許す心はどのようにしたら持つ事が出来るのか

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許す気持ちを持つための方法

「信頼していた親友に裏切られた」
「親からひどい暴言を受けた」

このように誰かにこころを大きく傷付けられると、「もうあの人を一生許す事は出来ない」と考えてしまう事があります。

こころが大きく傷付けられたわけですから、すぐに許したり、水に流す事など出来るはずはありません。しばらくの間、許す気持ちを持てないというのは当然でしょう。

しかし気持ちが整理できるだけの期間が経ち、相手がある程度の償いをしてくれたのであれば、どこかで許してあげた方が賢明かもしれません。

なぜならば許す事が出来ない期間というのは、あなたのこころには憎しみや怒りの感情が生じ続けており、あなたのこころは苦しめ続けられているからです。

どこかで許す事をしてあげないと、あなたがいつまでも苦しみから解放されません。そのため相手のためにではなく、自分を苦しみから解放してあげるために許す心を持つようにした方が良いのです。

でも許すという事は、とてもとても難しい事です。そのため、いつまでも「許す」事が出来ず、苦しみ続けている方は沢山いらっしゃいます。

このような方々が許す心を持ち、穏やかなこころを取り戻すためにはどのように考えていけば良いのでしょうか。どうすれば許す事が出来ない苦しみから解放されるのでしょうか。

ここでは許す心を持つために役立つ考え方と、許す心を持てればあなたにどのような変化が生じるのかについて紹介させていただきます。

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1.一定期間、許す事ができないのは当然

皆さんは、誰かにこころを大きく傷付けられた事はあるでしょうか。

「信じていたのに、浮気された」
「理解者であると思っていた同僚が、影で自分の悪口を言っていた」

このような事があれば、誰でも大きく傷付くでしょう。自分を傷付けた人に対して「もう一生、あの人を許す事は出来ない!」と抑えきれないほどの強い怒りや憎しみが生じてもおかしくありません。

大きく傷付けられた時、「もうあの人を許す事は出来ない」と考えてしまうのは当然です。一方的にこころをひどく傷付けられたのですから、簡単に許す事があっていいはずがありません。

このコラムでは「許す事」の大切さをお話しますが、これは無条件に何でもすぐに許してあげなさいという事ではありません。ひどい事をされたら、一定期間それが許されないのは当然の事ですし、傷付けた側は誠意を持って償なわなくてはいけないのも当然です。

ですからこころがひどく傷付けられた時、無理してすぐに許す気持ちを持つ必要などありません。

しかし一方でいつまでも許す事が出来ないでいると、これはあなたにとってもあまり良い事ではないかもしれません。

許す事が出来ない期間が長く続いてしまうと、実はあなたが更に不利益を被ってしまう事になるからです。

そのためある程度の期間が経ち、気持ちが整理できてきたり、相手がある程度の償いをしてくれたと感じられたら、「許す心」を持つようにした方が、あなた自身が穏やかなこころを取り戻すためにも良いのです。

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2.一生許す事が出来ないとどうなるか

ではいつまでも許す事が出来ないでいると、あなたにどのような不利益が生じてしまうのでしょうか。

誰かからひどい事をされ、あなたのこころが大きく傷付いたとします。

この時、相手に対して「もう一生許す事はできない!」と考えてしまうのは当然だとお話しました。

しかしだからといって本当に一生許す事をしないと、あなたのこころはどのようになるのでしょうか。

「一生、許す事が出来ない」というのは、どういう事なのかを考えてみてください。

これはあなたが一生、憎しみや怒りといった不快な感情を持ち続けるという事です。ひどい仕打ちを受けた事を思い出したり、その人を見るたびにこれらの感情が沸き上がって来るでしょう。

これはどう考えてもあなたの人生に大きな不利益を与え続けます。

「あなたの事、一生許す事はないから」という状況は、一見すると相手にのみ重い罰を与えているかのように見えます。しかし実はそれだけではないのです。

一生許す事をしないという事は、実はあなたも一生苦しみ続けないといけないという事なのです。一生、悔しさや憎しみなどといった不快な感情を持って生き続けないといけないのです。

これはあなたにとって幸せな事でしょうか。このような状況で幸せな人生が送れるでしょうか。

ひどく傷付けられた後、一定期間「許す事が出来ない」と考えてしまうのは仕方がない事です。しかしどこかで区切りをつけて許す事をしないと、実はあなた自身が不幸になってしまうのです。

3.なぜ許す事が出来ないのか

許す事が出来ないために、いつまでも苦しみから解放されない方はたくさんいらっしゃいます。

  • 親友に裏切られてから人を一切信用できなくなった
  • 親にひどい事を言われてから、親とは絶縁状態を続けている
  • 学校で友達に裏切られてから不登校になり、今も引きこもりがちの生活だ

これらはいずれも、相手を許す事が出来ていないために生じています。

これらの「許す事はない」という行為は、確かに相手にも罰を与えています。しかし実はそれ以上に自分を苦しめてしまっている事が分かるでしょうか。

親友に裏切られた事を許せず、「もうあなたの事は信用しない」と相手に罰を与える事は、同時に「誰も信用してはいけない」という苦しみを自分に与えているのです。

親にひどい事を言われた事を許せず、「あなたとは関係を持たない」と相手に罰を与える事は、同時に「家族との付き合い」という人生において極めて重要なものを放棄してしまうという苦しみを自分に与えているのです。

このように許す事をしないままでいると、相手に罰を与え続ける以上に自分に苦しみを与え続け、自分の人生を不幸なものにしてしまうのです。

そうならないためにも、どこかで許さないといけません。相手がかわいそうだからという理由で許すのではありません。自分が穏やかなこころを取り戻すために「許す事」を行わないといけないのです。

でも現実を見ると、許す事が行えず、自分を苦しめ続けている方はとても多くいらっしゃいます。これはどうしてなのでしょうか。どうして皆、自分を苦しめるような事を続けてしまうのでしょうか。

それは「許す」という行為は、許す側にとっては「自分が損をする」行為だからです。

普通に考えると何かを傷付けられたら、少なくともそれを完全に修復してもらわないと「なかった事」にはできません。完全に修復してもらえばあなたが損をした事にはなりませんが、ちゃんと修復してくれてないのになかった事にされたら、あなたが損をした事になってしまい、これは公平ではありません。

損をしないためには、相手に対等のものを提供してもらわないといけません。それがされていないのに「許す」という事は、あなたが損をしてしまう事になるのです。

例えば、友人があなたのおもちゃを壊してしまったとしましょう。これを「壊れちゃったけどいいよ」と許すという事は、そのおもちゃの弁償を免除するという事であり、そのおもちゃの購入費用分だけあなたが損をする事になります。

ちなみに、もし相手が同じおもちゃを弁償して買ってきてくれたら、あなたは損をした事にはならず、許す気持ちは持ちやすくなります。このように傷付けた対象が「物」である場合は弁償するのが一般的に行われる償いです。

しかし許す事が出来ない理由が「物」ではなく「気持ち」であった場合、弁償は困難になります。

裏切りや暴言などで、あなたの「気持ち」を傷付けてしまった場合、おもちゃのような「物」と違って、対等なものを提供して償うという事は出来ません。

あなたの傷付いた気持ちを治そうと相手がいくら頑張っても、「気持ち」というのは目に見えないため、100%完全に対等のものを提供する事は極めて困難です。

このような状況で「許す」という事は、あなたが損をする可能性が高いという事になります。

あなたは傷付けられ、対等のものを返してもらっていない可能性が高いのに、「もういいよ」と言ってあげる。これが「許す」という事なのです。

許すという事は、こころを傷付けられて不快な思いをした挙句、更に損までしないといけないわけです。明らかに割に合わない不公平な事ですよね。

こう考えると多くの人がなかなか許す心を持てないのは、当たり前の事なのです。

4.許す心を持つための7つの考え方

許す心を持つのはとても難しい事です。

こころを傷つけられてとても辛い思いをした上に、そのつらさと対等のものを返してもらってないのに「もういいよ」と相手を許すという事は、明らかにあなたが損をする不公平な取引です。

でも不公平であっても許した方がいいのです。なぜならば許す事をしないと、これからの自分の人生をもっと苦しいものにしてしまうからです。

一定期間許す心を持てないのは仕方のない事ですが、ある程度の時間が経ったら許す心を持つように少しずつ考えてみてください。それは不公平であるため受け入れずらい事ですが、あなたの人生を必ず今よりも穏やかなものにしてくれます。

許すのは相手のためではありません。自分の将来を今よりも穏やかなものにするためにです。

では許す心を持ちやすくするために、何か効果的な方法というのはあるのでしょうか。どのように考えれば「許す」という不公平な決定を下しやすくなるのでしょうか。

最後に許す心を持つために有用な考え方をいくつか紹介させて頂きます。

Ⅰ.誰もが人を傷付けた事がある

誰でも、悪意なく他者を傷付けてしまった事があるのではないでしょうか。

今まで一切誰も傷付ずに生きてきたという人はいないでしょう。誰もが他者に迷惑をかけたり、時に傷付けたりしてしまいながら、今日まで生きてきています。

友人を疑ってしまった過去がある人もいるでしょう。でもその友人が今でも友人なのであれば、その友人はあなたに許す心を持ってくれたという事です。

感情的になって親につい暴言を吐いてしまった過去がある人もいるでしょう。でも今は親と良好な関係なのであれば、親はあなたに許す心を持ってくれたという事です。

「そういえば、自分もあの時、あの人を傷付けてしまったな」
「でもあの人は私の事を許す心を持ってくれていたんだ」

このように考えると、自分も相手を許す心を持ちやすくなります。

誰かを傷付けてしまった時の自分の気持ちを思い出してみてください。申し訳なさや反省の気持ち、傷付けた事を償いたい気持ちなどを感じていたのではないでしょうか。

であれば、あなたが今「許す事は出来ない!」と考えている相手も、同じ感情を感じているはずです。

許すという行為は自分が損をする不公平な決定です。でも広い目で見ると、今まで誰かが自分を許してくれていたのであれば、今回あなたが誰かを許すという事で公平だと考える事も出来ます。

こう考えると、相手を許す心を少し持ちやすくなるのではないでしょうか。

Ⅱ.相手の良い面にも目を向けてみる

ある人に対して「あの人を許す事は出来ない!」と考えてしまうようになると、その人の全てを許す事が出来なくなってしまいがちです。

しかし本当にその人の全てが許せないものなのでしょうか。

例えば、今までその人に助けてもらった事もあるのに、1回許す事が出来ない事があって、その1回で今までの助けられた事は全て無かったことになってしまうのであれば少し相手が可哀想な気もしませんか。

どんな人でも良い面もあれば悪い面もあります。

例えばパートナーに浮気されてしまって、許す事が出来なくて辛いと精神科を訪れる方がいらっしゃいます。この許す事が出来ない気持ちは十分に理解できるものです。

簡単に許すべきではありませんし、浮気をしてしまったパートナーは誠心誠意を持って自分の罪を償う必要があるでしょう。

しかしそのパートナーがもし普段、家族のために毎日家事や仕事を頑張っていたり、あなたの体調が悪い時はいつも気遣ってくれたりしていたのであれば、その良い面もしっかりと評価してあげないといけません。

浮気は確かに簡単に許されるものではありませんが、だからといってこれらの良い面が全く評価されないのは可哀そうです。

この時、「確かに傷付く事をされたけど、でもこの人は私のために頑張ってくれていた事もたくさんある」という見方が出来ると、許す心を持ちやすくなるのではないでしょうか。

Ⅲ.これ以上苦しみ続けるなんてもったいないと考える

許す事が出来ずに怒りや憎しみ・絶望を感じている期間って、とてももったいない期間です。

だってその間は不快な感情でいっぱいですから、到底穏やかな気持ちではいられません。せっかくの人生なのに、楽しい気持ちにもなれないし、幸せな気持ちにもなれません。

それどころか

  • 怒り
  • 恨み
  • 絶望感
  • 抑うつ

といった不快な感情を毎日持ち続けないといけないのです。

こう考えると許す事が出来ない期間というのは、あなたの貴重な人生を無駄にしてしまう期間であるとも言えます。人生は無限ではなく有限なのです。無駄な期間は一刻も早く抜け出した方があなたの人生にとっては得ではないでしょうか。

Ⅳ.許すためのゴールを決める

許す事は自分が損をする決定であるため、なかなか受け入れるのが難しいものです。

このようなものは何か分かりやすい区切りがあった方が、気持ちの整理をつけやすいものです。

許す心をなかなか持てない場合は、多少無理矢理にでも「許すためのゴールを決める」ことが有用な事があります。

例えば、浮気をされた妻が「罰として夫に高級ブランドバックを買わせた」なんて話があります。実はこれ、許すためのゴールを決めるという方法としてとても有用なのです。

妻は「高いものを買ってもらった」ということを「相手の反省」と受け止め、気持ちに整理をつけているのだとも言えます。

別にブランドバックでなくてもいいのですが、このようになんらかの区切りがあった方が気持ちの整理はつけやすいのは確かです。

Ⅴ.許さないことが自分にとって幸せなのかを考えてみる

過去は消せません。

例えばあなたが子供だった頃に父親があなたにとてもひどい事をしたとして、それを許す事が出来ないとします。

今、父親がそれをすごく反省していたとしても過去には戻れない以上、その出来事をなかった事にはできません。過去に戻ってやり直す事だってもちろんできません。

変えられない過去の事に対して許す事が出来ないと、相手はもはや何もできません。一生ただただ反省して謝罪し続けるしかなく、しかもそれをしても許されないのです。

これってあなたにとって幸せなことでしょうか。また相手にとって幸せなことでしょうか。

人生は有限で人の一生は決して長くはありません。一生許さないという行為はあなたの人生に幸せはもたらしませんし、相手の人生にも幸せをもたらしません。むしろあなたの人生を苦しいものにしてしまいます。

せっかくの生きているのに、相手のせいでこれ以上自分の人生に不利益があるなんてもったいないと思いませんか。許すことは自分の将来の幸せにもつながるのです。

このように考えると、許す気持ちを少し持ちやすくなります。

Ⅵ.許せない気持ちを相手に分かってもらう

許せない気持ちをとことん相手に話し尽くす、という方法も実は有効です。

「話したって何か変わるわけではない」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはありません。

許す事が出来ない気持ちを良く見てみると、実は本当は「許せない」のではなく「許せないほど辛い思いをしたんだということを相手に分かってもらいたい」という気持ちがある事があります。

このような場合は、相手に自分の気持ちを、自分が納得するまで話す事が大切です。

「あなたのあの言葉で私はすごく傷付いた」

このように直接相手に自分の辛かった気持ちを話し、理解してもらえれば気持ちが整理しやすくなります。また相手も自分がどれくらい相手を傷付けてしまったのかがより理解できます。全てを話しきった上で「本当に申し訳ないことをした」と謝ってもらえると、気持ちも晴れ、許す心を持ちやすくなります。

Ⅶ.相手に反省がない場合は距離を取るしかない

ここまで許す方法を色々と考えてきましたが、今までの方法は「相手に反省の気持ちがある」という前提で有効な方法になります。

しかし中には残念なことに、相手がほとんど反省してくれないこともあります。このような場合は、いつまで経っても許す気持ちを持つことはできません。

このようなケースでは物理的に相手と距離をとるしかありません。残念ですが、なるべく関わらないようにする、なるべく会わないようにすることで、その人との交流を出来る限り少なくし、それによって精神の安定を得るようにしましょう。

悪いことをしたのに反省が出来ない人は、人の気持ちがわからない「かわいそうな人」だと考えましょう。そのような人に自分の人生をめちゃくちゃにされるのももったいないと考えてください。

物理的に距離を取り、なるべくそのことについて考えないようにして普段通りの生活を続けるようにするのが賢明です。

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