怒りをコントロールするには!?精神科医が教える怒りの落ち着かせ方

怒りをコントロールするには!?精神科医が教える怒りの落ち着かせ方

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私たちの心には日々、様々な感情が生じています。

それは私たちの心を豊かにする心地良い感情の事もあれば、私たちの心を傷付ける不快な感情である事もあります。

心地よい感情が生じる事に関しては何も問題はありません。「楽しい」「嬉しい」「満たされている」・・・、このような感情は私たちの人生をより豊かにしてくれます。

一方で「腹が立つ」「悔しい」「悲しい」「むなしい」といった不快な感情は、私たちの心を傷付けます。更にこれらの感情は衝動的な行動を引き起こす事も多く、暴言や暴力などによって自分のみならず周囲を傷付けてしまう事もあります。

そうならないように、私たちはこれら不快な感情を適切に扱えるようになっておく必要があるのです。

そして不快な感情の中でも、特に取り扱いに注意が必要なのが「怒り」です。

怒りは不快な感情ですから、溜め込めばどんどんと自分の心が傷付いていきます。そして怒りはとりわけ強いエネルギーを持つ感情ですので、溜め込み続けているといつかは爆発する事になります。

もし全く無関係の相手にその爆発の先が向けば、自分のみならず多くの人を不幸にしてしまうでしょう。怒りは正しく取り扱わないと自分も周囲も不幸にしてしまう感情なのです。

ここでは怒りをどのように取り扱っていけばいいのか、怒りをコントロールして穏やかな心を手に入れるためにはどのような工夫があるのかを考えていきます。

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1.怒りの感情は周囲に連鎖し、皆を不幸にする

様々な感情の中でも「怒り」は、とりわけ取り扱いに注意が必要な感情です。

怒りは、溜め込みすぎたり不適切に発散させてしまうと、自分のみならず周囲も巻き込んでしまう感情だからです。

精神科には日々、心が傷付いてしまった方が訪れますが、その中にはこの怒りの連鎖に巻き込まれてしまった方も少なくありません。

ではこの怒りが不幸を連鎖させるメカニズムとはどのようなものでしょうか。

誰でも「怒り」を感じた事はあるでしょう。これは正常な感情であり、怒りが生じる事は異常な事ではありません。

怒りは、私たちの心に「不快な感覚(ストレス)」を与えます。それを解決するためには怒りの原因を解決しなければいけませんが、社会の中ではそれが出来ない事も多いものです。

上司や先輩に怒りを感じても、それをぶつける事はなかなか出来ないでしょう。親に怒りを感じても、「親に口答えしてはいけない」という圧力から我慢してしまう事もあるでしょう。

このように社会の中では、怒りを感じてもそれを思うように発散させる事は難しく、我慢して自分の中に溜め込まざるを得ない事も多いのです。

しかし私たちの心はストレスを無限に溜め込むことはできません。そのため、許容量を超えた怒りは、何らかの形で発散されてしまうのです。

では、この行先を失った怒りはどこで発散されるのでしょうか。

このような怒りが向く先は2つしかありません。「自分」か「自分より弱い立場の人」です。

怒りを感じてもそれを自分の中で溜め込み続ける方もいます。しかしストレスを無限に溜め込み続けられる人はいませんから、これを続けているといつかは心が壊れてしまいます。

また怒りのストレスを本来向けるべき相手ではなく、自分より立場が弱いものに向けてしまう方もいます。例えば妻であったり子供であったり、職場の部下であったりです。

特に、自分より立場が強いものが原因である怒りは、相手にそのまま返す事が困難です。相手に怒りをぶつけてしまうと自分の今後が不利益になる可能性も高いし、勝てない可能性が高いのでストレスもしっかり発散されないからです。

そうなると必然的に怒りをぶつけやすい相手に怒りは発散されてします事となるのです。

例えば、親からいつも八つ当たりを受けている子がいたとします。親は職場で上司との関係がうまく行かずにイライラしていました。上司にその感情を出す事はできませんので、自分より立場の弱い子供にぶつけてしまうのです。

親が上司に怒りを向けられないように、子供も親に怒りを向ける事はできません。そのため親は子供に怒りをぶつけても、子供から大きな反撃を受ける事なくストレス解消が出来てしまうのです。

しかしそれは怒りのストレスがなくなったわけではなく、怒りが親から子供に移ったに過ぎません。

ではその子供は受け取った怒りをどうするでしょうか。

同じように自分の中で抱え込む人もいます。怒りをぶつけられたのが1回限りの事であれば、自分の中で抱え込む事も不可能ではありませんが、このような状況が慢性化していたとすると、自分の中でひたすら抱え込み続けていれば、やはり心は壊れてしまいます。

そうならないように、その子供も無意識で怒りをより弱い立場の人に向けます。それは学校で自分より立場が弱そうなおとなしそうな子かもしれません。近所の自分より幼い子供かもしれません。あるいは犬や猫といった動物をいじめる事でストレスを発散するかもしれません。

これも親から子供に怒りが移ったのと同じで、その子供から別の対象に怒りが移ってしまうのです。

このように怒りは適切に処理しないと、立場の弱いものへどんどんと連鎖していってしまうのです。

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2.怒りの連鎖の終着点はどこか

怒りがどんどんと連鎖していくとどうなるでしょうか。最終的に怒りは、社会的にもっとも立場が弱いものに終着していくはずです。

しかし実際はそう簡単な話ではありません。

社会的に立場が弱いものとなると「子供」になりますが、子供はいつまでも子供なわけではありません。成長していつか大人になります。

怒りの連鎖の終着点として怒りを向けられ続けた子供は、大人になり強い立場を手に入れると、溜め込んだ怒りをその時に自分より立場が弱いの人に向けるようになるのです。

その相手は妻かもしれませんし子供かもしれません。おとなしそうな後輩かもしれません。年を取った親に仕返しという形で怒りをぶつける事もあります。

このようにして、怒りに真の終着点はなく、世代を超えても延々と私たちの間をめぐっていき、皆を不幸にしていくのです。

3.怒りをコントロールするとはどういう事か

ではこの怒りはどのように扱っていけばいいのでしょうか。

怒りというのは私たちにとって生理的な感情ですから、この感情をまったく生じさせないようにする事は不可能です。

もし「怒りを感じないようにしよう」と考えたとしてもそれは無理で、結局それは怒りを自分の中に溜め込んでいるだけに過ぎません。

怒りの問題点は、

  • 溜め込み続けて自分の心を傷付ける
  • 立場の弱い人に連鎖していき、周囲を不幸にする

という点であり、これをなるべく生じさせない事が「怒りを上手にコントロールする」という事になります。

つまり、

  • 自分の中に溜め込み過ぎない(受け流したり、定期的に吐き出したりできるようになる)
  • 怒りを他者に発散しない(八つ当たりという形で弱い者で発散しない)

という事が出来ると、「怒りをコントロール出来ている」という事が出来ます。

4.怒りをコントロールするために大切な事

では今までお話してきた事を踏まえ、怒りをコントロールするために大切な事を最後にお話させていただきます。

Ⅰ.気持ちに余裕を持てる状況が大原則

怒りをコントロールするためには常に心身にある程度の余裕を持っている必要があります。

例えば仕事が多忙で身体を限界まで酷使している状況では、気持ちに余裕を持てませんからちょっとした事でも感情的になりやすくなります。この状態で怒りをコントロールしようとしてもそれは難しいでしょう。

気持ちに余裕を持った状態でいるためには、まず自分の限界を知っておく事です。

「仕事がこの量以上になると気持ちに余裕がなくなる」
「相談事がこれくらい多いといつも余裕がなくなってしまう」

というおおよその感覚をつかむようにしましょう。

その上で、自分で工夫できる範囲で構いませんので、

  • 定期的に休憩を取る
  • 睡眠時間をしっかりと取る
  • 必要以上に仕事や頼まれ事を抱え込まない
  • 考え事や悩み事を延々と考えないようにする

などといった、気持ちに余裕を持つための習慣を取り入れるようにしましょう。

Ⅱ.可能であれば怒りの原因である当人と話し合おう

怒りは自分が原因で生じる事もありますが、多くは他者の言動によって生じます。

この場合、怒りを生じさせた相手が自分より立場が上の人の場合(上司や親・先生など)であればなかなか、「今のあなたの発言は怒りを感じました」とは言いにくいものです。

しかし根本の原因はそこにあるわけですので、状況が許せば自分の気持ちを相手に伝えるのがもっとも良い解決法になります。

怒りが生じているのは、相手の言動の何らかの点で納得がいかない点があるためです。そのため、自分の怒りをストレートに相手に伝えるのではなく、怒りが生じた言動に対して「それはどういう意味で言ったのか」「自分はこう受け取って傷付いてしまった」と伝えられるといいでしょう。

相手が冷静に考えてくれそうな方であれば、「それは悪かった」「あなたを怒らせる意図はなかったんだ、申し訳ない」などの言葉が返ってくるかもしれませんし、そうなればあなたの怒りは理解してもらえた安心感から和らいでいくはずです。

これがもっともシンプルな解決法ですので、まずはこの方法を検討してみるべきです。

しかし「目上の者に意見するなんてありえない」「親に口答えするなんて許さない」といった考えを持っている相手である場合は、余計に怒りが増幅してしまう可能性もあるため、これは相手を選んで行うようにしましょう。

Ⅲ.受け流すスキルを身に着ける

怒りを感じるような言動を受けたとき、それに対して怒りを感じにくくなるように受け取れるように工夫する事も有効です。

怒りという感情は、相手の言動が原因で引き起こされているのですが、実はその言動自体が怒りを引き起こしているわけではありません。

相手の言動に対して、自分が「それは納得できない・気に入らない」と判断したから怒りは生じるのです。つまり、実は怒りは自分自身が作り出しているのです。

例えば「真面目だね」という言葉を受け取って、「褒められた」と感じる方もいらっしゃれば、「つまらない人間だという意味か!」と怒り感じる方もいらっしゃいます。

同じ「真面目だね」という言葉でも、「良い評価をしてもらった」と受け取るか、「悪い評価をされた」と受け取るかで生じる感情もまったく異なるのです。

という事は、なるべく怒りが生じないような受け取り方ができた方が怒りを抑えやすくなるという事です。

相手がどういう意図でその言葉を発しているのかを完全に知る事はできません。そのため、できるだけ自分に良いように受け取ってしまうような習慣をつけた方が得なのです。

またどうしても悪意としか取れないような言動を受け取ったときも、「あの人はプライベートでストレスが溜まっているのかな」「きっとイヤな事があって誰かに当たりたい気分なんだ」と納得できるような可能性を考えて、自分に都合良く解釈してしまうのも良いでしょう。

受け取り方によって、生じる怒りを軽減させる事ができます。

Ⅳ.他害のないストレス発散を身につける

私たちは怒りを限界までため込むと、自分より弱い立場のものに怒りを発散してしまいやすくなります。

そうなる前に、他者に害を与えないような方法でストレスは発散させておく必要があります。日頃から自分にとってストレス発散になるような習慣をいくつか作っておくと良いでしょう。

ストレス発散できるものは、

  • 自分が気持ちいい・心地よいと感じるもの
  • 身体を動かすもの

が適しています。

前者は自分が気持ちいいと感じるものであればなんでも構いません。

一例として、

  • エステ、マッサージ
  • 入浴、温泉
  • 森林浴
  • ペットと遊ぶ
  • 友達や恋人と会う

などがあります。

後者は、

  • テニスやランニングなどのスポーツ
  • カラオケ
  • 登山

などが挙げられます。

これは一例であり、自分にとってストレス解消になる方法をいくつか身に着けておき、定期的に取り入れるようにしましょう。

また可能であれば一人で行うストレス発散よりも、自分が一緒にいて心地良いと感じられるような相手と一緒に行ったほうが、より満たされた気持ちになるため、ストレス解消としても効果があります。

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