない可能性が高いでしょう。
1日中ダラダラと過ごす休息は、身体の疲労のみを取っており、こころのエネルギー補給が出来ていない過ごし方なのです。
Ⅱ.悪い休息2:生活リズムが大きく乱れる
「休日くらいは趣味に没頭したい」と、普段は長く出来ないゲームを夜遅くまでやっていたり、「休日くらいはゆっくり寝たい」と昼過ぎまで寝ていたりすると生活リズムが大きく崩れてしまいます。
休日にこのように過ごしてしまう気持ちは十分に分かります。休みの日くらい、いつもは出来ない事に没頭したいし、気が済むまでゆっくりと寝ていたいですよね。
確かにその時は楽しいし気持ち良いかもしれません。しかし生活リズムを急に大きく崩してしまうと、自律神経のバランスを崩してしまい、心身の疲労が回復しにくくなってしまう可能性があるのです。
生活リズムを大きく崩した休息は、目先の「楽しさ」「気持ちよさ」を優先させてしまい、休息の本来の目的である心身の回復をおそろかにしてしまう過ごし方なのです。
Ⅲ.悪い休息3:過ごし方を自分で決めない
休日にやりたい事が決まっていると、休日が近づくにつれてワクワクしてきます。そしていざ休日になると楽しく過ごせます。この楽しさはこころにエネルギーを与えてくれます。つまりこころの回復になっているという事です。
一方で休日にやりたい事が全く決まってなかったり、全て他の人が決めた過ごし方をしていると、こころから楽しく過ごせる可能性というのは低くなります。
人任せの休息は「過ごし方を自分で決めなくてもいい」という目先の楽さを優先させ、心身のエネルギー補給を不十分にしてしまう可能性が高い過ごし方なのです。
3.最高の休息の見つけ方
では自分にとって最高の休息というのはどのようにして見つけていけば良いのでしょうか。
休息の目的である「心身の疲労の回復」が達成できる過ごし方を探すために、次のような手順で自分にとっての最高の休息を見つけていきましょう。
Ⅰ.身体が休まる過ごし方を考える
休息というのは心身(身体とこころ)を休める事です。
身体とこころが同時に休まるような過ごし方ができればそれが一番なのですが、実際はそれを満たす過ごし方は多くはありません。
そのため「身体を休める過ごし方」と「こころを休める過ごし方」に分けて考えた方がうまくいきます。
まずは身体を休める過ごし方から考えていきましょう。
身体を休める過ごし方は、比較的簡単に見つける事が出来ます。なぜならば身体を休める方法は万人にとって共通するものが多く、世間一般的に言われている過ごし方が自分に当てはまる事が多いためです。
自分の状況に適した、身体をしっかりと休める事の出来る過ごし方を考えてみましょう。
例えば、
- 家でゆっくり読書する
- 温泉や銭湯に行く
- マッサージやエステにいく
- 公園でのんびり過ごす
などが身体を休める過ごし方として挙げられます。
Ⅱ.こころが休まる過ごし方を考える
身体が休まる過ごし方を考えたら、次はこころが休まる過ごし方を考えてみてください。
こころが休まる過ごし方は、身体を休める過ごし方と比べると見つけるのがやや難しくなります。
身体を休める方法は万人にとって共通するものが多いのですが、一方でこころを休める過ごし方は人によって大きく異なります。
ある人にとっては好きなアーティストのライブに行って思いっきり盛り上がる事がこころの休息になるかもしれません。しかしライブのようなうるさい場所が苦手な人にとってそれは、こころにストレスを与える過ごし方になってしまうかもしれません。
このように同じような過ごし方であっても、人によっては「こころが休まるもの」になり、別の人にとっては「こころに負担がかかるもの」になってしまうのです。
このような理由からこころを休める過ごし方は、人に聞いて分かるものではありません。自分で探さないといけないのです。
ポイントとしては、その過ごし方をする事で「楽しい」「気持ちいい」「満たされている」とこころから感じられる過ごし方が、あなたのこころを休める過ごし方になります。
例えば、
- 趣味に打ち込む
- ライブやコンサートに行く
- 思いっきり身体を動かす
- 友達と遊ぶ
- 実家でゆっくりする
- ペットと遊ぶ
などがあります。
Ⅲ.両者をバランスよく取り入れよう
身体が休まる過ごし方とこころが休まる過ごし方をリストアップできたら、それをバランスよく休息に取り入れてみましょう。
どちらか片方しか取り入れてないと、それは「心身」の回復になりません。必ず両方取り入れる事が重要です。
1つの過ごし方で、身体とこころの両方が休まるものがあればそれは一番良いでしょう。ただしそういったものがなくても、2日の休日のうち1日で身体を休め、もう1日でこころを休めても良いですし、1日の中で午前はこころを休めて午後は身体を休めるという過ごし方をしてもいいわけです。
両者をバランスよく取り入れる事で、あなたにとって「最高の休息」が完成します。
ただダラダラと過ごしたり、人に合わせた過ごし方は必ずしも休息になっていないという事が分かって頂けたでしょうか。
自分にとっての最高の休息を過ごせると心身の疲労が回復しますので、休息後はまたしっかりと頑張る事が出来ます。身体の疲れも取れているので作業の効率も上がりますし、こころの疲労も取れているので精神的にも穏やかに過ごす事が出来るようになるのです。