憂鬱(ゆううつ)が生じる原因と憂鬱を吹き飛ばす対処法

憂鬱の原因と対処法

誰にでも落ち込んでしまう時、気分がどうしても晴れない時というのはあるものです。

憂鬱(ゆううつ)は、このような気分が低下している状態を指します。これは正常な感情の1つではありますが、不快に感じる感情になります。そのため憂鬱は出来るだけ感じたくないものです。

しかし憂鬱になった事のない人はいないでしょう。憂鬱は不快な感情でありながらも、万人に生じる感情なのです。そして憂鬱を不快に感じるのにも意味があります。

ではこの憂鬱は、どのような原因で生じていて、私たちにとってどのような意味があるのでしょうか。そして憂鬱を吹き飛ばす対処法としてはどのようなものがあるのでしょうか。

ここでは「憂鬱」という感情に焦点を当てて、その原因や解決法について紹介させていただきます。

憂鬱で辛い毎日を過ごしている方にとって、そこから抜け出すためのヒントになれば嬉しく思います。

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1.憂鬱って何?

私たちは日常的に「ゆううつだなぁ」という言葉を使います。

でもこの「憂鬱(ゆううつ)」というのはどういう気分を指しているのでしょうか。

一般的な使われている「憂鬱」の意味は、

「気分が晴れない事」
「気分が沈んでいる事」

などと説明されます。

もちろんこれは正しいのですが、ここではもう少し深く「憂鬱」という状態について考えてみましょう。

先ほど説明した「気分が晴れない」「気分が沈む」といった気分は専門的な用語としては「抑うつ気分」と呼ばれます。この「抑うつ気分」が「憂鬱」と同じ意味として用いられる事も多いのですが、正確にいうと抑うつ気分は憂鬱の症状の一部分でしかありません。

精神医学的には「憂鬱」は「メランコリー(melancholy)」と呼ばれます。

メランコリーとは古代ギリシアの医師「ヒポクラテス」が提唱した概念です。ヒポクラテスは紀元前5世紀ごろに活躍した人物で、「医学の父」とも呼ばれ、それまで迷信や祟りなどで説明されていた「病気」に対して、科学的な見地から原因や治療法を見出そうとした人です。

ヒポクラテスは、疾患が発症する原因として「四体液説」という概念を提唱していました。

これは、私たちの身体には血液・粘液・黄胆汁・黒胆汁という四つの体液があり、これらのバランスが崩れる事で病気が発症するのだという説です(当時の仮説であり、もちろん現在では否定されています)。

そして、血液の中にある精神が黒胆汁の異常混入によって腐敗することで生じる病気を「黒胆汁症(Melancholia:メランコリア)」と呼び、またこのような状態を「メランコリー(Melancholy)」と呼ぶようになったのです。

当時のヒポクラテスはメランコリーの事を「恐怖苦悩の長く続くもの」と表現しています。

メランコリーでは気分の落ち込みや沈みといった「抑うつ気分」が中核症状になります。一般的にはこの「抑うつ気分」を「憂鬱」と同じ意味として考えますが、より正確にメランコリーの症状を挙げると抑うつ気分以外にも、

  • 喜びや関心の喪失
  • 悲哀
  • 絶望
  • 無気力
  • 罪責感
  • 焦燥感

なども該当します。

ちなみにメランコリーになりやすい性格の人は「メランコリー親和型性格」と呼ばれ、これは現在でもうつ病を発症しやすい性格傾向として知られています。

つまり憂鬱というのは気分の落ち込みだけでなく、気分が低下する事で生じる症状全体を含んだ概念なのです。

2.なぜ憂鬱が生じるのか

大昔、ヒポクラテスは憂鬱(メランコリー)が生じる原因を「血液の中にある精神が黒胆汁の異常混入によって腐敗するため」だと考えました。しかしこれは現在の医学で考えればあまりに無理のある説明で、現在においては完全に否定されています。

では、なぜ憂鬱は生じるのでしょうか。

憂鬱が病的なレベルにまで高まってしまった状態は「うつ病」「うつ状態」と呼ばれますが、この「うつ病」「うつ状態」は憂鬱の延長線上にあるものだと考えらます。

という事は、うつ病やうつ状態が生じる原因をみていくと、憂鬱が生じる原因というのも見えてきます。

うつ病は何か1つの決まった原因で発症するという単純なものではありません。その発症には複数の要因が関わっていると考えられています。

そしてその原因を大きく分けると、

  1. 内的要因(自分の中の原因。性格や考え方、ストレス耐性など)
  2. 外的要因(外部の原因。仕事・家庭のストレスなど)
  3. 遺伝

の3つに分けられます。

内的要因というのは、自分の中にある原因です。これは自分の考え方であったり性格傾向などの事です。元々悲観的に考えやすい方、なんでも「自分が悪いんだ」という方向に考えやすい方は憂鬱になりやすいという事はみなさんも感覚的に分かるのではないでしょうか。

うつ病になりやすい性格傾向を「メランコリー親和型性格」と呼びますが、これも内的要因になります。

ちなみにメランコリー親和型性格は、

・ルールや秩序を守る、几帳面
・自分に厳しく、完璧主義、責任感が強い
・他者に対しては律儀で誠実。衝突や摩擦を避ける

といった性格傾向になります。

自分を厳しく律し、他者に対してとても気を遣うメランコリー親和型性格は、自己の精神を犠牲にしやすく、精神疲弊から憂鬱・うつ病になりやすいのです。

外的要因というのはいわゆる「ストレス」だと考えて頂いて良いでしょう。ストレスには身体的なストレス(身体にかかる負荷)と精神的ストレス(心のかかる負荷)の2つがありますが、どちらも憂鬱の原因になります。

例えば毎日多忙で身体ストレスが蓄積し続けると憂鬱になりやすくなります。また周囲からいじわるをされたりいやがらせをされたりといった精神的ストレスがかかり続けても、憂鬱が生じやすくなります。

最後が遺伝です。これは「内的要因」と一部重なりますが、うつ病はある程度遺伝的要素もある事が知られています。

多くの研究においても、うつ病の家族歴を持つ方は、そうでない方に比べて有意にうつ病を発症しやすい事が確認されています。

「憂鬱」は正常な精神状態であり、病的なものではありません。そのため病気である「うつ病」と全く同じと考える事は出来ませんが、憂鬱が更に悪化したものがうつ病だと考えると、その原因の多くは共通していると考えられます。

つまり、憂鬱が生じる原因としても次の3つ、

  • 内的要因(自分の中の原因。性格や考え方、ストレス耐性など)
  • 外的要因(外部の原因。仕事・家庭のストレスなど)
  • 遺伝

が挙げられるという事です。

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3.憂鬱な危険を知らせるサインである

憂鬱という感情は、私たちにとって不快な感情になります。そのため、出来る事なら感じたくないと考える方も多いでしょう。

もちろん、憂鬱を感じずに毎日を過ごせるのであればこんなに良い事はありません。

しかし一方でこの感情は私たちに危険を知らせてくれるサインである事をご存知でしょうか。

私たちの身体が、なぜわざわざ自分にとってマイナスとなるような不快な感情を引き起こすのかというと、これは「このままの状態だとまずい事になるよ!」と身体が私たちにサインを出してくれているのです。

あえて不快な感情を引き起こす事で、その状態から一刻も早く脱出するように促しているわけです。

これは「痛み」に似ています。痛みも不快な感覚ですが、同時に私たちに危険を知らせる感覚でもあります。

トゲを触ってしまって「痛い!」と感じた時の事を考えてみましょう。

「痛い」という不快な感覚を生じさせる事によって、「早く治療しないと大変だよ」「これに近づいたら危険だよ!」と身体が危険信号を送っているわけです。

痛みという感覚が生じるから、私たちは不快さを消すために治療をしたり、痛みを生じさせる原因に近づかないようになります。もし痛みが感じなかったら、トゲを触り続けて身体が壊れてしまうかもしれません。また「トゲが有害で危険なものである」という認識を持てないため、今後も同じようなあやまちを繰り返してしまう可能性が高くなります。

憂鬱もこれと同じで、私たちに「今の状態は危険だよ」「今の状態から早く脱した方がいいよ」と身体が危険信号を発してくれているのです。

みなさんの中には、自分の中に憂鬱な気分があるのに、「そんな弱気な事を考えてしまってはダメだ」「自分をもっと強く持たないと」と憂鬱を押し殺してしまう方が結構いらっしゃいます。

それは「このままでは危険な事になるよ!」と身体が発してくれているサインを無視してしまっている事になります。

憂鬱な感情は確かに不快です。しかしこの不快な感情は、私たちに危険を知らせる大切な役割があるのだという事を知って下さい。

憂鬱な感情を押し殺してはいけません。憂鬱な感情が現れているのには必ず原因があります。その原因をみつけ、正しく対処を行うべきであり、憂鬱を無視し続けていると、あなたの心はどんどんと疲弊していき、いずれ精神が壊れてしまいうつ病などの疾患に至ってしまう可能性が高くなります。

4.憂鬱を吹き飛ばす対処法

最後に憂鬱を改善するために有用な対処法について考えてみましょう。

一般書やネットの情報をみると、「こうすれば憂鬱が消えます!」という方法がいくつも挙げられています。しかし、そのような方法を手あたり次第に行う事はあまりお勧めできません。

先ほども説明したように憂鬱を引き起こす原因は1つではありません。人それぞれによって憂鬱の原因は異なるものです。

にも関わらず、すべての人が同じような方法で憂鬱を改善させる事など出来るはずがありません。

憂鬱を改善させるために大切な事は、自分の憂鬱さが生じている原因をはっきりさせ、その原因に応じた最適な対処法を取る事です。

先ほどお話したように、憂鬱を引き起こす原因には、

  • 内的要因(自分の中の原因。性格や考え方、ストレス耐性など)
  • 外的要因(外部の原因。仕事・家庭のストレスなど)
  • 遺伝

が挙げられます。

このうち遺伝については変える事が出来ませんが、内的要因と外的要因は工夫次第で変える事が出来ます。

つまり自分の憂鬱の原因が内的要因からきているのか、それとも外的要因からきているのか、あるいはその両方なのかを見極め、それぞれに適した対処法を行わないといけないという事です。

ここを間違えて、一般論として書いてある改善法を試してしまうと、効果がないばかりか、むしろ症状を悪化させる事になってしまいます。

例えば「職場のストレス」という外的要因が原因なのに、「自分の考えが甘いのがいけないんだ」と内的要因に対して改善を試みてしまったらどうなるでしょうか。

「もっと頑張らないと」「仕事が忙しくても耐えないと」「上司にいじめられるのも仕事のうちなんだ」と考えてしまえば、より憂鬱さは悪化していく事は間違いありません。

また、「気遣い過ぎる性格(内的要因)」が原因なのに、「みんなと遊んだり、もっと周囲とコミュニケーションを取ればいいって書いてあるからそうしよう!」と外的要因に対しての対処法を行ってしまえば、より周囲に気遣う機会が増えてしまい、より精神は疲弊してしまうでしょう。

こうならないためにも、憂鬱が生じている原因を正しく見極めて、それに応じた適切な対処法を取っていくようにしましょう。

それでは各原因に応じた対処法を紹介していきます。

Ⅰ.内的要因が原因の場合

「いつも自分を責める方向に考えてしまう」
「他の人であれば落ち込まないような事で、深く落ち込んでしまう」
「いつも相手を気遣いすぎて、自分が疲弊してしまう」

このように自分の中に憂鬱さを引き起こしやすい要因がある場合は、この自分の中の原因を少しずつ変えていく事が大切です。

非常にざっくりといえば「考え方を変える」「性格を変える」という事です。

しかしこれは簡単ではありません。性格や考え方を変えるという事は、今までの自分の性格や考え方を否定するという意味を持つため、自分のアイデンティティが否定されるという面があります。そのため変えなきゃいけないと分かっていても、そう簡単には出来ないのが普通です。

このように自分の中に憂鬱になりやすい原因があって、それを変えたいという時には、自分の考え方や性格の全てを変えようとしない事が大切です。

どんな性格にもいい面もあれば悪い面もあります。自分を責めやすい性格は自分を傷付けやすい反面で、責任感があったり自分に厳しく志が高い性格であるとも言えます。

相手を気遣い過ぎてしまう性格も、自分が疲弊しやすいという面はありますが、相手の気持ちを深く考える優しい性格であるとも言えます。

このように憂鬱になりやすい性格というのは決して悪い性格や問題のある性格ではないのです。むしろ他者から賞賛されるような素晴らしい性格だと言ってもいいでしょう。

そのため、この素晴らしい性格の全てを否定する必要はありませんし、全てを変える必要もありません。自分の性格の良い面は認めてあげつつ、自分の不利益を与える面が強そうなところだけ改善していけばいいのです。

「自分の相手を気遣い過ぎる性格は、相手の気持ちを考えるという良い面もある。けども今はやりすぎて自分を犠牲にしてしまっているから、今より少しだけ気遣いを減らしてみよう」

このように自分の全てを否定するのではなく、一部分を修正するような考え方で取り組むと成功率は上がります。

とはいっても性格や考え方を変えるのは難しいのも事実です。

自分ひとりでなかなか内的要因の改善が難しいという場合は、精神科医や臨床心理士といったプロの力を借りても良いでしょう。カウンセリングなどを通して少しずつ変えていくという方法も有効です。

Ⅱ.外的要因が原因の場合

外的要因が原因である場合、その対処法は「原因の除去」あるいは「原因の緩和」に尽きます。

例えば、仕事の多忙による疲れが原因であれば、仕事をセーブし身体を休める事が対処法になります。寝不足によって憂鬱になっているのであれば、睡眠時間を多く取る事が対処法になります。

これらの対処法は分かりやすいですね。

しかしそう現実はそう簡単には原因の除去が出来ない事があります。むしろそのようなケースの方が多いと言ってもよいかもしれません。

そのような時はどうすればいいのでしょうか。

例えば、「仕事の同僚がいつも自分を傷付けるような発言をしてくる」という精神的ストレスがある場合を考えてみましょう。憂鬱さを改善させるためだけを考えれば「その同僚に仕事を辞めてもらう」「自分が仕事を辞める」という方法が理想です。

しかし現実的にそう簡単に仕事を辞める事などできません。

原因を除去する事は出来ないし、避ける事も出来ません。社会で生きていればこのようなケースは珍しくありません。

このような場合、原因そのものを解決する事は出来ませんので、

  • 自分が納得できるような考え方をする
  • 別の方法でストレス解消を図る

という方法が次に取るべき方法になります。

例えば先ほどの例であれば、「人を傷付けるような発言しかできないなんてかわいそうな人間だな」「自分はそうはならないように反面教師にしよう」という考え方を持てば、同僚からの発言を真正面から受け取る時と比べて精神的なダメージは小さくなります。

また受けたストレスを、

  • 信頼できる人に相談する
  • 身体を動かす
  • ゆっくり休む
  • 遊びに行く

など、自分が「楽しい」「落ち着く」と思えるような行動によって解消をしていく事も有効です。

普段からストレス解消の手段を多くもっていたり、「自分はこのような行動をしている時にストレスが解消できる」という事をしっかり理解できている方は、外的要因による憂鬱が生じにくいという事が出来ます。

Ⅲ.遺伝の影響が強いと判断される場合

特に外的要因も内的要因も思い当たるものはなく、遺伝の影響が強い場合はどうすればいいでしょうか。

実際は遺伝の影響のみで憂鬱が続くというケースはあまり見かけません。しかし、もしこのようなケースなのであれば一度精神科医に相談するのが良いでしょう。

精神科医に相談する事で、

  • 本当に外的要因・内的要因がないのかを専門家の目で確認してもらう
  • 必要があれば精神療法や薬物療法などの治療を検討してもらう

という方法が可能となるためです。

Ⅳ.上記でも改善が得られない場合

上記の方法でも改善が得られない時や、憂鬱がどんどんと悪化していくような場合は、「うつ病」などの病的な状態にまで至ってしまっている可能性もあります。

憂鬱さ2週間以上続き、それによって辛いと感じる毎日が続いているようであれば、一度精神科を受診し、治療が必要な状態に至っていないのかを判断してもらう必要があります。

いたずらに我慢し続けていると、うつ病が重度になっていってしまい、治療をはじめても治るまでに時間がかかってしまうようになる事もあります。

自分の工夫だけでは改善が得られない場合は、憂鬱の程度を判定するプロである精神科医を頼ってください。

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