集中できない時に見直そう!医師が教える集中力低下の原因と対策6つ

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何かの作業をする際、集中力はとても重要です。

集中する事が出来れば情報の吸収力・理解力は高まります。作業スピードも上がるため、作業が効率よく行えます。同じ作業をするにしても、集中力が高い時とそうでない時では、その能率は大きく変わってくるのです。

「集中」とは、意識を一点に向ける事です。これは心身が安定していないと出来る事ではありません。身体が疲れていたり、不安が強かったりイライラしていたりとこころが不安定な状態だと、高い集中力を発揮する事はできないでしょう。

しかし私たちはいつでも心身を万全の状態に出来るわけではありません。疲れが溜まっていたり、こころ穏やかでいられない時でも集中しなくてはいけない時はあります。

作業に集中したいのに集中できない・・・。みなさんもこのような経験はあるのではないでしょうか。集中できないと作業の進みも遅くなるため、焦りから更に集中力は低下していきます。

集中できない時は、必ず原因があります。その状態で作業を続けるのではなく、集中力が下がっている原因を見極めて適切な対処を行う事が大切です。

ここでは「集中」に対する基本的な理解と、集中できない時に見直したい事、集中力を保つために有効な方法などを考えていきたいと思います。

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1.集中とはどういう状態か

何かの作業をするとき、誰もか「出来るだけ集中したい」と考えるでしょう。それは集中した方が効率よく作業を進める事が出来るからです。

では「集中している状態」というのはどのような状態なのでしょうか。

集中とは、特定の対象一点のみに意識が向いている状態です。

勉強に集中している状態というのは、勉強の内容に全意識が向き、他の事に意識が向かなくなっている状態です。映画に集中している時というのは、その映画の世界に全意識が向き、他の事は忘れてしまっている状態です。

集中している時というのは全意識・全神経が特定の対象に向いていますので非常に高いパフォーマンスが得られます。集中して勉強すればたくさんの知識を吸収する事ができます。集中して仕事をすれば、いつもより速く・正確に仕事を進める事ができるでしょう。

このように集中するメリットというのは多大です。

一方で集中する事のデメリットがないわけではありません。全意識を特定の対象に向けるため、多くの体力・精神力を要します。

そのため集中力というのは長く持たせる事は出来ません。対象によっても異なってきますが、おおよそ30~60分程度が高い集中力を維持できる限界になります。また、多くのエネルギーを使うため、集中後は心身は疲労してしまいます。

そして集中した後は疲労を回復させないと、また再び高い集中力を発揮する事はできません。

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2.集中力の限界

集中できない時の対処法について考える前に、まずは集中力を保てる時間には限界がある事を理解しておきましょう。

そもそも私たちは長い時間、集中力を持続させる事は出来ません。物事に集中するというのはかなりのエネルギーを使うからです。

私たちが集中力を保てる時間と言うのは、30~60分程度が限界です。そして、もし疲れが溜まっている状態であれば、この持続時間は更に短くなります。

集中すると神経は研ぎ澄まされ、脳は活発に活動し始めます。

元々、脳は多くのエネルギーを消費する臓器です。エネルギーは炭水化物などの栄養素から作り出されますが、脳は摂取した炭水化物の約20%をも消費する臓器なのです。身体全体のわずか2%の重さしかない脳が、エネルギーの20%をも使ってしまうのです。

普段から脳はこれだけのエネルギーを使っています。集中すればエネルギー消費量は更に上がりますから、脳は長時間に渡って全力で活動し続ける事はできないのです。

30~60分も集中し続けると脳の疲労は溜まっていき、集中力も徐々に低下しはじめます。脳が膨大なエネルギーを消費する臓器である以上、これは避ける事はできません。

そのため、一定時間集中して集中力が低下してきたのであれば、それは受け入れるしかありません。この場合、脳の疲労を回復させないと集中力は戻りません。

脳の疲労を取るためには、

  • 脳を休ませる(休憩)
  • 脳に栄養を与える(栄養補給)

の2つが必要です。

「脳を休ませる」というのは「休憩時間を取る」ということです。

作業からいったん離れて、脳をあまり使わない状態を作りましょう。30~60分程の作業に対して10~15分程の休憩時間を取ると良いでしょう。

休憩中は何かを深く考え込んだりしてはいけません。ゲームやスマホなどを使うのもあまりよくありません。脳を使ってしまうと脳の疲労は取れませんので、リラックスして過ごすようにしましょう。

「脳に栄養を与える」というのは「栄養を取る」という事です。集中すると脳は多くのエネルギーを必要とします。

脳は主に炭水化物(いわゆる糖、グルコース)からエネルギーを取り出します。そのため炭水化物を少し補給してあげる事は脳の疲労を回復させるために有効です。

集中力が落ちてきたら、チョコレートやアメなど炭水化物(糖質)が豊富な食べ物を口にし、脳に栄養を補給しましょう。ただし食べ物を食べすぎると、消化管に負担がかかって眠気が生じてしまう事がありますので、食べすぎは注意です。お菓子などを少し食べるくらいが良いでしょう。

3.集中できない時に見直したい環境と状態

集中力は、作業する環境や自分の状態によっても変わってきます。

では高い集中力を発揮するためには、どのような環境・状態が望ましいのでしょうか。

以下の点に問題がないかを見直してみましょう。

Ⅰ.環境

集中するためには環境も重要です。

集中したい事に意識が向けば向くほど、集中力は高くなります。反対に意識があちこちに向きやすい環境だと集中しにくくなります。

例えばうるさい場所では意識があちこちに向きやすいため集中できません。反対に静かな場所では集中しやすくなります。

他にも明かりがまぶしすぎたり、異臭がしたりと意識が他に向きやすい要因があるとその分だけ集中力は低下します。(ただし柑橘系(かんきつけい)など一部の匂いは集中力を高める作用があるともいわれています)。

まわりが散らかっていると周囲に意識が向いてしまいやすいため、これも集中できない原因になります。また自分の好きなもの(漫画や雑誌、スマホ、ゲーム機など)が近くにあると、そっちに意識を取られてしまうため、これも集中できない原因になります。

Ⅱ.自分の状態

自分の状態が集中しやすい状態になっているかも重要です。

これも環境と同じで、集中したい対象に意識が向かせられる状態になっているかがポイントです。

何か大きな悩み事があったりすれば、作業中もその事を考えてしまうため、集中力は落ちるでしょう。

ひどく空腹だったりすれば集中できません。反対に満腹すぎても腹部の膨満感や眠気から集中力が落ちます。寝不足で眠気がある状態でも集中する事は難しいでしょう。

激しい運動の後で、身体が痛かったりだるかったりすればこれも集中できない原因になります。

このように自分の健康状態が整っている事も集中するためには重要です。

4.集中力できない時に有効な6つの対処法

集中力できない時は、まず「脳が疲れていないか」を確認しましょう。脳が疲れていれば集中できないのは当たり前で、この場合は脳を休めるほかに対策はありません。

具体的には、

  • 適度に脳を休める(1時間集中したのであれば10~15分程度)
  • アメ・チョコレートなどで、適度な糖分を摂取する

といった方法が脳の疲労を回復させるために有効な方法になります。

また、「周囲の環境」「自分の状態」も見直してみましょう。周りがうるさかったり、机の上が散らかっていれば集中できないのは当然です。また心身の状態が安定していなければ集中できません。

可能であればこれら環境や自分の状態を最適に整えてから作業をする方が良いでしょう。

しかし実際は周囲がうるさい状況でも、不安や悩みを抱えていて心身が穏やかでない時も集中しないといけない事もあります。

こういった時に出来るだけ集中力を保つためにはどうすればよいのでしょうか。

集中できない時に、出来る限り集中力を保つために有効な方法を紹介します。

Ⅰ.作業の優先順位を見直す

やらなくてはいけないたくさんの事を目の前にすると、それだけで気持ちは追い詰められてしまい、イライラや不安、絶望感といった不安定な感情が強くなってしまいます。このような精神状態は、集中力をより低下させてしまいます。

このような場合は、作業を整理できないかを考えてみましょう。これらの作業は本当に全て、今やらないといけないものなのでしょうか。

冷静に見ていけば、今日必ずやらないといけないものもあるかもしれませんが、明日でも何とかなるもの、一週間後でも何とかなるものもあるのではないでしょうか。

「今、本当にやらないといけないものはどれなのか」 を少し立ち止まって考えてみてください。

集中できない状態なのであれば、今日は最低限の作業だけ片付け、ゆっくり休んでから明日以降に残りの作業をやったほうが効率的かもしれません。

優先順位の高い作業だけに目を向けると、その量は少なくなるため、何とか乗り切れるという自信がわいてくる事もあります。このような感情は集中力にもいい影響を与えます。

ゴールが見えれば、「これだけなら、何とか乗り切れそうだ!」とやる気も出てきますので、何とか集中力を振り絞れるのです。

Ⅱ.集中しやすい時間帯を考えてみる

人には「集中しやすい時間帯」と「集中力しにくい時間帯」があります。

一般的には10時~11時ごろ、そして16時ごろが集中しやすい時間帯になります。反対に12~14時ごろは集中しにくい時間帯です。

大体、朝9時頃から仕事が始まる方が多いと思いますが、集中力が高まってくるのが10時ごろからになります。これが11時を過ぎてくると空腹感なども出てくるため、集中力は徐々に落ちてきます。

13~14時頃になると昼食後の眠気も重なり、集中力は低くなりがちです。しかし16時ごろになると仕事の終わりも見えてくる時間帯のため、「あとちょっと!」と再び集中力は上がり始めます。

もちろんこれには個人差もありますので、皆さん一様に同じようになるわけではありません。

しかし自分の集中力の日内変動を把握し、自分にとって一番集中できる時間帯を把握しておくことは大切です。

集中力が必要な作業はできるだけ集中できる時間帯に行うようにし、あまり集中力を要さない単純作業などを集中しにくい時間帯に行うようにしましょう。これだけでも作業の効率は改善します。

Ⅲ.集中しやすい環境を作る

私たちの集中力は環境によっても影響を受ける事をお話ししました。

例えば、周囲がうるさかったり、机の上が散らかっていたりすれば集中できなくなります。

集中とは意識を一点に向ける事ですから、様々なところに意識が向いてしまう環境では集中力というのは当然落ちやすくなるのです。

あなたの作業環境はどうでしょうか。

もし環境に問題がある場合は、すぐに改善できる工夫であれば取り入れてみても良いでしょう。

例えば、周囲がうるさいようでしたら耳栓などを利用したり、静かな場所に移動して作業をするという手もあります。

机が散らかっていたら、数分でも片付けをしてから作業をした方が結果的には効率出来る事も多いものです。

Ⅳ.休憩の比率を多くする

学校の授業は45~60分が1コマであることがほとんどです。この理由は、人の集中力というのはこれくらいが限界だからです。

私たちは、万全な状態でも30~60分ほどしか高い集中力を保つことが出来ません。疲れが溜まっている状態だと、これは更に短くなります。

授業も最後のコマの方になってくると1コマ丸々と集中できる生徒は少なくなってきます。これは疲労によって集中できる持続時間が低下しているためです。

このように疲れが溜まっている状態では、60分作業して10分休むといったサイクルではかえって効率が悪くなってしまいます。

むしろ30分作業して15分休む、など作業と休憩の比率を変えた方が総合的な効率は上がる事も少なくありません。

疲れている時は、無理して長時間集中し続けなくてはいけない作業スケジュールを立てるのではなく、「今日は疲れているから30分に1回は休憩を入れよう」などと、疲れの程度に応じて休憩の比率を高めるようにしましょう。

目安として、

  • 元気なときは、60分に1回の休憩を入れる
  • 軽く疲れているときは、45分に1回は休憩を入れる
    (なんとなく調子が悪いかな、と感じる程度)
  • まずまず疲れているときは、30分に1回は休憩を入れる
    (明らかにいつもよりだるさがある状態)
  • かなり疲れているときは、15~30分に1回は休憩を入れる
    (頭が思うように回らない状態)

あくまで目安ですが、このくらいがいいでしょう。

Ⅴ.適度な緊張感を持つ

集中力を保つには適度な緊張感も大切です。

身が引き締まらないような状況では意識もあちこちに向きやすく、なかなか集中出来ないものです。

みなさんも自宅や自分の部屋だと作業に集中できないと感じたことはないでしょうか。自宅だと集中できないからと、自習室や図書館に行ったり、わざわざお金を払って喫茶店に行って作業をする人もいますね。

自宅で思うように集中できないのは「適度な緊張感が得られない」ためです。気持ちが緩んでしまいやすく、それによって意識があちこちに向いてしまうのです。

自宅というのはとても安心できる場所です。それはとても良いことなのですが、「集中」という視点で考えた場合、これは一概に好ましいこととは言えません。

反対に図書館や喫茶店は不特定多数の人が訪れる場所であり、自宅より緊張感が得られます。これは集中力という視点で見ると良い影響を与えます。

そのため意識して「適度な緊張感」を作るという事は集中力を上げるために効果的なのです。

では適度な緊張感を作るにはどうしたらいいでしょうか。

前述のように不特定多数の目がある場所で作業するのも良いでしょう。

それ以外にも、オススメの方法として「自分の中で制限時間を設けること」があります。例えばキッチンタイマーなどを使って、「30分で終わらせよう」と作業に制限時間を作れば、「時間内に終わらせないと」という適度な緊張感が生まれます。

ただし注意点として、緊張が過度になってしまうと不安やプレッシャーからかえって集中力が下がってしまう事があります。緊張感はあくまでも「適度」である事が大切です。

Ⅵ.集中できない事を受け入れる

脳が疲れて集中できない時は、それを受け入れて、諦める気持ちも大切です。

ガソリンが少なくなった車は走り続けることはできません。それと同じで疲労している脳が集中力を保ち続けることは不可能なのです。

これを、

「気合が足りないから集中できないんだ」
「こんなことも乗り越えられないなんて、私はなんてダメなんだ」

と自分の努力不足のせいにしてしまう方がいらっしゃいますが、これは間違いです。

脳が疲れていれば集中できないのは当然の事です。これを自分の努力不足とするのは完全に見当違いですし、努力不足と考えてしまうと自責や焦りから、より集中できなくなってしまうでしょう。

そうではなく、「これだけ疲れているんだから集中できないのも仕方ない」「こんな疲れている中でこれだけ集中できたんだから十分頑張ったじゃないか」と受け入れてしまうと、こころは穏やかになります。

焦りや自責も生まれにくく、集中力もむやみに落とさずに済むのです。

5.あまりに集中できない時は病気の可能性も

十分休んでも集中力が戻らなかったり、あるいはいくら休もうとしても一向に疲労が取れなかったりという場合は、その集中できない原因は病気の症状であるという可能性もあります。

集中力低下が生じる疾患はいくつかありますが、「うつ病」はその中でも代表的な疾患と言えるでしょう。

  • 集中力低下が、いつまで経っても治らない
  • 集中力低下で日常の生活に支障が出ている

このような状態であれば、それは放置しない方がいいかもしれません。

目安として、2週間以上集中できない状態が続き、適切な対処(十分な休養など)を行っても改善されない、あるいは適切な対処自体を行えない。そして、それであなたが「困っている」のであれば、一度精神科・心療内科などを受診して専門家に判断してもらう事をお勧めします。

うつ病の症状としての集中力低下であった場合、そのまま放置していると集中力の改善が得られないだけではなく、精神がどんどんと疲弊していってしまう恐れがあります。

また小さい頃から、社会的に支障を来たすほどの集中力低下が続いているのであれば、ADHD(注意欠陥多動性障害)という発達障害が背景に存在する可能性もあります。

ADHDは有効なお薬もありますので、精神科・心療内科を受診して専門家に診断してもらう事は意味があります。ADHDが疑われる場合も、一度、精神科・心療内科を受診する事をお勧めします。

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