心配性が生じる心理と心配症を克服するために大切な7つの考え方

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5.心配性を克服したい方に持って頂きたい考え方

精神科医をしていると、「心配性を治したい」という相談を多く頂きます。

結論から言うと、心配性は治すことができます。

ただし、無理矢理「心配しないようにしよう」としても成功はしません。

心配性を治すためには心配性の全てを治そうとするのではなく、心配性の性格のうち良い面はそのままにして、問題が生じている面だけを無理なく修正していくことが大切です。

過剰な心配というのは、無理して消そうとしても消す事はできません。必要な心配は受け入れつつ、過剰な心配は自然と意識しないような方向に持っていくことが大切です。

ここでは心配性を克服するために有効な方法や考え方について紹介します。

Ⅰ.心配性の全てを治す必要はない

心配性を治したいと考えている方にまず知って頂きたい事は、心配性の全てを治す必要はないという事です。

なぜならば適度に心配を感じて慎重になれることは、安全に計画的に生きていくためにとても大切な事だからです。

心配性を治すためにすべき事というのは、自身が苦しんでいる部分や困っている部分だけ適度に修正してあげることです。それ以上に心配を消そうとしたり、心配をゼロにすることを目標としてはいけません。

心配性は悪い性格のように考えられがちですが良い面もあります。物事を慎重に考え、他者を深く気遣える性格というのはとても素晴らしい性格なのです。

自分の性格の全てを否定する事はせず、困っている部分だけ適度を治してあげるという考え方を持つようにしてください。

Ⅱ.物事を公平に見よう

心配性の方というのは、物事を歪んだ認知でとらえています。

より具体的に言うと、物事の「悪い面」だけを見るという偏ったものの見方をしてしまっているのです。

本当は物事には「良い面」と「悪い面」があり、そのそれぞれが起こる確率があるのに、心配性の方はそのうちの「悪い面」しか見ていません。

例えば人前で発表するとなった時、心配性の方は「失敗したらどうしよう」「恥をかいたらどうしよう」と考えます。しかし実際はそのような悪い結果になる可能性だけではなく、「多くの人を感動させるスピーチが出来た」となる可能性もあるし、「多くの人に賞賛されるスピーチができた」となる可能性だってあるのです。

なのに、「悪い結果」しかみないのが心配性です。

これは物事を公平に見ているとは言えず、悪い結果をひいきした、偏ったものの見方をしていることに気付きましょう。

本当は良いことが起こる可能性もあるし、悪いことが起こる可能性もあります。であれば、良い面と悪い面をどちらも見てあげるのが本来の公平な考え方ではないでしょうか。

何かに対して心配を感じた時、

「それは悪い面しか見てないのではないか」
「良い結果になった場合はどうなるのか」

と悪い面と同様に良い面も公平に見てあげるクセを付けて診ましょう。

良い面と悪い面をセットにして考えられるようになれば、過剰な心配は抑えられるようになります。

Ⅲ.人を信じてみよう

心配性の方が心配を払拭できない背景には、「人を信じられない」という心理が隠れていることがあります。

このような場合は、誰かを信頼できるようになれば過剰な心配は小さくなっていきます。

この現象は精神科の診察で良く目にします。

精神科を訪れる患者さんは心配性の方が非常に多いのですが、先生と良い信頼関係を築けている患者さんは次第に心配性が治っていくのです。

これは医師が適切な治療をしているからという理由だけでなく、診察を続けることで患者さんが徐々に先生を「信頼できる」ようになっているからではないかと思います。「この先生が診てくれているんだから大丈夫」という気持ちが過剰な心配を和らげ、精神状態を安定させているのです。

もちろんこれは、「誰でもいいから信用してください」という事ではありません。世の中には人を騙そうとする人もいますから、そのような人を信頼してしまうと大変な目にあってしまいます。

大切なのは、自分にとって信頼できる人を見つける事です。信頼できる人がいると、それだけで気持ちが落ち着きます。また心配が過剰になった時、その人に話しを聞いてもらったりアドバイスをもらえると「あの人が言っているんだから大丈夫」と安心を得られるようになります。

信頼できる人というのは、先生であったり、親であったり、親友であったりしますが、誰でないといけないというものはありません。自分にとって「この人は信頼できる」という人を見つけてみましょう。

Ⅳ.心配を受け入れ、心配性に隠された自分の本当の気持ちに気付こう

心配という感情は正常な感情だとお話ししました。

なぜ私たちが心配をするのかというと、将来の失敗の確率を少なくするためだという事ができます。

という事は心配性の方というのは、「将来の失敗を出来るだけ少なくしたい」という考えを持っているという事になります。これは、「より良く生きたい」という気持ちの表れだと言えるのではないでしょうか。

例えば「試験に落ちたかもしれない」と心配している人がいたとします。この人は「試験に落ちたい」と思っているからこのような心配をしているのでしょうか。

違いますよね。

「試験に受かりたい」から、このような心配をしているのです。

つまり、心配症の方は「試験に合格したい!」という前向きな気持ちを持っているという事なのです。

心配性というとネガティブな性格だというイメージを持つ方が多いと思います。しかし実際は逆で、「より良く生きたい」という気持ちが人一倍強いからこそ、心配が過剰に生じているわけです。

この事実に気付くと、心配を自然と受け入れることができるようになります。

Ⅴ.心配する意味のある事と意味のない事を明確に分けよう

心配性の方は、自分でコントロールできることとコントロールできない事の区別が出来ていない事が多いとお話をしました。

反対に心配事に対して、

「自分が出来ることは何か」
「自分の力ではどうもならない事は何か」

と考え、両者を明確に分けるように出来れば心配は和らいでいきます。

例えば、「明日は楽しみにしているお出掛けだけど、雨が降ったらどうしよう」と心配をしている場合、「雨を降らせないようにする」「晴れになるようにする」というのは、自分の力ではどうにもならない事です。

一方で「雨になった時の予定を考えておく」「雨が降っても楽しめるように雨具などを用意しておく」といった事は自分に力で出来ることです。

このように自分で出来る事と出来ない事をしっかりと分け、自分に出来る事をしっかりと準備しておけば、「やれる事はやった」という自信・安心が生まれます。

自信や安心は不安や心配を和らげる作用があります。自信や安心を大きくすると、何もせずにただ漠然と心配になっているのと比べて、心配は小さくなっていくのです。

Ⅵ.気持ちを変えるのではなく、行動から変えよう

心配性の方は、頭で考えすぎてしまう傾向があります。実際に行動に移す前に「頭で考える」という慎重さを持つことは悪いことではありませんが、これが行き過ぎると、頭の中で心配がグルグルと増幅されてしまう事になります。

心配をあまりしない方というのは、総じて活動的です。

あなたの周りにいる楽天家を見てみて下さい。みなさん、活動的ではないでしょうか。実は行動は心配を和らげる有用な手段なのです。

心配は物事がどうなるのかの結果に対する気がかりが原因です。でもその結果は頭で考えているだけではいつまで経っても分かりません。しかし行動すれば結果というのは分かります。成功するにせよ失敗するにせよ、行動することで結果を明確にし、心配の原因の答えを知ることができるようになるのです。

例えば、「〇〇さんに会うのが怖い」という心配がある場合、それをいつまでも考えていても、実際に〇〇さんに会わなければ、会ってどうなるのかは分かりません。あれこれ考えるよりも、会ってみる方が早いのです。

実際に会ってみると、「思ったほど怖くなかった」「怖かったから、次からはなるべく近寄らないようにしよう」と良し悪しはあるにせよ結果が出ます。結果が出れば次に取れる対策もより具体的なものになるため、どのような結果が出たにせよ、心配は小さくなっていくのです。

Ⅶ.どうしても過剰な心配が消えない場合はお薬や精神療法も使おう

こころや生活に支障を来たす心配は心身にとって害となります。

もしこのような心配が続くのであれば、一度精神科・心療内科で相談してみても良いでしょう。

心配性というのは、それだけで病気ではないため、安易にお薬を使うべきではありません。しかしあまりに苦痛が大きい場合はお薬をはじめとした治療法が有効な事もあります。

心配が強い場合、お薬としては不安を抑えるようなお薬が有用です。お薬を使用すべきかの判断は診察した精神科医に慎重にしてもらう必要がありますが、「お薬を使う必要がある」ということであれば、不安に効果のある漢方薬や、抗不安薬(いわゆる精神安定剤)などが検討されることがあります。

またお薬以外の方法として、

などで心配に対する考え方を学ぶという方法も非常に有用です。

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